目次
「雇用保険被保険者資格取得届」とは
「雇用保険被保険者資格取得届」とは「労働者を雇用保険へ加入する義務が生じたときに公共職業安定所(ハローワーク)に届出するための書類」です。
「雇用保険被保険者」とは
「雇用保険被保険者」とは「雇用保険適用事業所」に雇われていて「31日以上の雇用見込みがあること」「1週間の所定労働時間が20時間以上であることのいずれにも該当する労働者です。
雇用保険被保険者の要件
次のいずれにも該当する場合は雇用保険被保険者の要件に該当し、雇用保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
雇用保険とは
「雇用保険」とは「雇用に関する総合的な機能をもった保険制度」です。
「雇用保険」には「失業等給付」「育児休業給付」「雇用二事業」の3事業から構成されていて、失業時の所得保障や、再就職の促進、介護や育児休業時の所得保障、能力開発や雇用安定のための助成金などを目的としています。
雇用保険の3事業
- 「失業等給付」…失業時の所得保障や、再就職の促進などを目的とした事業
- 「育児休業給付」…育児休業時の所得保障を目的とした事業
- 「雇用二事業」…雇用調整助成金や人材育成支援助成金などの雇用の安定や能力開発に関する事業
「雇用保険被保険者資格取得届」の書き方〜令和4年度〜
「雇用保険被保険者資格取得届」の書き方を各項目ごとに画像付きで説明していきます。
1 個人番号・2 被保険者番号・3 取得区分
- 1 個人番号…被保険者の個人番号を記入
- 2 被保険者番号…3で「2 再取得」を選択した場合にのみその被保険者証に記載されている被保険者番号を記入(「1 新規」の場合は記入不要)
- 3 取得区分…「過去に被保険者になったことのない」「最後に被保険者でなくなった日から7年以上経過」の場合は「1 新規」を選択、それ以外の場合は「2 再取得」を選択して記入
- 被保険者番号が16桁で構成されている場合、下段の10桁のみを記入。最初の4桁を最初の4つの枠内に残りの6桁を「」に続く6つの枠内に記載し最後の枠は空枠
4 被保険者氏名(漢字)・フリガナ(カタカナ)
- 4 被保険者氏名(漢字)…被保険者の氏名を漢字で記入。
- フリガナ(カタカナ)…被保険者の氏名をカタカナで記入。
- 姓と名の間は1文字空けてください。
- 濁点・半濁点は1文字としてください。
6 性別・7 生年月日・8 事業所番号
- 6 性別…被保険者の性別を記入
- 7 生年月日…被保険者の生年月日を記入
- 8 事業所番号…被保険者を雇用する事業所に付与されている事業所番号を記入(雇用保険適用事業所設置届の事業主控えに記載されています)
- 事業所番号が連続した10桁の構成である場合、最初の4桁を最初の4つの枠内に、残りの6桁を「」に続く6つの枠内にそれぞれ記入し最後の枠は空枠とする
9 被保険者となったことの原因
- 9 被保険者となったことの原因…被保険者になった原因を記入。
- 新卒で入社したことにより被保険者となった場合は「1 新規雇用(新規学卒)」、中途入社したことにより被保険者となった場合は「2 新規雇用(その他)」、日雇からの切り替えの場合は「3 日雇からの切替」となります。
10 賃金・11 資格取得年月日・12 雇用形態・13 職種・14 就職経路・15 1週間の所定労働時間
- 10 賃金…「臨時の賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金及び超過勤務手当を除く賃金月額」と「支払の態様」を記入(千円未満四捨五入)
- 11 資格取得年月日…原則として雇い入れた日を記入(使用期間も含む)
- 12 雇用形態…雇用形態を記入
- 13 職種…裏面にある区分を参考に職種を記入
- 14 就職経路…就職経路を記入
- 15 1週間の所定労働時間…資格取得年月日における1週間の所定労働時間を記入
16 契約期間の定め
- 16 契約期間の定め…契約期間の定めについて該当するものの番号を記入。
雇用契約期間の定めのない正社員の場合「2 無」を記入。
「1 有」を記入した場合、その契約期間とともに契約更新の条項の有無を記入
事業所名
事業主(住所・氏名・電話番号)
- 住所…事業主の住所を記入
- 氏名…事業主の氏名を記入(法人の場合は会社名+役職+代表者の氏名、個人事業主の場合は屋号+代表氏名)
- 電話番号…事業主の電話番号を記入
届出年月日・申請先
被保険者が外国人の場合の「雇用保険被保険者資格取得届」の書き方
被保険者が外国人の場合は「雇用保険被保険者資格取得届」の17〜22欄を追加で記載します。
17 被保険者氏名(ローマ字)・18 国籍 地域・19在留資格
- 17 被保険者氏名(ローマ字)…被保険者の氏名をローマ字で記入
- 18 国籍・地域…被保険者の国籍と地域を記入
- 19 在留資格…被保険者の在留資格を記入
20 在留期間・21 資格外活動許可の有無・22 派遣 請負就労区分
