「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方はわかりやすく書くと次のとおりです。
- 「被保険者報酬月額算定基礎届」の事業所情報を記入
- 「被保険者報酬月額算定基礎届」の被保険者❶の基本情報を記入
- 「被保険者報酬月額算定基礎届」の被保険者❶の給与情報を記入
- 「被保険者報酬月額算定基礎届」の被保険者❶の備考を記入
- 「被保険者報酬月額算定基礎届」の被保険者❷以降のの基本情報・給与情報・備考を記入
目次
「被保険者報酬月額算定基礎届」とは?
「被保険者報酬月額算定基礎届」とは健康保険や厚生年金保険の保険料の算出の為の「標準報酬月額を決定するために毎年提出する届出書類」となります。
「標準報酬月額」とは
「標準報酬月額」とは、月々の給料を一定の等級に区分したものです。
健康保険の標準報酬月額は「1~50等級」、厚生年金保険の標準報酬月額は「1~32等級」に区分されています。
健康保険や厚生年金保険などの社会保険は、毎月保険料を納付する必要がありますが社会保険料は毎月の給料に保険料率をかけて算出します。この毎月の給料が一円単位で異なると計算が煩雑になってしまうため、一定の等級で区分をして保険料の計算を簡便化する目的があります。
「標準報酬月額」はいつの支給月の給料をもとにするのか?
「標準報酬月額」は毎年4月、5月、6月に支給された給料をもとにして「被保険者報酬月額 算定基礎届」の提出を行います。
原則としては「給与計算の基礎日数」が「17日以上の月」が対象となっていますが、パートの場合は給与計算の基礎日数が「15日以上の月」、短時間労働者は「11日以上の月」が計算の対象となっています。
「標準報酬月額」いつの給料から反映・適用される?
「被保険者報酬月額算定基礎届」を届出することにより毎年9月1日の給料から新しい「標準報酬月額」が反映・適用されます。
「社会保険」とは
「社会保険」とは「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」などを総称したものです。
疾病、負傷、老齢、障害、死亡、出産、要介護など万が一の場合を事業主と被保険者となる労働者全体で助けあう保険制度です。
「健康保険」とは
「健康保険」とは社会保険の1つで、業務外による疾病、負傷、出産などの場合の治療費や所得保障のための制度です。
「厚生年金保険」とは
「厚生年金保険」とは老齢、障害、死亡などの場合の所得保障制度です。
日本国民は原則として国民年金と呼ばれる年金制度に全員が加入していて、これを一階部分の年金制度と呼ばれています。厚生年金は主に労働者が加入する二階部分の年金制度となり、国民年金のみに加入している場合と比較すると将来もらえる年金額が上乗せされます。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の記入例
「被保険者報酬月額算定基礎届」の記入例は次のとおりになります。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方
「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方は次のとおりです。
提出者記入欄(提出年月日・事業所整理番号・所在地・名称・氏名・電話番号)
- 提出年月日…提出年月日を記入
- 事業所整理番号…事業所整理番号を記入
- 事業所所在地…事業所所在地を記入
- 事業所名称…事業所名称を記入
- 事業主氏名…事業主氏名を記入
- 事業所電話番号…事業所の電話番号を記入
被保険者情報(被保険者整理番号・氏名・生年月日・適用年月・従前標準報酬月額・従前改定月など)
- 被保険者整理番号…「被保険者整理番号」を記入
- 氏名…被保険者の「氏名」を記入
- 生年月日…被保険者の「生年月日」を記入(元号…1.明治 3.大正 5.昭和 7.平成 9.令和)
(昭和55年05月01日生まれの場合「5-550501」)
