【法改正】派遣社員の失業保険「1ヶ月待機は必要なし」会社都合となるケース・いつからもらえるかを解説

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派遣社員の場合、契約期間満了によって派遣契約が終了し派遣元の会社を退職するケースがあります。

その場合、雇用保険の被保険者資格の要件を満たし、被保険者資格を取得していた場合、派遣契約が終了して派遣元の会社を退職する事によって、雇用保険の被保険者資格を喪失し、一定の要件を満たすと失業保険をもらえます。

実は少し前になりますが、2009年4月1日に法改正があり、派遣社員が契約期間が満了となった後に雇用保険の被保険者資格を喪失出来るタイミングが変更になりました。

従来の慣習で、1ヶ月待機をしてから雇用保険の被保険者資格を喪失すると思われている方もいらっしゃいますが、実は法改正によって変わっています。

今回の記事は派遣社員の失業保険の1ヶ月待機は必要かどうか解説します。

目次

【法改正】派遣社員の失業保険の1ヶ月待機は不要です。

派遣_失業保険_1ヶ月待機_改正

2009年4月1日の法改正によって、派遣社員が失業保険をもらうにあたり、雇用保険の被保険者資格を喪失する際の、1ヶ月待機は不要になりました

次の文章が2009年4月1日の法改正にあたり、厚生労働省が作成した資料から引用した法改正前・法改正後の改正点です。

2009年4月1日 法改正前

2009年4月1日 法改正前
雇用契約期間の満了時において次の派遣就業先が決まっていなくても、派遣労働者が同一の派遣元事業主の下での派遣就業を希望しており、かつ、派遣元事業主も次の派遣就業を指示する意向がある場合には、雇用契約期間満了後、 1か月程度経過するまでの間は、被保険者資格を喪失しないとの取扱いでした。
※引用:厚生労働省 法改正資料

2009年4月1日 法改正後

2009年4月1日 法改正後
派遣元事業主が、派遣労働者に対して雇用契約期間が満了するまでに次の派遣就業を指示しない場合には、派遣労働者が同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望する場合を除き、雇用契約期間満了時に被保険者資格を喪失するとの取扱いとなります。
※引用:厚生労働省 法改正資料

派遣労働者が同一の派遣元事業主のもとで派遣就業を希望しない場合は、雇用契約期間満了時に、1ヶ月の待機期間を待たずして、被保険者資格を喪失する事が出来るようになりました。

逆に、派遣労働者が同一の派遣元事業主のもとで引き続き派遣就業を希望する場合は、1ヶ月間の間は被保険者資格を継続する事も出来るようになっています。これは次の派遣先を見つけている期間に被保険者資格の得喪の手続きを行わなくてよい為、同一の派遣元事業主のもとで引き続き派遣就業を希望する場合は事務手続き上は便利です。

つまり、希望する場合は1ヶ月は被保険者資格を継続する事が出来、希望しない場合はすぐに被保険者資格を喪失出来るようになったという事ですね。

※参考:厚生労働省 雇用保険適用拡大の資料

派遣でも失業保険を「すぐもらえる訳ではない」

実は今回の法改正によって、本人が更新を希望しない場合は1ヶ月待機期間を経過せずにすぐに被保険者資格を喪失する事が出来るようになりましたが、その後「すぐに失業保険をもらえる訳ではありません」。

本人が更新を希望しない場合の契約期間満了の場合、自己都合退職となり一般受給資格者となりますので、失業保険の給付制限期間2ヶ月間が存在します。

資格喪失の為の待機期間1ヶ月は無くなりますが、給付制限期間2ヶ月間が出来てしまうという事です。

本人が更新を希望する場合は、被保険者資格の喪失までの1ヶ月待機は出来てしまいますが、その後失業保険の給付制限期間はありませんので、本人が更新を希望せず、被保険者資格の喪失までの1ヶ月待機をしない時よりも早く失業保険をもらう事ができます。

