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2022年4月1日から一部施行され、男性の育休義務化が推進されています。
男性の育休義務化という取り組みの一つとして、2022年10月1日から創設される制度「産後パパ育休」。
「産後パパ育休」とはどのような制度なのでしょうか。
今回の記事は「産後パパ育休」の内容や、取得期限、取得期間に関して解説した記事です。
「産後パパ育休」とは正式名称は「出生時育児休業」です。
「産後パパ育休」は「通常の育児休業」とは別で、産後8週間の期間の中で最大4週間、男性が育児休業を取得出来る制度となります。
つまり育児休業が「夫婦ともに取得出来る通常の育児休業」と「夫だけが取得出来る出生時育児休業」と2種類になったという事です。
区分 | 対象者 | 対象期間 | 取得可能期間 |
育児休業 | 夫婦 | 子が1歳になる前日まで | 最大1年間 |
出生時育児休業(産後パパ育休) | 夫のみ | 出産後8週間 | 最大4週間 |
産後パパ育休が出産後8週間の期間に、通常の育児休業とは別で取得する事が出来るようにした背景は、男性の育児休業の取得する時期で最も多い時期が出産後8週間だからです。
出産後8週間というのは、女性も出産後で体調も回復していなく母体を守らないといけない期間でもあり、その期間に男性も育児休業を取得して、妻と子を見守れるよう出産後8週間の中で取得する男性が多いのです。
育児休業の取得の必要性が高く、取得率が最も高い出産後8週間に、さらに柔軟な要件の産後パパ育休を創設する事によって、出産後8週間での男性の育児休業取得率をさらに高く引き上げようとしています。
産後パパ育休の創設の背景には、男性の育休義務化がありますが、男性の育休義務化の目的を確認していきましょう。
男性の育休義務化の目的は「女性の就業継続率の向上」と「少子高齢化への対策」となります。
国立社会保障・人口問題研究所 「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」によると女性の約50%は出産により退職しているとされていますが、その理由は「家庭と仕事の両立が難しい」と感じたからのようです。
女性が家庭と仕事の両立をする為には、男性の家事・育児参加が必要になりますが、男性の家事・育児参加率は国際的にみて非常に低水準となっています。
女性に一番負荷のかかる出産後に、男性の家事・育児参加率を上げる為には育児休業の取得率をあげてもらい、男性の家事・育児参加率をあげる事で出産後の女性が家庭と仕事の両立をしやすい環境を作っていこうという流れになります。
また厚生労働省の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2019「第14回21世紀成年者縦断調査(2002年成年者)によると、男性の家事・育児参加率が高ければ高いほど、第2子以降の出生割合が高くなっています。
つまり、男性の育休義務化の目的は「女性の就業継続率の向上」と「少子高齢化への対策」と言えるでしょう。
産後パパ育休の取得可能期間は、出産後8週間の期間となっています。
8週間の期間のうち、最大4週間の出生時育児休業が取得可能となります。
産後パパ育休の申請期限は休業開始の2週間前までとなっています。
通常の育児休業は休業開始の1ヶ月前までとなる為、産後パパ育休はより取得しやすい柔軟な制度となっています。
ただし雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられている内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることも可能となっている為、ご自身の事業所に労使協定が定められていないかは確認をしておきましょう。
産後パパ育休中の給料や育児休業給付金に関して確認していきましょう。
産後パパ育休中に一定の要件を満たすと雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金の額 | 休業開始時の賃金の67%(180日経過後は50%) |
育児休業給付金の受給資格 | 育児休業開始日前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上ある場合 (賃金の支払の基礎となった日数が月に11日以上ある場合に1か月と計算) |
