就業規則の「労働者代表の意見書」とは
就業規則の「労働者代表の意見書」とは就業規則を作成・変更したときに労働者代表に意見を聞いたことを証明するための書類です。
就業規則を作成・変更する時は事業主は労働者側を代表するものに作成・変更した就業規則に対して意見を聴かなければいけないことが労働基準法第90条で定められています。
労働基準法 第90条
- 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
- 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
労働者代表とは
労働者代表は労働基準法第90条で定められている次のいずれかに該当するものになります。
- 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合
- 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者
労働者代表の選出要件
労働者代表の選出される者は、次の2つを満たしている必要があります。
- 管理監督者ではない者
- 労働者代表者の選出の意図を明確にし、投票や挙手などの民主的な方法によって選出された者
管理監督者とは事業所で相応の地位・権限が与えられていて労働条件の決定等、経営者と一体的な立場と評することができる労働者を指しています。つまり労働者代表の選出は使用者側の者を選出したり、使用者が選出に関与せずに選出できているかどうかがポイントとなります。
労働者代表の選出方法
労働者代表の選出方法は、労働者代表者の選出の意図を明確にし、投票や挙手などの民主的な方法によって選出しなくてはいけません。
使用者が特定の労働者を氏名したり、労働者代表の選出の意図を明確にせず、会社行事の幹事を自動選出した場合は労働者代表の選出要件を満たしませんのでご注意ください。
意見を聴いたのに労働者代表から記名押印がされなかった場合
事業主が就業規則を作成・変更し、労働者代表へ意見を聴くために労働者代表の意見書を渡していて、何度か記名押印を促しているのにもかかわらず労働者代表から記名押印がない場合は、労働者代表への意見を聴いたことが客観的に証明できるものを添付することで就業規則の届出を行うことができます。
就業規則とは
就業規則とは、事業主が労働者に対して定める職場規律や労働条件などをまとめた規則です。
事業所は多くの労働者がいて、それぞれに定めるルールが異なると不平不満が生じたり、規則が異なることで管理が煩雑になり、非効率な経営になってしまいます。
就業規則で定めないといけない事項として、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」があり、労働時間や賃金、退職に関する事項は「絶対的必要記載事項」としていかなる場合も必ず定めて記載しなくてはいけません。退職手当、表彰や制裁、災害補償などを規則や制度として定める場合は「相対的必要記載事項」として記載する必要があります。
就業規則の絶対的必要記載事項
就業規則の「絶対的必要記載事項」は次の事項となっていて、いかなる場合も定めて就業規則に記載する必要があります。
- 始業・終業の時刻
- 休憩時間(時間の長さ・与え方)
- 休日(その日数・与え方)
- 休暇(代替休暇、年次有給休暇、産前産後の休暇、育児休業など)
- 交代制勤務(シフト)における、就業時転換に関する事項(交代期日、交代順序など)
- 賃金の決定方法・計算方法(臨時の賃金を除く)
- 賃金の支払い方法
- 賃金の締切・支払時期
- 昇給に関する事項
- 退職に関する事項(定年、解雇の事由を含む)
就業規則の相対的必要記載事項
就業規則の「相対的必要記載事項」は次の事項となっていて、制度や規則として定めた場合に就業規則に記載する必要があります。
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金(退職手当を除く)、最低賃金に関する事項
- 労働者の食費、作業用品その他負担に関する事項
- 安全及び衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰・制裁の種類・程度に関する事項
- その他事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合のそれらの事項
就業規則の作成義務
就業規則の作成義務は「常時10人以上の労働者を使用する」使用者は一定の事項について就業規則を作成・届出をすることが労働基準法第89条で定められています。
常時10名以上の労働者とは
常時10名以上の労働者とは、通常その事業所で働いている労働者が10名以上の常態を指します。
つまり通常は5人の労働者が事業所で働いていて、繁忙期のみ12名の労働者が働いている事業所の場合は就業規則の作成義務はありません。
また労働者にはフルタイムの正社員だけではなく、短時間勤務のパートやアルバイトなども含まれます。
就業規則(変更)届とは
就業規則(変更)届とは、就業規則を作成・変更した場合に遅滞なく管轄の労働基準監督署へ届出をしないといけない書類です。
就業規則(変更)届に関しては別の記事で解説していますので参考にしてください。
届」の書き方・記入例-300x169.png)
「就業規則への労働者代表の意見書」の記入例
「就業規則への労働者代表の意見書」の記入例は次のとおりです。
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「就業規則への労働者代表の意見書」の書き方
「就業規則への労働者代表の意見書」の書き方の手順は次のとおりです。
- 「就業規則への労働者代表の意見書」の記載年月日を記入
- 事業所名、事業主名を記入
- 就業規則への意見を求められた年月日を記入
- 就業規則への意見を記入
- 労働組合の名称または労働者の過半数を代表する者の職名・氏名を記入
- 労働者の過半数を代表する者の選出方法を記入
- 就業規則への意見がある場合は具体的な意見を記入
特に意見がない場合
労働者代表が就業規則を確認して、特に意見がない場合は意見がない旨を記入してください。
「就業規則への労働者代表の意見書」の押印廃止
「就業規則への労働者代表の意見書」の押印は令和3年4月1日に廃止となりました。
「就業規則への労働者代表の意見書」のダウンロード
「就業規則への労働者代表の意見書」は各労働局のホームページでダウンロードすることができます。
まとめ:就業規則の「労働者代表の意見書」の書き方・記入例|就業規則(変更)届・労働者代表の選出方法・押印廃止・日付・特に意見がない場合・ダウンロード方法も紹介
今回の記事では就業規則の「労働者代表の意見書」の書き方・記入例を解説しました。
就業規則を作成・変更した場合は労働者代表の意見を聴き、就業規則(変更)届を労働基準監督署へ届出を行うときに、労働者代表の意見書を添付する必要があります。
就業規則は常時10名以上の使用者は必ず作成しないといけませんのでご注意ください。

