「届出書類の書き方・労働問題」社労士に無料相談
CONTACT
社会保険労務士事務所 NEUTRALへのご相談はお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。
社会保険労務士事務所 NEUTRALへのご相談はお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。
2020年の女性の育休取得率が83%という高い水準に対して、男性の育休取得率は12.65%と増加傾向にはありますが、女性と比べるとまだまだ低い、男性の育休取得率。
2022年4月から育児介護休業法という法律が改正され男性の育休取得に関する様々な変更点があります。
今回の記事では男性の育休の2022年の法改正をわかりやすくポイントをまとめた記事になります。
今回の育児介護休業法の法改正の内容をまとめた表がこちらです。
改正項目 | 現状 | 2022年4月〜 | 2022年10月〜 | |
1 | 労働者に個別の「周知・意向確認」 | 努力義務 | 義務 | 義務 |
2 | 有期雇用労働者の「取得要件の緩和」 | 取得不可 | 取得可能 | 取得可能 |
3 | 「産後パパ育休」の創設 | パパ休暇 | パパ休暇 | 産後パパ育休 |
4 | 育児休業の「分割取得」 | 妻:最大1回 夫:最大2回 |
妻:最大1回 夫:最大2回 |
妻:最大2回 夫:最大4回 |
男性の育休義務化というキーワードを聞くと、男性へ必ず育休を取得させないといけないと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
配偶者が出産した男性労働者へ個別に育休の周知と取得するかどうかの意向の確認を義務化したという事になります。
今回の男性育休の義務化の最大のポイントは、お子さんが生まれた男性労働者に育休制度に関する周知を行う事と、育休を取得するかどうかの意向を確認する事が全ての事業主に義務化されました。
改正前の要件 | ▷ | 2022年4月1日以降の要件 |
育休取得の意向確認は努力義務 | 育休取得の意向確認が義務化 |
これは男性従業員の育休取得率が12.65%と、女性従業員の81%と比較して低い理由が「会社や上司の育休取得への理解がなかった」という背景が挙げられます。
令和2年度の「厚生労働省の仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」では、男性従業員はお子さんが生まれた際に育休取得への働きかけが会社からなかった割合が63.2%となっており、男性の育休取得の増加にはこの働きかけが必要だと判断出来ます。
改正前の育児介護休業法では、有期雇用労働者の育児休業の取得要件は「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であるという要件がありました。
今回の改正によって「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件は廃止になり、有期雇用労働者の育休取得要件が緩和されました。
改正前の要件 | ▷ | 2022年4月1日以降の要件 |
引き続き雇用された期間が1年以上 | 廃止 | |
1歳6か月までの間に契約満了が明らかでない | 1歳6か月までの間に契約満了が明らかでない |
男性が育休を取得している時期の約50%は、女性が出産後8週間の期間になります。
今回創設された産後パパ育休は、一番取得が多い出産後8週間の期間の男性育休の取得をより柔軟にする事が目的です。
改正前のパパ休暇 | ▷ | 2022年10月1日以降の産後パパ育休 |
1ヶ月前に申請 | 2週間前に申請 | |
出産後8週間に1回のみ | 出産後8週間に2回まで | |
休業中の就業不可 | 休業中の就業可能(労使協定) |
申請期限も余裕が生まれ、8週間の期間で分割取得も出来、労使協定を締結している場合は労働者が合意した範囲で育児休業中に就業する事も可能になります。
あわせて読みたい:「産後パパ育休とは」2022年10月改正(出生時育児休業)
男性に限らず育児休業そのものの分割取得が可能になりました。
今までは育児休業は1人の子につきパパママそれぞれ1回までの取得となっていましたが、今回の改正によって育休が最大2回まで分割取得が可能になります。
改正前 | ▷ | 2022年10月1日以降 |
分割取得不可 | 分割取得可 | |
ママ:1人の子の育休につき最大1回 | ママ:1人の子の育休につき最大2回 | |
パパ:パパ休暇(最大1回)+育休(最大1回) | パパ:産後パパ育休(最大2回)+育休(最大2回) |
育休とは別で、産後パパ育休という育休があり、育休が最大2回、産後パパ育休が最大2回の分割取得が可能になるので、パパは育休と産後パパ育休と合わせて最大4回の取得する事が可能になっています。
産後パパ育休の申請期限は2週間前までに申請となっていますが、通常の育休の申請期限は、原則1ヶ月前までとなっています。
育休の種類 | 現状の申請期限 | 2022年10月の申請期限 |
育休 | 原則1ヶ月前まで | 原則1ヶ月前まで |
産後パパ育休 | – | 2週間前までに申請 |
育休の申請期限が2週間前になったと勘違いしないよう余裕を持って申請する必要がありますのでご注意ください。
分割取得のところで少し解説しましたが、育休と産後パパ育休は別の種類の育休になっていてそれぞれ取得回数が定められています。
育休の種類 | 現状の取得回数上限 | 2022年10月以降の取得回数の上限 |
育休(ママ) | 1回まで | 2回まで |
育休(パパ) | 2回まで(パパ休暇を使用した場合) | 2回まで(パパ休暇は廃止) |
産後パパ育休 | – | 2回まで |
通常の育休が2回まで分割取得可能になり、パパには追加で産後パパ育休という最大2回取得出来る制度も創設されますので、ママは最大2回まで、パパは最大4回まで育休(産後パパ育休)を取得する事が出来ます。
男性従業員の育休取得の促進を進める事で、事業主にもメリットがあります。
男性従業員が育児休業を取得しやすい職場作りに取り組み、お子さんの出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業の場合は連続5日以上)の育児休業を取得させた場合、事業主に助成金が支給されます。
区分 | 中小企業 | 中小企業以外 | |
1人目の育休取得 | 57万円 〈72万円〉 | 28.5万円〈36万円〉 | |
個別支援加算 | 10万円〈12万円〉 | 5万円〈6万円〉 | |
2人目の育休取得 | 5日以上:14.25万円〈18万円〉 14日以上:23.75万円〈30万円〉 1ヶ月以上:33.25万円〈42万円〉 |
14日以上:14.25万円〈18万円〉 1ヶ月以上:23.75万円〈30万円〉 2ヶ月以上:33.25万円〈42万円〉 |
|
個別支援加算 | 5万円〈6万円〉 | 2.5万円〈3万円〉 | |
育児目的休暇 の導入・利用 | 28.5万円〈36万円〉 | 14.25万円〈18万円〉 | |
※〈 〉内は生産性要件を満たした場合の額 ※個別支援加算とは、個別面談など育児休業の取得を後押しする取組を導入・実施した場合に加算 |
助成金が支給される事によって男性従業員も、職場に対して遠慮の気持ちが和らぐといいですね。
今回の記事では男性の育休の法改正をわかりやすくポイントをまとめた記事でした。
育休を取得するかどうかの意向確認が義務化され、男性が一番育休を取得している産後8週間の期間での産後パパ育休が柔軟になった事で男性の育休取得率が増加させる事が目的となりました。
男性が育休を取得する事で、女性も安心し、男性も女性も仕事と家庭の両立が出来る世の中に一歩前進する事を期待しましょう。
合わせて読みたい「2022年4月施行「男性の育休義務化」のメリット・デメリットまとめ」
この記事が気に入ったら
フォローしてね!