派遣社員が失業保険をもらうまでの流れ

STEP 1 契約期間が満了
STEP 2 本人が更新を「希望している」 本人が更新を「希望していない」
被保険者資格の喪失の為の1ヶ月待機 すぐに被保険者資格を喪失
STEP 3 3年未満で更新明示もなし 更新により3年以上
or
3年未満で更新明示あり
会社が契約更新をしない 会社が契約更新をしない
「自己都合」退職 「会社都合」退職 「自己都合」退職
STEP 4 特定理由離職者 特定受給資格者 一般受給資格者
STEP 5 待機期間「7日間」
STEP 6 給付制限「なし」 給付制限「なし」 給付制限「2ヶ月間」
STEP 7 失業保険
「90日〜330日」
失業保険
「90日〜330日」
失業保険
「90日〜150日」

失業保険を受給する為には、受給資格の区分を決定して支給額や支給するタイミングが変わります。

自己都合か会社都合か、本人が更新を希望していたのかなどによって「一般受給資格者」「特定理由離職者」「特定受給資格者」のどれかの区分になります。

派遣社員の失業保険をもらうまでの期間まとめ

本人が更新を希望する本人が更新を希望しない
被保険者資格の喪失の為の1ヶ月待機すぐに被保険者資格を喪失
失業認定の待機期間「7日間」失業認定の待機期間「7日間」
給付制限「なし」給付制限「2ヶ月間」
合計の待機や制限期間「1ヶ月7日間」合計の待機や制限期間「2ヶ月7日間」

失業認定の対期間7日間というのは、受給資格決定後に、仕事ができないという事を試される待機期間7日間の事を指し、どの受給資格者でも必ず7日間は待機をしないといけません。

これらを見てもらうと、被保険者資格の喪失の為の1ヶ月待機はありませんが、それによって給付制限の2ヶ月間が必要になってしまいますのでご注意下さい。

通算契約期間3年以上で契約期間満了の場合の離職票の離職理由が会社都合に

本人が更新を希望する場合で、通算契約期間が3年以上というのが離職理由が会社都合になる派遣契約の一つの目安になります。

契約期間満了で会社都合となるケース

契約期間満了で会社都合となるケースは次の①と②のケースになります。

契約期間満了で会社都合となるケース
本人が更新を希望している 通算契約期間が3年以上(1度以上更新)
本人が更新を希望している 契約時に更新の明示があった場合

契約満了で自己都合となるケース

逆に契約満了で自己都合となるケースは次の①②③のケースになります。

契約期間満了で自己都合となるケース
本人が更新を希望していない
本人が更新を希望している 通算契約期間が3年未満
本人が更新を希望している 契約時に更新の明示がなかった場合
  • 本人の更新を希望の有無
  • 通算契約期間が3年以上(1回以降更新)
  • 契約時に更新の明示の有無

この要素の組み合わせで、会社都合か自己都合かが変わって来ます。

会社都合か自己都合かで失業保険の受給資格や給付制限期間、失業保険の支給額が変わってきますのでご注意下さい。

契約期間満了時の離職理由のフローチャート

別の記事では契約期間満了時の離職理由のフローチャートの図解や表を掲載していますので合わせてご覧下さい。

派遣会社側の会社都合のデメリット

労働者側にとっては会社都合の離職の方が受給資格の要件や、失業保険の支給額が変わるのでメリットがありますが、派遣会社側には会社都合の離職にする事のデメリットはあるのかを確認していきます。

派遣会社側の会社都合による離職のデメリットは、ずばり助成金になります。

助成金は失業保険と同じ雇用保険法で定められていて、一定の受給要件を満たした事業主に助成される制度となります。

その助成金の受給の要件の一つに「6ヶ月以内に会社都合の離職者を出していない」という要件が定められている助成金の種類がいくつかあります。

それらを知っている派遣会社の場合は、会社都合の離職をデメリットだと感じてしまうかもしれません。

まとめ:【法改正】派遣社員の失業保険の1ヶ月待機は不要

今回は、少し前の法改正にはなりますが2009年4月1日より法改正となった派遣社員の失業保険の1ヶ月の待機期間に関しての記事でした。

引き続き派遣就業を希望する場合は1ヶ月は被保険者資格を継続する事が出来て、希望しない場合はすぐに被保険者資格を喪失出来るようになったという事ですね。

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