- 適用年月…新しい標準報酬月額の「適用月」を記入(原則はその年の9月)
- 従前標準報酬月額…「現在の標準報酬月額」を千円単位で記入
- 従前改定月…「去年の改定月」を記入(原則は前年の9月)
- 昇給…「昇給・降給した月」を記入、「昇給・降給」を選択(昇給・降給があった場合のみ、ない場合は空白)
- 遡及支払額…遡及して給与が「支給いされた月」と「差額の金額」を記入(昇給が遡って実施されその差額が支給された場合のみ)
被保険者給与情報(給与支給月・給与計算の基礎日数・通貨、現物によるものの額・合計など)
- 給与支給月…「4月・5月・6月」を記入
- 給与計算の基礎日数…月給・週給者の場合「暦日数」を記入(ただし月給・週給者で欠勤日数分の給与を差し引く場合は就業規則等で定められた日数から欠勤日数を除いて記入)
- 通貨によるものの額…労働の対償として「通貨で支払われるすべての合計金額」を記入
- 現物によるものの額…食事・住宅・被服・定期券等「通貨以外で支払われるもの」について記入
- 合計… 「通貨と現物の合計」を記入
- 総計…「給与計算の基礎日数」が17日以上の月の「合計を総計した金額」を記入
- 平均額…「総計」で算出した金額を「給与計算の基礎日数が17日以上の月数で割った金額」を記入
- 給与計算の基礎日数…日給・時給者の場合「出勤日数等、報酬支払の基礎となった日数」を記入
- 総計、平均額…パートで給与計算の基礎日数が17日以上の月がない場合、15日以上の月が計算の対象
- 総計、平均額…短時間労働者は給与計算の基礎日数が11日以上の月が計算の対象
「総計」や「平均額」のポイントは、「給与計算の基礎日数」で17日未満の月は「総計」「平均額」の対象から除く事です。
例えば5月に支給された報酬の支払いの基礎となった日数(働いた日数)が病欠で10日しか勤務しなかった場合に5月に支給された報酬を除き、4月6月に支払われた報酬の総計を出して4月6月の2ヶ月間での平均額を算出します。
備考(70歳以上被用者算定・二以上勤務・パート・その他など)
- 70歳以上被用者算定…70歳以上被用者の方について提出する場合に○(算定期間中に70歳に到達したことで健康保険と厚生年金保険の算定基礎月が異なる場合は70歳以上被用者分の算定基礎月を()内に記入)
- 二以上勤務…被保険者(70歳以上被用者)が二以上の適用事業所で勤務の場合に○
- 途中入社…算定対象月途中からの資格取得により1カ月分の給与が支給されない場合に○(「9.その他」に入社年月日を記入)
- 病休・育休・休職など…該当する場合は○(その期間について「9.その他」に記入)
- 短時間労働者(特定適用事業所等)…該当する場合は○
- パート…該当する場合は○
- 年間平均…4・5・6月ではなく「年間平均で算定を希望する場合は○」(申立書・同意書等の添付書類を提出)
- その他…該当する場合は○+( )内にその内容を記入(7月1日時点ですでに退職している場合[△月△日退職]/算定対象月に被保険者区分の変更があった場合[△/△ 短時間労働者]と記入)
「被保険者報酬月額算定基礎届」70歳以上被用者の書き方
「被保険者報酬月額算定基礎届」70歳以上被用者の場合の書き方の注意点は次のとおりです。
- 被保険者情報の個人情報(もしくは基礎年金番号)を記入
- 被保険者情報の備考で「1.70歳以上被用者算定」に◯
「被保険者報酬月額算定基礎届」二以上勤務者の書き方
「被保険者報酬月額算定基礎届」二以上勤務者の場合の書き方の注意点は次のとおりです。
「被保険者報酬月額算定基礎届」パートの書き方
「被保険者報酬月額算定基礎届」パートの場合の書き方の注意点は次のとおりです。
- 被保険者情報の「総計、平均額」で給与計算の基礎日数が「15日以上の月が計算の対象」
(17日以上の月がない場合) - 被保険者情報の備考で「7.パート」に◯
「被保険者報酬月額算定基礎届」はどこから届く?
「被保険者報酬月額算定基礎届」は提出した「事業所を管轄する年金事務所から各事業所へ郵送によって届きます」。
「被保険者報酬月額算定基礎届」はいつ届く?
