「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の記入例・書き方を徹底解説!添付書類・第4号の新様式・押印・対象期間中の1週間の平均労働時間数・常時使用する労働者数・特定期間・e-Gov電子申請なども紹介

1 年単位の変形労働時間制に関する協定届

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目次

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」とは

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」とは「1 年単位の変形労働時間制」を会社の制度とするため届出書類です。

「1 年単位の変形労働時間制」とは

「1 年単位の変形労働時間制」とは1ヶ月を超え、1年以内の期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に合わせて法定労働時間を超えて、労働させることができる制度です。

「1 年単位の変形労働時間制」の要件

「1 年単位の変形労働時間制」を導入するための要件は次のようになっています。

  1. 「労使協定」の締結
  2. 「労働日」および「労働日ごとの労働時間」に関する限度を超えない(特定の特例あり)
  3. 「割増賃金」の支払い
  4. 「育児を行う者等」に対する配慮

「労使協定」の締結

「労使協定」とは「労働者と使用者で締結される書面による協定」です。

通常、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、そのような労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との間で締結されます。

「労使協定」を締結した場合の効果として、法の規制は解除されて使用者は法違反による処罰を免れることになります。

法定労働時間は、1日8時間、1週間40時間と決まっていてそれ以上労働させると違法になり、最悪の場合「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の刑事罰を受けることになります。

「1年単位の変形労働時間制」は本来は法定労働時間内で労働したいが、どうしても業務の都合上超過してしまう恐れがあるような年間で業務の繁閑が激しい業種の事業所が採用する制度です。

このように業種や職種上、多少は仕方がないような事業所が、全て刑事罰を受けてしまうとそのような業種の事業所をしたい方がいなくなってしまうので、労働者側と使用者側がお互い合意して「労使協定」を締結した場合は、1年間での平均で法定労働時間を超えなければ法定労働時間を超過しても違法とはないようにする事ができます

労使協定で定めないといけない項目

「労使協定」にこれらを定めて、労働基準監督署へ届出する必要があります。

  1. 「対象労働者の範囲」
  2. 「対象期間」及び「起算日」
  3. 「特定期間」
  4. 「労働日」および「労働日ごとの労働時間」
  5. 労使協定の「有効期間」

「労働日」および「労働日ごとの労働時間」に関する限度を超えない

「1年単位の変形労働時間制」は労使協定を締結することによって、法定労働時間を超えて労働してもらうことができるようになりますが、「労働日」と「労働日ごとの労働時間」に関する限度を定められています。

法定労働時間の1日8時間、1週間40時間を超えることはできますが、定められた限度を超えることはできないことになっています。

  • 労働日の限度1年あたり280日(対象期間が3ヶ月を超える場合)
  • 労働日ごとの労働時間の限度1日10時間、1週間52時間
  • 連続して労働させることができる日数」の限度6日間

「労働日」の限度は対象期間が3ヶ月を超え1年未満の場合は「280日×対象期間の暦日数/365日」となります。

また事業場にすでに旧労使協定が締結されている場合は計算が異なりますので顧問社会保険労務士へ相談してください。

「労働日」および「労働日ごとの労働時間」の特定の特例

原則として労使協定を定めるときに対象期間(3ヶ月を超え1年以内)の「労働日」および「労働日ごとの労働時間」を定めます。ただし1年間の「労働日」および「労働日ごとの労働時間」を定められる事業所はそう多くはありません。

そのため「労働日」および「労働日ごとの労働時間」を特定する特例があります。

1年間を1ヶ月以上に期間で区分して、最初の期間の「労働日」および「労働日ごとの労働時間」を定め、それ以降の期間に関しては30日以上前に改めて定めるというイメージです。

  • 「対象期間」を「1ヶ月以上の期間ごとに区分」
  • 最初の期間における「労働日」および「労働日ごとの労働時間」を定める
  • 最初の期間以外の「労働日数」および「総労働時間労働時間」を定める
  • 各期間の初日の30日以上前に、各期間の「労働日」および「労働日ごとの労働時間」を過半数労働組合または労働者の過半数を代表する者の同意を得て書面で締結

「割増賃金」の支払い

「1年単位の変形労働時間制」は3ヶ月を超え、1年以内の期間で対象期間を定め、その対象期間を平均して法定労働時間を超えていればその超えた分は割増賃金を支払う必要があります。

また対象期間の途中で入社した方や、途中で退職した方などの場合は対象期間よりも短い期間で割増賃金を支払う必要があるかどうかを計算し、支払わないといけません。

[実労働時間における実労働時間]ー[労働基準法第37条の規定に基づく割増賃金の支払いを要する時間]ー[40時間×実労働期間の暦日数/7日間]

「育児を行う者等」に対する配慮

「1年単位の変形労働時間制」は育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練または教育を受ける者などについて、育児や介護などに必要な時間を確保できるような配慮をしなければなりません。

労使協定で定める「対象期間」と「特定期間」とは

労使協定で定める「対象期間」と「特定期間」とはどのような期間なのでしょうか。

「対象期間」とは

「対象期間」とはその期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させることができる1箇月を超え1年以内の期間を指します。

要するに1年単位の変形労働時間制の対象となる期間です。

「特定期間」とは

「特定期間」とは1年単位の変形労働時間制の導入にあたり労使協定で定める対象期間のうちで特に業務が繁忙な時期としする期間です。

通常の対象期間の場合「連続して労働させることができる日数」の限度が「6日間」が上限となっていますが、「特定期間」では、連続して労働させる日数の制限が「12日間」が上限となり緩和されます。

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の記入例

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の記入例はこちらです。

1年単位の変形労働時間制に関する協定届-01
「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の記入例