出生時育児休業の取得期間 | 給付金の対象となる場合 |
最大4週間(28日)取得する場合 | 就業日数が10日以内 (10日を超える場合は80時間) |
最大期間より短い場合 例:14日間の出生時育児休業の場合 |
それに比例した就業日数または時間数 例:就業日数が5日(5日を超える場合は40時間) |
また産後パパ育休は労使協定で定めており労働者の合意の範囲で育休中に就業する事も可能ですが、産後パパ育休期間中に就業して得た賃金額と育児休業給付金の合計が、休業前賃金日額×休業日数の80%を超える場合、当該超える額が育児休業給付金から減額されますのでご注意ください。
通常の育児休業期間と同様に、産後パパ育休期間も社会保険料が被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除の対象となります。
対象 | 社会保険料の免除の条件 | |
①原則 | 給料・賞与 | その月の末日が育児休業期間中である場合 |
+ | ||
2022年10月1日 以降に①に追加 |
給料 | 同一月内で育児休業を取得(開始・終了)しその日数が14日以上の場合 |
賞与 | 連続して1か月を超える育児休業を取得した場合 |
原則としては、月の末日が育児休業期間中の場合は、その月の社会保険料は免除となります。
また2022年10月1日以降は、月の末日が育児休業期間ではなかった場合も、同一月内で14日以上育児休業期間がある場合も免除の対象となります。
ただし賞与に関しては1ヶ月の期間まるまる育児休業期間ではないと、社会保険料の免除の対象とはならなくなりますのでご注意下さい。
産後パパ育休とパパ休暇の違いを見ていきましょう。
今回創設された産後パパ育休は、今までのパパ休暇と比べて「申請期限が1ヶ月前までから2週間前まで」「分割取得が可能」「休業中の就業が可能になる」という点が変わります。
改正前のパパ休暇 | ▷ | 2022年10月1日以降の産後パパ育休 |
1ヶ月前に申請 | 2週間前に申請 | |
出産後8週間に1回のみ | 出産後8週間に2回まで | |
休業中の就業不可 | 休業中の就業可能(労使協定) |
申請期限も余裕が生まれ、8週間の期間で分割取得も出来、労使協定を締結している場合は労働者が合意した範囲で育児休業中に就業する事も可能になるのでより柔軟性が高くなっていますね。
産後パパ育休の創設と合わせて、パパ休暇は廃止となりますのでご注意ください。
産後パパ育休を適用するには通常の育児休業と同様に事業所にあらかじめ制度を導入し、 就業規則の整備等必要な措置を講ずることが必要になります。
労働基準法では就業規則に始業・終業の時刻、休日、休暇、賃金、昇給、退職等について必ず記載しなければならないとしていて、産後パパ育休もこの「休暇」に該当しますので就業規則に以下を定めておかないといけません。
区分 | 定める項目 |
休暇 | 付与要件(対象となる労働者の範囲等) |
取得に必要な手続 | |
期間 | |
賃金 | 育児・介護休業期間、子の看護休暇及び介護休暇中の賃金の支払の有無 |
育児休業期間中に通常の就労時と異なる賃金が支払われる場合 | その決定、計算及びその支払方法 |
賃金の締切り及び支払時期 |
育児休業のための所定外労働、時間外労働及び深夜業の制限について、育児・介護休業法の条件を下回るような、より厳しい条件を設けた取り決めをした就業規則の当該部分は無効となります。
参考資料:厚生労働省「就業規則への記載はもうお済みですか ‐育児・介護休業等に関する規則の規定例‐ 」
今回の記事は産後パパ育休に関する解説した記事でした。
男性の育休義務化への取り組みの一つで、女性が出産直後の8週間に最も男性の家事・育児参加が必要なタイミングに、今までのパパ休暇よりも柔軟に取得する事が出来る制度を創設する事で、男性の育休取得率を上げていく事を期待した制度となっています。
出産後8週間に最大4週間出生時育児休業と呼ばれる休業を取得する事が出来、分割取得も、労使協定で定める事でその期間に就業する事も可能になっています。
仕事にある程度戻れる可能性もある為、男性側としても取得がしやすいのではないでしょうか。
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