- 20 在留期間…被保険者の在留期間を記入
- 21 資格外活動許可の有無…「家族滞在」の在留資格の者等、資格外活動の許可を得て就労する外国人労働者は資格外活動許可の有を記入、資格外活動許可が無い外国人労働者の場合は無を記入
- 22 派遣・請負就労区分…派遣・請負労働者として主として届出の事業所以外で就労する者については1を記入、該当しない場合は2を記入
「雇用保険被保険者資格取得届」のダウンロード方法
「雇用保険被保険者資格取得届」はハローワークのサイトからダウンロードできます。
ハローワーク公式サイトで「雇用保険被保険者資格取得届」のPDFのダウンロードの流れ
STEP
利用上の注意に「チェック」を入れる
ハローワークのサイトの下段に利用上の注意がありますので確認の上、同意するにチェックを入れる。
STEP
「様式のみ印刷」をクリック
「様式のみ印刷」「内容を入力して印刷」が選択できますので何も入力していないまっさらな「雇用保険被保険者資格取得届」をダウンロードしたい場合は「様式のみ印刷」を選択してください。
STEP
PDFデータで最新の「雇用保険被保険者資格取得届」のダウンロード完了
ご利用のブラウザで「雇用保険被保険者資格取得届」の最新のPDFデータがダウンロードされています。PDFを閲覧するにはAdobe Readerというソフトが必要になります。Adobe Readerは無料で配布されていますのでご利用ください。
「内容を入力して印刷」を選択するとブラウザ上で各項目を入力し、入力したものが「雇用保険被保険者資格取得届」の書式に反映されたものをダウンロードすることもできます。手書きの必要がありませんので非常に便利なので是非ご利用ください。
「雇用保険被保険者資格取得届」の添付書類
「雇用保険被保険者資格取得届」は次のいずれかに該当する場合を除いて、原則として添付書類の提出は不要です。
- 事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合
- 被保険者資格取得届について届出期限を過ぎて提出される場合
- 過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
- 労働保険料の納付の状況が著しく不適切である場合 など
添付書類の提出が必要な場合
「雇用保険被保険者資格取得届」は次のいずれかに該当する場合は添付書類が必要となります。
- 事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合
- 被保険者資格取得届について届出期限を過ぎて提出される場合
- 過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
- 労働保険料の納付の状況が著しく不適切である場合 など
- 提出期限…原則は被保険者となった事実のあった日の属する月の翌月 10 日
- 公共職業安定所において、届出内容を確認する必要がある場合には、後日添付書類の提出をお願いする場合があり
事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合に必要な添付書類
「雇用保険被保険者資格取得届」を届出するにあたり添付書類が必要になる場合の一番多いシーンは「事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合」です。そのときに必要な添付書類は次の4つになります。
- 雇用保険適用事業所設置届
- 労働保険保険関係成立届の事業主控(労働基準監督署受理済みのもの)
- 事業所の実在、事業の種類、事業開始年月日、事業経営の状況、他の社会保険の加入状況を証明することができる書類
- 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)
雇用保険適用事業所設置届とは
「雇用保険適用事業所設置届」とは「雇用保険適用事業所」となった場合に届出する書類です。
「雇用保険被保険者資格取得届」は、働いている労働者が雇用保険の被保険者となる場合に必要な書類ですが、労働者が雇用保険の被保険者になるのは、事業所を雇用保険の適用事業所でないといけません。「雇用保険適用事業所設置届」は事業所を雇用保険の適用事業所とするための手続きを行うための届出書類となり、「雇用保険被保険者資格取得届」と「雇用保険適用事業所設置届」をセットで提出する場合がほとんどです。
すでに事業所が雇用保険の適用事業所となっている場合は「雇用保険適用事業所設置届」の添付は必要ありません。
「雇用保険適用事業所設置届」を含む「次の4つの必要な書類」に関しては別の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
- 雇用保険適用事業所設置届
- 労働保険保険関係成立届の事業主控(労働基準監督署受理済みのもの)
