「賃金台帳」の書き方・記入例の見本|給与明細との違い・記載事項や項目・保存期間・役員や個人事業主の場合・テンプレートやフォーマットのダウンロード方法も紹介

「賃金台帳」の書き方・記入例の見本

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目次

「賃金台帳」とは

賃金台帳とは労働基準法 施行規則 第54条で定められた氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜労働時間数などの主に賃金に関する項目が記載された労働基準法 108条で調製・記入が義務付けられている法定三帳簿書類の1つです。

法定三帳簿とは

法定三帳簿とは労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の労働基準法で調製・保管が義務付けられた3つの帳簿書類です。

労働者名簿に関しては別の記事で解説していますので参考にしてください。

労働基準法 施行規則 第54条

  1. 使用者は、法第百八条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。
    一 氏名
    二 性別
    三 賃金計算期間
    四 労働日数
    五 労働時間数
    六 法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
    七 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
    八 法第二十四条第一項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額
  2. 前項第六号の労働時間数は当該事業場の就業規則において法の規定に異なる所定労働時間又は休日の定をした場合には、その就業規則に基いて算定する労働時間数を以てこれに代えることができる。
  3. 第一項第七号の賃金の種類中に通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額を記入しなければならない。
  4. 日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については、第一項第三号は記入するを要しない。
  5. 法第四十一条各号のいずれかに該当する労働者及び法第四十一条の二第一項の規定により労働させる労働者については第一項第五号及び第六号は、これを記入することを要しない。

労働基準法 108条

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

「賃金台帳」の記載事項の8項目

「賃金台帳」は労働基準法 施行規則 第54条で記載事項が8項目が定められています。

労働基準法 施行規則 第54条で定められた「賃金台帳」の記載事項・項目は次の8項目です。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外・休日・深夜労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
  8. 法第二十四条第一項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額

「賃金台帳」に記入する対象者

「賃金台帳」に記入する対象者はその事業所で労働している労働者全てです。

労働基準法では労働者を「事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定められていて、この労働者は正社員だけではなく、パートタイマーやアルバイトなどの有期雇用労働者、短時間労働者も含まれます。

法定三帳簿の労働者名簿と賃金台帳では「日雇い労働者」「役員」の取り扱いが異なりますのでご注意ください。

日雇い労働者の場合

「賃金台帳」に記入する対象者に日々雇い入れられる日雇い労働者も含まれます。

法定三帳簿の労働者名簿に記入する対象者には日雇い労働者は含まれませんが、賃金台帳に記入する対象には含まれますのでご注意ください。

役員の場合

「賃金台帳」に記入する対象者に役員も含まれます。

役員は一般的には使用者に当たりますので「労働者」には当たりません。ただし役員報酬が少しでもある限りは社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者となり、社会保険料の控除額を記入する必要があるため、賃金台帳に記入しておいたほうが良いでしょう。

管理監督者の場合

「賃金台帳」に記入する対象者に管理監督者も含まれます。

ただし労働基準法 第41条に当たる管理監督者は、労働時間・休憩・休日の規定は適用されません。

「労働時間数」「時間外労働」「休日労働」の時間数は記載する必要がありませんが、深夜労働による割増賃金は管理監督者も支給の対象となるため「深夜労働時間数」の記載は必要です。

個人事業主は「賃金台帳」は必要?

事業所が法人ではなく個人事業主の場合も、労働者を雇用していれば「賃金台帳」は必要は必要になります。

「賃金台帳」と「給与明細」との違い

「賃金台帳」は主にその事業所で労働している労働者の賃金に関する事項を記載していますが、似たようなものとして給与明細があります。賃金台帳と給与明細の違いとしては、賃金台帳はその事業所の全労働者の最低5年間の賃金情報を事業所で保管しているもの、給与明細は労働者1人1人のその月の賃金情報を記入して労働者へ交付しています。

つまり給与明細の全労働者の最低5年分をまとめている帳簿書類が、賃金台帳となります。

給与明細を労働者に発行しているのみで、事業所で賃金情報を管理していない場合、万が一後で確認が必要になった場合に事業所側も労働者側も対応することが出来ない可能性があります。

