確定拠出年金「だまされるな」と思ったときに確認する「4つの事実」

届出書類の書き方・労働問題」社労士に無料相談

CONTACT

社会保険労務士事務所 NEUTRALへのご相談はお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。

少子高齢化によって公的年金の受給開始年齢の引き上げが予測され「60歳以降の老後の資産形成は日本国民にとって重要な問題」です。

そんな老後の資産形成を目的に「確定拠出年金」という制度があり加入者数は740万人以上と年々増加しています。

ただ確定拠出年金に限らずまだまだ日本人の投資への考え方がネガティブな方も多く「確定拠出年金」の加入するか検討しているときに「だまされるな」という記事や周囲の意見があった際に事実を確認しないで噂や感情で判断していまう方もいらっしゃいます。

ネットで検索すると「ひどい」「だまされるな」「罠」などというキーワードもチラホラ。

今回の記事では従業員目線で、確定拠出年金に加入するか検討している際、「だまされるな」と思ったときに確認する4つの事実について解説します。

目次

結論:確定拠出年金「だまされるな」と思ったときに確認する「4つの事実」

確定拠出年金_だまされるな

確定拠出年金に加入するか検討している際、「だまされるなと思ったときに確認する4つの事実」は次のとおりです。

  1. 確定拠出年金の「目的
  2. 確定拠出年金の「デメリット
  3. 確定拠出年金の「メリット
  4. だまされた」と思う理由

確定拠出年金は「税金・社会保険・投資など複数の知識」をもとに「デメリットとメリット」のどちらも生じます。

また損得だけではなく本来の目的を理解してデメリット・メリットを判断しないといけません。

税金・社会保険・投資など複数の知識」を正しく理解できている一般の方が少ないのは当然のことなのですが、その状態で判断することはご自身にとってはマイナスになってしまう場合もありますので、「目的とメリット・デメリットを正しく理解して判断していきましょう」。

確定拠出年金の「目的」

確定拠出年金の目的は次のとおりです。

まずは法律上はどのような目的なのかを確認していきます。

第一章 総則(目的)第一条 この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を「個人が自己の責任において運用」の指図を行い、「高齢期においてその結果に基づいた給付を受ける」ことができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、「国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援」し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

引用:e-Gov「確定拠出年金法」

法律上、確定拠出年金を制定した理由は「個人が自己の責任において運用」して「高齢期においてその結果に基づいた給付を受ける」事が目的となっていて、国はその努力を支援しようという形になっています。

少し話しが複雑になるので簡単に解説しますが「確定拠出年金」とは反対に「確定給付企業年金」というものが存在します。

読んで字の如くなのですが

  • 「確定拠出年金」…拠出額(掛け金)を確定して、将来の給付額は未確定(運用結果次第)の制度
  • 「確定給付企業年金」…将来の給付額を確定して、企業がそれに応じた拠出額(掛け金)を拠出する制度

となっていて比較すると次のようになっています。

確定拠出年金は「企業型」と「個人型」の2種類がある

確定給付企業年金 確定拠出年金
「企業型」確定拠出年金
(企業型DC)
「個人型」確定拠出年金
(iDeCo)
毎月の掛け金の支払い 企業」が支払う 企業」が支払う 個人」が支払う
将来の給付額 確定 未確定(運用結果次第)
運用 企業」が運用 個人」が運用
資産管理 企業」が管理 外部の運営管理機関」が管理
投資商品の変更 できない できる

これを見ると「確定給付企業年金の方がメリットがあると感じる方の方が多いと思いますが、デメリットもあります。

「確定給付企業年金」は資産も含めて企業が管理するため、運用がうまくいかず給付のための資産が足りない場合に企業が追加で負担しないといけなくなり企業側の負担が大きくなります。

企業の業績は良い時だけではなく、悪化することもありますので「将来の給付が企業に依存するのはデメリット」という見方もできます。

その点「確定拠出年金」は原則は企業が掛け金を支払いますが、外部の運営管理機関が管理をしているので企業に依存するというデメリットがありません。運用は自己責任になりますが、その分投資商品の変更もできたり運用結果によっては給付額を大きくする事もできますので依存度や低く、流動性が高いというのはメリットにもなります。