1 年単位の変形労働時間制に関する「労使協定」の例

1年単位の変形労働時間制に関する協定届-01
厚生労働省「1年単位の変形労働時間制に関する協定届(記入例)

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の書き方

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の書き方はつぎのとおりです。

常時使用する労働者数

  • 常時使用する労働者数

該当労働者数

  • 該当労働者数…1 年単位の変形労働時間制のもと で就労する労働者数を記入

対象期間及び特定期間

  • 対象期間…1年単位の変形労働時間制とする対象期間とその起算日(初日) を記入
  • 特定期間…特定期間を定めた場合 は、その期間を記入
  • 特定期間とは対象期間中の特に業務が繁忙な時期

対象期間中の1週間の平均労働時間数

  • 対象期間中の1週間の平均労働時間数…「[対象期間中の総所定労働時間数/対象期間中の暦日数]×7日」の式から1 週間の平均労働時間数を計算して記入

協定の有効期限

  • 協定の有効期限…1 年以内の有効期間を記入

労働時間が最も長い日の労働時間数(満18歳未満の者)

  • 労働時間が最も長い日の労働時間数…1 日の最長所定労働時間数を記入(1日10時間が限度)
  • 満18歳未満の者…満18歳未満の者がいる場合は()内に別途記入

労働時間が最も長い週の労働時間数(満18歳未満の者)

  • 労働時間が最も長い週の労働時間数…1 週の最長所定労働時間数を記入(1週52時間が限度)
  • 満18歳未満の者…満18歳未満の者がいる場合は()内に別途記入

対象期間中の総労働日数

  • 対象期間中の総労働日数…対象期間中の総労働日数を記入(対象期間が 3 ヵ月を超える場合には労働日数に限度が定められています)
  • 対象期間が1年の場合…280日が労働日数の限度
  • 対象期間が1年未満の場合…「280日×[対象期間中の暦日数/365日]」の計算式により計算した労日数が限度(小数点以下は切り捨て)

労働時間が48時間を超える週の最長連続週数・対象期間中の労働時間が48時間を超える週数

  • 労働時間が48時間を超える週の最長連続週数…1 週 48 時間を超える労働時間を設定した週が連続 3 週以内であることが必要
  • 対象期間中の労働時間が48時間を超える週数…起算日から 3 ヵ月ごとに区切った各期間内において、1 週 48 時間を超える 週の初日の数が3 以内であることが必要

対象期間中の最も長い連続労働日数・特定期間中の最も長い連続労働日数

  • 対象期間中の最も長い連続労働日数…連続する労働日数は 6 日が限度
  • 特定期間中の最も長い連続労働日数…「特定期間」を定めた場合に限り記入。最低でも1週間に1日の休日を確保する必要があるため、連続労働日数は12日が限度。
  • 特定期間とは対象期間中の特に業務が繁忙な時期

旧協定に対象期間・旧協定の労働時間が48時間を超える週数

  • 旧協定に対象期間
  • 旧協定の労働時間が48時間を超える週数
    …前回所轄労働基準監督署長に届出した 1年単位の変形労働時間制に関する協定届がある場合にその内容を転記

旧協定の労働時間が最も長い日の労働時間数・旧協定の対象期間中の総労働日数

  • 旧協定の労働時間が最も長い日の労働時間数
  • 旧協定の対象期間中の総労働日数
    …前回所轄労働基準監督署長に届出した 1年単位の変形労働時間制に関する協定届がある場合にその内容を転記

協定の成立年月日・過半数代表者(職名・氏名)・協定の当事者の選出方法

  • 協定の成立年月日…有効期間の初日以前の日付で記入
  • 過半数代表者(職名・氏名)…過半数代表者の職名と氏名を記入
  • 協定の当事者の選出方法…協定の当事者の選出方法を記入

過半数代表者の適格性のチェックボックス(2箇所)

  • 過半数代表者の適格性のチェックボックス(2箇所)…質問に該当するような方法で過半数代表者を選出して、該当すればチェックボックスへチェックを入れる

届出年月日・届出先労働基準監督署名・使用者(職名・氏名)

  • 届出年月日…届出年月日を記入
  • 届出先労働基準監督署名…届出先となる労働基準監督署の名称を記入
  • 使用者(職名・氏名)…使用者の職名と氏名を記入

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の押印は不要

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の様式第4号の新様式となり押印は不要となりました。

「労使協定」への押印は必要

「労使協定」への押印は変わらず必要になりますのでご注意ください。

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の添付書類

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の添付書類は「1年単位の変形労働時間制の要件を満たした労使協定」を添付する必要があります。

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の提出先

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の提出先は所轄の労働基準監督署です。

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」様式第4号の新様式のダウンロード

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」様式第4号の新様式のダウンロードは厚生労働省ホームページ「労働基準法関係主要様式」コーナーからダウンロードすることができます。

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」のe-Gov電子申請の方法

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」をe-Govで電子申請をする方法は次のとおりです。

e-Govの手続検索から「1年単位の変形労働時間制」と検索

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」のe-Gov電子申請の方法-01

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」を選択

「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」のe-Gov電子申請の方法-02

また、社会保険の電子申請のやり方、全体像に関しては別の記事で解説しているので参考にしてください。

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まとめ「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の記入例・書き方を徹底解説!添付書類・第4号の新様式・押印・対象期間中の1週間の平均労働時間数・常時使用する労働者数・特定期間・e-Gov電子申請なども紹介

今回は「1 年単位の変形労働時間制に関する協定届」の記入例と書き方を解説しました。

「1 年単位の変形労働時間制」は法定労働時間を超えて労働させることができる制度ですが、対象期間、特定期間であっても上限は定められていますのでご注意ください。

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