賃金台帳給与明細
保存責任事業所側労働者側
保存期間原則5年間労働者の自由
範囲全労働者の各月の賃金情報労働者1人のその月の賃金情報
「賃金台帳」と「給与明細」との違い

「賃金台帳」の記入例・見本

賃金台帳の記入例・見本
「賃金台帳」の記入例・見本

「賃金台帳」の書き方

「賃金台帳」の書き方を各項目ごとに解説していきます。

氏名・性別

労働者の氏名、性別を記入します。

賃金計算期間

賃金計算期間には賃金計算の締日の翌日から翌締日までの賃金計算の対象期間を記載します。

例えば締日を月末、賃金支払日を翌25日の事業所で5月25日支払いの賃金集計期間は「4月1日から4月31日」になります。

労働日数・労働時間数

労働日数・労働時間数には賃金計算期間に労働者が労働した日数と時間数を記載します。

残業時間、休日労働日数がある場合はそれも加算した労働日数・労働時間数を記載します。

例えば所定労働日数 20日間・所定労働時間 8時間の労働者が、賃金集計期間に休日労働を1日(8時間)行った場合は労働日数は21日、労働時間数は168時間(21日×8時間)と記載します。

有給休暇を使用した場合

有給休暇を使用した場合、仮に有給休暇を1日使用した場合は労働日数1日、労働時間数は所定労働時間数の8時間に換算します。有給休暇を使用したことがわかるように記載しましょう。

時間外・休日・深夜労働時間数

時間外・休日・深夜労働時間数には、早出残業時間数・深夜労働時間数・休日労働時間数を記載します。

残業手当、深夜手当、休日出勤手当などの割増賃金の計算で使用します。

深夜労働とは原則午後10時から翌日午前5時までの時間に労働した時間です。時間外労働かつ深夜労働の場合は時間外労働と深夜労働のそれぞれにカウントする必要がありますのでご注意ください。

例えば就業時刻が午後6時の労働者が午後11時まで労働した場合は、5時間の時間外労働と1時間の深夜労働となります。

基本給、所定時間外割増賃金、手当

基本給、所定時間外割増賃金、手当には基本給、所定時間を超えて働いた時間に対する割増賃金、通勤手当、役職手当、家族手当などの各種手当などを記載します。

小計には基本給、所定時間外割増賃金、手当の合計額を記載してください。

臨時の給与、賞与

臨時の給与、賞与には結婚祝金、見舞金などの一時的に支払われた賃金や、賞与(3カ月を超える期間ごとに支払われるもの)を記載します。

控除額

控除額には、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料など賃金から控除される金額を記載してください。

旅行積立費など、事業所独自で控除している控除額も記載します。

「賃金台帳」の保存期間

「賃金台帳」の保存期間は労働基準法 第109条で原則「5年間」となっています。

「賃金台帳」の保存期間 5年間の起算日

「賃金台帳」の保存期間 5年間の起算日は労働基準法 施行規則56条で「最後の記入をした日」と定められています。

労働基準法 第109条(記録の保存)

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない。

「賃金台帳」を調製・保管していない場合の罰則

「賃金台帳」を調製・保管していない場合は罰則の対象となり「30万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。

「賃金台帳」のテンプレート・フォーマットのダウンロード

「賃金台帳」は労働基準法 施行規則 第54条で定めれられている記載事項の8項目が記載されていれば、どのようなフォーマットを使用しても問題ありません。

厚生労働省のホームページに労働基準法 施行規則 第54条で定めれられている記載事項の8項目が記載されているテンプレート・フォーマットがダウンロードすることができます。

まとめ:「賃金台帳」の書き方・記入例の見本|給与明細との違い・記載事項や項目・保存期間・役員や個人事業主の場合・テンプレートやフォーマットのダウンロード方法も紹介

今回の記事では「賃金台帳」の書き方・記入例の見本を解説しました。

労働基準法で、記載事項や項目、保存期間が定められていますのでご注意ください。

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