「被保険者報酬月額算定基礎届」は事業所の管轄の年金事務所から「6月初旬~中旬」にが届きます。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出先
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出先は「事務センター」「管轄の年金事務所」です。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出期限
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出期限は「毎年7月 1 日〜7月10 日」となっています。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出方法
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出方法は、①「被保険者報酬月額算定基礎届送付時に同封している返信用封筒による郵送」、②「電子媒体(CD・DVD)」、③「電子申請」の3つの方法があります。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出期限・提出先・提出方法まとめ
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出期限、提出先、提出方法をまとめた表は次のとおりです。
提出期限 | 毎年7月 1 日〜7月10 日 |
提出先 | 「事務センター」もしくは「管轄の年金事務所」 |
提出方法 | 「届出用紙」「電子媒体(CD・DVD)」「電子申請」 |
「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出先・提出期限・提出方法まとめ
- 提出先…「被保険者報酬月額算定基礎届」送付時の返信用封筒により「事務センター」へ郵送、又は「管轄の年金事務所」
- 提出期日…原則は「7月 1 日〜7月10 日まで」
- 提出方法…「届出用紙」「電子媒体(CD・DVD)」「電子申請」
「被保険者報酬月額算定基礎届」出さなかったら罰則はどうなる?
「被保険者報酬月額算定基礎届」出さなかった場合の罰則は「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金」を科せられることがあります。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の添付書類の総括表は廃止
「被保険者報酬月額算定基礎届」の添付書類の「総括表は令和3年4月1日より廃止されています」ので、添付する必要はありません。
国民の利便性の向上のために事業主の電子申請の利用を促進させていますが、健康保険・厚生年金保険の届出に関しても添付書類の省略していく必要があり「被保険者報酬月額算定基礎届」を提出時に添付していた総括表は令和3年度4月1日より廃止されました。
「被保険者報酬月額算定基礎届」のe-Govによる電子申請の方法
「被保険者報酬月額算定基礎届」のe-Govによる電子申請の方法を簡単に解説します。
e-Govの手続き検索の「手続き名称から探す」で「算定基礎届」と検索
e-Govの手続き検索をクリックすると「手続き名称から探す」という部分がありますので、「算定基礎届」と検索してください。
手続検索結果一覧で「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額 算定基礎届/70歳以上被用者算定基礎届」の「CSVファイル添付方式」か「単記用」のどちらかを選択
手続検索結果一覧で「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額 算定基礎届/70歳以上被用者算定基礎届」が表示されますのので「CSVファイル添付方式」か「単記用」のどちらかを選択してください。
「CSVファイル添付方式」は複数の情報を一度にCSVファイルで入力する方式、「単記用」は一つ一つご自身で入力していく方式です。
すでにe-Govをご利用の方は次のリンク先から申請を行うことが可能です。
電子申請のやり方の基本に関しては別の記事で解説していますので参考にしてください。
「被保険者報酬月額算定基礎届 様式コード2225」のエクセルのダウンロード方法
「被保険者報酬月額算定基礎届 様式コード2225」のエクセルのダウンロード方法はこちらです。
まとめ「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方・記入例をわかりやすく解説!様式コード2225・ダウンロード方法・提出先・提出期日・支給月・いつから反映・e-Gov電子申請・パート・70歳以上被用者・二 以上勤務者の場合も紹介
今回の記事では「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方・記入例について、最新の「様式コード2225」をもとに解説しました。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方・記入例の注意点としては、平均額を算出する時に報酬支払基礎日数が17日未満の月は総計、平均額の対象としない点です。
「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方の注意点としては、平均額を算出する時に報酬支払基礎日数が17日未満の月は総計、平均額の対象としない点です。
「被保険者報酬月額算定基礎届」は6月中旬〜下旬に届き、7月1日〜10日までの提出期限となっているので、届出漏れ、記入漏れのないようにしましょう。