このような事から「確定拠出年金」は「自己責任で運用し、企業への依存度を低くすることでリスクを分散し、将来の所得の確保をしていくという「目的という事を確認しましょう。

確定拠出年金の「デメリット」

確定拠出年金の「デメリット」は次のとおりです。

  1. 60歳まで引き出す事ができない
  2. 運用は「自己責任

どちらも聞こえはデメリットに感じますが、実際はどうなのでしょうか。目的を鑑みて確認していきましょう。

60歳まで引き出す事ができない

確定拠出年金の「最大のデメリット」は「60歳まで引き出す事ができない」という事だと思います。

「企業型」確定拠出年金「個人型」確定拠出年金それぞれ、「60歳まで引き出す事ができない」について考察していきます。

「企業型」確定拠出年金

企業型の場合は掛け金は原則は企業が拠出するので「60歳まで引き出す事ができない」というのはあまりデメリットにはなりません。

ただ「企業型」確定拠出年金の掛け金の拠出の方法は3種類あり「①通常どおり企業だけが拠出する方法」、「②企業と個人がそれぞれ掛け金を拠出するマッチング拠出式」、「③個人が掛け金を拠出する方法で任意で確定拠出年金に加入するかどうかを選択する選択式」に分かれています。

①原則 ②マッチング拠出 ③選択式
掛け金の拠出 企業 企業+個人 個人
確定拠出年金への加入 原則加入 原則加入
(個人の拠出金額は任意)
任意
60歳まで引き出せない事がデメリットになるか ならない なる場合もある なる場合もある

まず①原則の場合、企業が掛け金を拠出して従業員は掛け金を拠出しませんので、それを60歳まで引き出す事ができないから確定拠出年金に加入したくないと思う方はほとんどいらっしゃらないのではないと思われるのでデメリットとは言えないように思います。

②マッチング拠出の場合、基本は企業は掛け金を拠出し、一定の範囲で個人も任意で掛け金を上乗せする事ができる方法です。この場合も①と同様に基本は企業が掛け金を拠出していて、上乗せ部分は任意となりますので60歳まで引き出す事ができないからデメリットだと感じるなら上乗せはしなければ、大きなデメリットとはならないかと思います。

③選択式の場合は、個人がご自身の給料の中から一定の範囲で拠出額を拠出するかどうかを任意で選択する方法です。給料を減らして、掛け金を拠出するので60歳まで引き出せないというのはリスクにはなりますが、こちらも任意になりますのでもしリスクだと感じる場合は確定拠出年金に加入しない事も選択ができます。

ただ目的を見返した際に「確定拠出年金」の目的は若い時にお金を使う為の貯蓄ではなく、老後の所得確保が目的となりますので、60歳まで引き出せないという強制力は60歳以降の所得確保という目的からするとメリットと捉える事もできます。

デメリットと捉えるというよりも、リスクとして正しく理解をしてご自身のリスク許容度の範囲でうまく活用する事をおすすめします。

「個人型」確定拠出年金

個人型の場合は掛け金を自分で拠出するので「60歳まで引き出す事ができない」というのはリスクにはなり得ます。それでも確定拠出年金をする理由としては次のとおりになります。

  1. 所得控除」の対象になり翌年の所得税と住民税が安くなる
  2. 60歳まで引き出せない事で「確実に高齢期に所得確保ができる

「企業型」の選択式も同様ですが「個人型」確定拠出年金はご自身で掛け金を拠出します。

その場合「60歳まで引き出す事ができない」というのはリスクにはなり得ますが、掛け金は所得控除の対象となりますので、翌年の所得税と住民税が安くなります。

掛け金を拠出せずに、ご自身で銀行に定期預金をして老後に備えた場合と比較すると、所得税や住民税が安くなるというメリットもあります。

また「企業型」のところでも解説しましたが本来の目的である「老後の所得確保」という観点で考えた場合に「60歳まで引き出す事ができない」事がメリットにも捉える事ができますのでご自身のリスク許容度に合わせて掛け金を設定する事がいいのかと思います。