- 事業所の実在、事業の種類、事業開始年月日、事業経営の状況、他の社会保険の加入状況を証明することができる書類
- 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)
「雇用保険被保険者資格取得届」の提出期限
「雇用保険被保険者資格取得届」の提出期限は「義務が生じた日(労働者を雇い入れた日)の日の属する月の翌月10日」です。
「雇用保険被保険者資格取得届」の提出先
「雇用保険被保険者資格取得届」の提出先は所轄の公共職業安定所(ハローワーク)です。
事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合に必要な届出書類・提出期限・提出先
添付書類で紹介した雇用保険被保険者資格取得届と労働保険保険関係成立届の提出期限も含めて提出期限と提出先をまとめた表です。
種類 | 提出期限 | 提出先 |
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労働保険保険関係成立届 | 保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内 | 所轄の労働基準監督署 |
雇用保険被保険者資格取得届 | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで | 所轄の公共職業安定所 |
雇用保険適用事業所設置届 | 労働者を雇い入れた日の翌日から起算して10日以内 | 所轄の公共職業安定所 |
労働保険保険関係成立届の事業主控え | 雇用保険適用事業所設置届の届出時に添付 | 所轄の公共職業安定所 |
事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合に必要な届出書類・提出期限・提出先
労働保険関係成立届をまず労働基準監督署へ提出し、その後に労働保険関係成立届の事業主控えを添付して、雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を公共職業安定所へ提出する流れとなります。
「雇用保険被保険者資格取得届」の個人事業主の場合の注意点
「雇用保険被保険者資格取得届」の個人事業主の場合の提出方法も法人の場合と同様です。
個人事業主の場合の注意点としては、個人事業主と同居している親族は原則として雇用保険に加入することはできません。
- 実質的に代表者の個人事業と同様と認められる法人を含む
個人事業主と同居する親族でも雇用保険に加入することが出来る条件
個人事業主と同居する親族でも次の条件を全て満たす場合は雇用保険に加入が可能になります。
- 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
- 就業の実態が当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること
- 事業主と利益を一にする地位(取締役等)にないこと
就業の実態が当該事業所における他の労働者と同様
就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、次の管理が他の労働者と同様になされている場合は「就業の実態が当該事業所における他の労働者と同様」にあたります。
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等
- 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期等
「雇用保険被保険者資格取得届」の事業主控の再発行の方法
「雇用保険被保険者資格取得届」の事業主控の再発行の方法は、「雇用保険各種再交付申請書」を記入して所轄の公共職業安定所へ提出してください。
「雇用保険被保険者資格取得届」のe-Govでの電子申請の方法
「雇用保険被保険者資格取得届」の電子申請で届出することも可能です。すでにe-Govをご利用の方は次のリンク先から申請を行うことが可能です。
e-Govや電子申請をまだ行なったことがないという方は別の記事で詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。
令和4年度「雇用保険被保険者資格取得届」の「記入例・書き方」を解説!ダウンロード・必要添付書類・職種・提出先・提出期限・再発行・e-Govでの電子申請・外国籍・外国人の場合の注意点も紹介
今回の記事では「雇用保険被保険者資格取得届」の書き方を解説しました。
「雇用保険被保険者資格取得届」とは労働者を雇入れ、その労働者が雇用保険の被保険者の要件に該当するときに公共職業安定所(ハローワーク)へ届出をする届出書類です。
初めて労働者を雇い入れた場合と、すでに雇用保険被保険者となる労働者がいる場合とで申請に必要な書類や流れが異なりますのでご注意ください。