「届出書類の書き方・労働問題」社労士に無料相談
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「労働保険概算保険料申告書」とは、年度の初め(もしくは労働保険加入時)にその年度の賃金総額の見込み額に応じた労災保険・雇用保険などの労働保険の保険料を申告・納付するための書類です。
「労働保険」とは「労災保険」「雇用保険」の2つの労働に関する保険制度を総称したものです。保険給付は各保険制度から行われますが、保険料の徴収・申告については原則として労働保険として一体のものとして取り扱われることになっています。
「雇用保険」とは失業者や雇用継続困難者など「雇用に関する総合的な機能をもった保険制度」です。
「労災保険」とは「業務上や通勤が原因で負傷、疾病、死亡した場合に労働者やその遺族を保護するための保険制度」です。
労働保険は一部の農林水産業の事業所を除き、原則として労働者1名以上雇用するとその事業所は適用事業所となるため、事業主は労働保険の成立手続を行い、保険料や申告を行わないといけない義務が生じます。
労働保険料の納付は「年度更新」という仕組みをとっています。
労働保険料はその年度の賃金額に保険料率をかけて決定します。賃金額が確定しないと保険料の確定ができませんが、年度の初めの段階では、賃金額は確定しません。
そのため、まずその年度の見込み額を概算で申告・納付を行い、翌年度に確定した保険料を申告する「年度更新」という仕組みを用いています。当然年度の初めの時点では概算で納付しますので、「納付した概算保険料」と、「確定した確定保険料」に差が生じますので、その差額を確定保険料の申告時に納付したり、還付されたり、次の年度に充当されたりします。
この年度の初めに納付する概算保険料を「労働保険概算保険料」、次の年度の初めに納付する確定した前年度の保険料を「労働保険確定保険料」といいます。
前年度から保険関係が成立していて概算保険料申告・納付している事業主の場合、前年度の確定保険料申告書とセットで今年度の概算保険料申告書を提出する事になります。その為、確定保険料と概算保険料の申告書は1枚で両方申告できるようになっています。
今回の記事では前年度から保険関係が成立している事業主の場合の「労働保険概算保険料申告書」の書き方ではなく、会社設立した場合など、今年度に保険関係が成立した事業主の「労働保険概算保険料申告書」の書き方を解説しています。
「労働保険概算保険料申告書」の書き方を各項目ごとに画像付きで説明していきます。
先述しましたが、前年度の確定保険料の申告が必要ない、今年度に保険関係が成立した事業主の「労働保険概算保険料申告書」の書き方を解説しています。
「労働保険概算保険料申告書」の記入例は次のとおりになります。
「労働保険概算保険料申告書」は納付書も兼ねているため、ダウンロードをすることはできません。
「労働保険概算保険料申告書」は公共職業安定所(ハローワーク)または労働基準監督署でもらうことが出来ます。
「労働保険概算保険料申告書」は原則として添付書類の提出は不要です。
ただし次の「労働保険保険関係成立届」「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」に関しては後日提出する必要がある書類になるので労働保険概算保険料申告書とあわせて提出する方も多いです。
「労働保険保険関係成立届」とは「その年度の労働保険料の見込み額を概算で申告・納付」するための書類です。
「労働保険保険関係成立届」に関しては別の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
「雇用保険適用事業所設置届」とは「雇用保険適用事業所」となった場合に届出する書類です。
「雇用保険適用事業所設置届」に関しては別の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
「雇用保険被保険者資格取得届」とは「労働者を雇用保険へ加入する義務が生じたときに公共職業安定所(ハローワーク)に届出するための書類」です。
「雇用保険被保険者資格取得届」に関しては別の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
「労働保険概算保険料申告書」の提出期限は「保険関係が成立した日の翌日から起算して 50 日以内」です。
「労働保険概算保険料」の納付を怠った場合は「延滞金」が徴収されます。
督促による指定期限である「納期限」までに完納しないと、保険料とは別で「延滞金」を納付する義務が生じます。
「延滞金」は、法定納期限の翌日から納付されるまでの日数に応じて、保険料額に年14.6%を乗じて計算となりますのでご注意ください。※最初の2か月間は軽減措置が設けられています。
保険関係が成立した日とは、「その事業が開始された日」や「その事業が適用事業に該当した日」です。保険関係は保険関係成立届を労働基準監督署に届出をすることによって成立するのではなく、法律上当然に成立します。
「労働保険概算保険料申告書」の提出先は「所轄の労働基準監督署」もしくは「所轄の都道府県労働局」「金融機関・郵便局」です。
会社設立をして「労働保険概算保険料申告書」を届出するときは、労災保険、雇用保険の適用事業となったときになりますので労働保険概算保険料申告書以外にも、労災保険、雇用保険それぞれの届出書類が必要となります。
会社設立の場合の「労働保険概算保険料申告書」を届出する場合に必要なその他の届出書類や提出期限、提出先の一覧はこちらになります。
種類 | 適用保険 | 提出期限 | 提出先 |
---|---|---|---|
労働保険保険関係成立届 | 労災・雇用 | 保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内 | 所轄の 労働基準監督署 |
概算保険料申告書(納付書) | 労災 | 保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内 | 所轄の労働基準監督署/労働基準監督署/金融機関・郵便局 |
雇用保険被保険者資格取得届 | 雇用 | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで | 所轄の 公共職業安定所 |
雇用保険適用事業所設置届 | 雇用 | 労働者を雇い入れた日の翌日から起算して10日以内 | 所轄の 公共職業安定所 |
労働保険保険関係成立届の事業主控え | 雇用 | 雇用保険適用事業所設置届の届出時に添付 | 所轄の 公共職業安定所 |
「労働保険概算保険料申告書」の届出のときに、関連するその他届出書類や提出先、提出期限を確認しましたが流れや全体像は次のとおりです。複数の届出書類と提出先がありますので図で理解しておきましょう。
また労働保険は「一元適用事業」「二元適用事業」と2種類あります。
一元適用事業とは、労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等に関して両保険を一元的に取扱う事業。一般的に、農林水産業・建設業等以外の事業が一元適用事業となります。
二元適用事業とは、事業の実態から、労災保険と雇用保険の適用を区別する必要があるため、両保険の保険料の申告・納付等を別々(二元的)に行う事業です。一般的に、農林水産業・建設業等が二元適用事業となります。
一元適用事業の流れ、全体像は次のとおりです。
二元適用事業の流れ、全体像は次のとおりです。
「労働保険概算保険料申告書」の個人事業主の場合の提出方法も法人の場合と同様です。
記入例や書き方の注意点としては事業所の名称・氏名を記入するときに屋号だけではなく、氏名も記入することにご注意ください。
「労働保険概算保険料申告書」の電子申請で届出することも可能です。すでにe-Govをご利用の方は次のリンク先から申請を行うことが可能です。
e-Govや電子申請をまだ行なったことがないという方は別の記事で詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。
厚生労働省から労働保険概算保険料の申告(継続)電子申請操作マニュアルの資料が公表されているのでこちらもあわせて参考にしてください。
「労働保険概算保険料申告書」の記入例・書き方を解説しました。
年度更新という保険料の徴収の制度があり、初年度が今年度の概算保険料申告のみ、次年度以降はその年度の概算保険料の申告と前年度の確定保険料の申告をセットで行う必要がありますのでご注意ください。
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