運用は自己責任

確定拠出年金は運用は自己責任となり、これをデメリットと感じる方も多いのではないでしょうか。

運用を企業へ任せ「企業への依存度が高くなる事もデメリット」となりますので、「運用を自己責任で行う事で依存度を減らせるメリットにも捉える事ができます」。

確定拠出年金は運用を自己責任で行うメリットを鑑みて作られた制度となり、目的に含まれていますのでデメリットとして捉えるのではなく、「自己責任で行う事でご自身の金融知識が上がり、老後の給付額を増やす事ができるチャンス」と捉えていきましょう。

企業型の場合は掛け金は原則は企業が拠出しますので、ご自身の運用結果が少し良くなくてもご自身で拠出や貯蓄をするよりもメリットはあるという事も忘れないようにしておきましょう。

確定拠出年金の「メリット」

確定拠出年金はデメリットやリスクだけではなくメリットもあります。

確定拠出年金のメリットは次のとおりです。

  1. 所得控除の対象となり「翌年の所得税、住民税が減る」(ご自身で貯金する場合は所得控除とならない)
  2. 60歳まで引き出す事ができない為「確実に老後の所得確保ができる
  3. 企業型確定拠出年金の場合「掛け金を企業が負担してくれる
  4. 投資商品の「運用益が非課税
  5. 受給時の際に「一時金なら退職所得控除」「年金なら公的年金控除」の対象になる

1〜3に関してはすでに解説していますので、4と5について確認していきましょう。

投資商品の「運用益が非課税」

通常、証券会社などで投資をした場合「運用益の20%を税金として納めないといけません」。

確定拠出年金の場合、つみたてNISAなどと同様に「運用益が非課税」となっているため運用益にたいして税金を納める必要がありません。

特に「老後の所得確保を目的として長期運用」をしていく場合、この「税金の差が積み重なり、さらに複利によって最終的な積立額が大きく変わってきます」。

運用益が非課税」というのは「非常に大きなメリット」ですね。

受給時の際に「一時金なら退職所得控除」「年金なら公的年金控除」の対象になる

運用益が非課税になったり、掛け金が所得控除の対象になるだけではなく、確定拠出年金にはさらに税制優遇があります。

それは60歳到達時に受給する際に「一時金」「年金」もしくは「一時金+年金」として受け取りますが、その際に受け取り方法が「一時金の場合は退職所得控除」、「年金なら公的年金控除」の対象となります。

その為、課税の対象となる課税所得は「退職所得控除」「公的年金控除」後の所得が課税対象となります。

「だまされるな」と思う理由

確定拠出年金の加入を検討している際に「だまされるな」「ひどい」「罠」などと「ネガティブに感じてしまう理由」は、「制度の目的、メリット、デメリットを正しく理解していない」、「事前に教えてもらっていない」という事が主な理由だと思います。

客観的に見ると、目的に対してリスクはあれど、デメリットに感じてしまう部分は実はメリットとも捉えられますが、「正しく理解していないとデメリットだけに見えてしまったり、後からデメリットを聞く」と「だまされた」と感じてしまうのではないでしょうか。

加入を検討している方は、確定拠出年金の制度の本来の目的と、メリット、デメリットを正しく理解をして判断をしてください。

まとめ:確定拠出年金「だまされるな」と思ったときに確認する「4つの事実」

今回の記事では確定拠出年金の加入を検討している際に「だまされるな」と思ったときに確認する4つの事実について解説した記事でした。

目的の理解すると、一見デメリットに感じる部分もメリットと捉える事もできましたね。

加入が義務付けられる企業型の場合は掛け金は企業が払う為、デメリットはありませんし、個人型の場合はそもそも加入するかどうかは任意になります。

非課税になったり、所得控除の対象となり翌年の税金が安くなるメリットもありますのでご自身の老後の所得確保に向けて、ご自身のリスク許容度に合わせて検討してみてください。

人事労務は社会保険労務士に無料相談

  • 従業員が増えてきて「人事労務の届出書類や手続きが増えてきた
  • 法改正は毎年あるのに「就業規則変更を数年していない
  • もっと「助成金制度提案」が欲しい
  • 管理職人事部に「労働基準法や社会保険の研修」をしてもらいたい

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次