「届出書類の書き方・労働問題」社労士に無料相談
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出勤簿とは法定三帳簿の1つでその事業所の労働者の始業時刻、終業時刻、休憩時刻などの出勤に関する記録をするための帳簿書類です。
似た情報を記録する帳簿書類として「賃金台帳」があげられますが「賃金台帳」が労働基準法で定められている項目に「労働日数」「労働時間数」「時間外・休日・深夜労働時間」はありますが、その計算の基礎となる「始業時刻・就業時刻・休憩時刻」はありません。
労働基準法で定められた「賃金台帳」を正しく調製・記録するために「出勤簿」が必要という位置づけですね。
「賃金台帳」に関しては別の記事で解説していますので参考にしてください。
法定三帳簿とは「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つの帳簿書類です。
「労働者名簿」は労働基準法107条、「賃金台帳」は労働基準法108条で事業主に調製・保管が義務付けられていますが、「出勤簿」に関して具体的な定めはありません。
ただし労働基準法 第4章で「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」が定められていて、法定労働時間、法定休日、年次有給休暇の取得、時間外労働や深夜労働、休日労働に対する割増賃金の支払いなどが事業主に義務付けられています。
そのため「出勤簿」「タイムカード」によって労働者の労働時間や休日に関する事項を管理する義務があるため、法定三帳簿の1つに定められています。
「出勤簿」の調製は労働基準法で明確に義務付けられていませんが、事業主には「労働時間を適正に把握する事」は義務付けられています。
厚生労働省から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が発表されていて、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」として次の事項が挙げられています。
特に「1 | 始業・終業時刻の確認及び記録」「2 | 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法」「5 | 労働時間の記録に関する書類の保存」を確認すると、始業・終業時刻を確認および記録して、出勤簿やタイムカードとして保存しておく義務を明示しています。
引用:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること。
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
つまり、出勤簿そのものは義務付けられていませんが「出勤簿」や「タイムカード」などによって「労働時間を適正に把握する事」を行う必要があり、出勤簿はそのうちの選択肢の一つです。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第 109 条に基づき、5年間保存しなければならないこと。
「出勤簿」で始業時刻・終業時刻などを記録する労働者の範囲は原則その事業所で労働している全ての労働者です。全ての労働者というのは正社員だけではなく、短時間勤務のパートタイマー、アルバイト、そして労働基準法 第41条で定められている管理監督者も含まれます。
労働基準法 第41条で定められている管理監督者は労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されないため「出勤簿」への記録が不要に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、管理監督者も深夜労働の規定は適用され、22時以降に働いた場合は深夜の割増賃金を支払う義務があります。
出勤簿による終業時刻がわからないと、深夜労働の管理が適切に行うことができず、健康確保措置の概念からも「出勤簿」へ記録を行い、事業主は適切な労働時間の管理を行う必要があります。
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
「出勤簿」は労働基準法で記載事項や書き方は定められていませんが、労働基準法 第4章で「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」の管理や割り増し賃金の支払いを義務付けられているため、労働基準法で定められている「賃金台帳」の記載事項でカバーが出来ていない「始業時刻」「終業時刻」「休憩時刻」は「出勤簿」における必要な記載事項と言えるでしょう
厚生労働省の「労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう」の資料では次のような出勤簿の記入例を公表しています。
「始業時刻」「終業時刻」「休憩時刻」だけではなく、「労働時間」「所定労働日数」「出勤日数」「欠勤日数」「有給休暇日数」なども出勤簿に記載していますね。
「出勤簿」で「始業時刻」「終業時刻」「休憩時刻」を記録するために大切な労働時間・休憩時間の考え方は次のようになっています。
「使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とされています。労働契約や就業規則で9時〜18時と定められているからその時間が労働時間になるというものではなく、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかで客観的に判断します。
「労働義務から解放されることが保障されている状態」をさします。例えば手待ち時間などの使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間は休憩時間とは言わず、労働時間に当たります。
「出勤簿」には事業主の印鑑や押印は必要ありません。
出勤簿の保存期間は労働基準法 109条で原則 5年間と定められています。出勤簿は「その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。
経過措置として当分の間3年間となっていますが、退職者の退職金請求権の時効が5年間になっていて、5年間は遡って出勤簿も確認する可能性もあるので、5年間は保存しておいた方がいいでしょう。
出勤簿の保存期間の起算日は「最後に記録した日」です。「最後に出勤簿を記録した日」から起算して5年間保管する義務があります。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
出勤簿をつけていない場合は労働基準法 109条(記録の保存)の規定に違反となり、30万以下の罰金となる可能性があります。
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
タイムカードの機能や種類にもよりますが、基本的な考え方として出勤簿とタイムカードは同じ「労働時間を適正に把握する」ための手段になるので、デジタルか紙かなどの違いだけです。
厚生労働省の通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、労働時間を管理する方法としては次のようなものが挙げられています。
「労働時間を適正に把握する」ための手段として「出勤簿」や「タイムカード」を使用し、労働者の実際の「始業時刻」「終業時刻」「休憩時刻」を記録することで健康確保、賃金計算、有給休暇などを管理することが出来ます。
「出勤簿」は実際に出勤した記録、シフト表は出勤義務がある日時を表にしたものです。シフト表をもとに、出勤したら出勤簿に始業時刻や終業時刻に記録します。
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今回の記事では「出勤簿」について解説しました。
出勤簿は労働者名簿と賃金台帳と並んで法定三帳簿の1つです。出勤簿に関しては労働基準法で記載事項が定められていませんが、労働基準法で事業主に義務付けられている法定労働時間、法定休日、年次有給休暇、割増賃金の支払いなどができるように労働時間を管理する必要があります。
特に「始業時刻」「終業時刻」「休憩時刻」が客観的に把握できるように、管理していきましょう。
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