「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の記入例を解説!添付書類・対象職種・36協定の締結・有効期限・新様式のダウンロード方法なども紹介

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の記入例を解説!添付書類・対象職種・36協定の締結・有効期限・新様式のダウンロード方法なども紹介

届出書類の書き方・労働問題」社労士に無料相談

CONTACT

社会保険労務士事務所 NEUTRALへのご相談はお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。

目次

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」とは

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」とは「専門業務型裁量労働制」を導入する際に、その他書類(36協定・就業規則)とあわせて管轄の労働基準監督署へ届出をするための書類です。

「専門業務型裁量労働制」とは?簡単に解説

「専門業務型裁量労働制」とは厚生労働省令等で定められた業務を行う手段・時間配分を労働者にゆだねる必要がある「専門的な業務」を行った場合に、労使協定で定めた時間働いたものとみなす「労働時間のみなし制度の1つ」です。

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。

引用元:厚生労働省ホームページ

労働基準法の「労働時間のみなし制度」というのは使用者側が「外回り営業で物理的に労働時間を算定し難い」「業務の性質上、労働時間が適正か判断できずゆだねる必要がある、ゆだねたものとする」などの条件の場合に、実際に働いた時間ではなく予め労使で決めた時間働いたものとする制度です。

専門業務型裁量労働制は、専門業務が対象となり専門的な業務の性質上指示する事が困難なため、労働者の裁量にゆだねようという制度です。仮に労使で一定の業務を8時間とみなすこととした場合、実際に6時間労働した場合も、9時間労働した場合も8時間労働したとみなすこととする制度です。

「専門業務型裁量労働制」の対象職種は19種類

「専門業務型裁量労働制」は厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって19種類の業務が定められていて19種類の業務に限り導入することが出来ます。

  1. 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
  2. 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
  3. 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
  5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
  6. 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
  7. 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
  8. 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
  9. ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
  10. 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  12. 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
  13. 公認会計士の業務
  14. 弁護士の業務
  15. 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
  16. 不動産鑑定士の業務
  17. 弁理士の業務
  18. 税理士の業務
  19. 中小企業診断士の業務

引用元:厚生労働省ホームページ「専門業務型裁量労働制

「専門業務型裁量労働制」のメリット

「専門業務型裁量労働制」の使用者側のメリットは専門業務を労働者の裁量にゆだねることによって、専門業務を行う労働者にとって時間ではなく成果を出して生産性を上げて働こうという意識になりパフォーマンスを発揮しやすくなることや、使用者がその労働時間が適正か判断できない専門業務ということによって専門業務を行う労働者が時間外労働による残業代を目的に労働時間を伸ばすことによって、使用者が支払う割増賃金の増加を防ぐことができる点です。

専門業務を行う労働者にとっても成果さえ出せば、時間に拘束されない働き方ができるので労使双方にメリットのある制度です。

「専門業務型裁量労働制」の残業代について

「専門業務型裁量労働制」は何時間労働したとしても「労使で決定したみなし労働時間」を労働した時間とみなされます。ただし「労使で決定したみなし労働時間」そのものが法定労働時間を超える場合は時間外労働による割増賃金の対象となり残業代の支払い義務が使用者に発生しますのでご注意ください。

「専門業務型裁量労働制」で「36協定」の締結が必要な場合

36協定は時間外労働・休日労働を行わせる場合に労使で締結が必要な労使協定の1種です。専門業務型裁量労働制を導入する場合には専門業務型裁量労働制に関する労使協定を締結する必要がありますが、別に「36協定」の締結が必要なケースとしては次のような場合があります。

  1. 労使で決定したみなし労働時間が法定労働時間(8時間)を超える場合
  2. 休日労働を行わせる場合
  3. 深夜労働を行わせる場合

「専門業務型裁量労働制」を導入する手順

「専門業務型裁量労働制」を導入する手順は次のとおりです。

  1. 19種類の対象業務かの確認
  2. 労使協定「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の締結
  3. 就業規則の変更
  4. 専門業務型裁量労働制に関する協定届の届出

「専門業務型裁量労働制」の労使協定で締結する項目

「専門業務型裁量労働制」の労使協定で締結する項目は次の7項目になっています。

  1. 対象業務
  2. 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間(みなし労働時間)
  3. 当該業務の遂行の手段、時間配分の決定等に関して具体的な指示をしないこと
  4. 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた、健康および福祉を確保するための措置の内容
  5. 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置の内容
  6. 労使協定の有効期間(3年以内が望ましい)
  7. その他の事項

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の保存期間

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の保存期間は「健康および福祉を確保するための措置」および「苦情の処理に関する措置」に関して、労働者ごとに講じた措置の記録を労使協定の有効期間およびその期間満了後3年間となっています。

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の記入例

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の記入例は次のとおりです。

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」-01

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」記載心得

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の裏面には次のような記載心得がありますので確認しながら記載をしていきましぃう。

  1. 「業務の内容」の欄には、業務の性質上当該業務の遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要がある旨を具体的に記入すること。
  2. 「労働者の健康及び福祉を確保するために講ずる措置(労働者の労働時間の状況の把握方法)」の欄には、労働基準法第38条の3第1項第4号に規定する措置の内容を具体的に記入するとともに、同号の労働時間の状況の把握方法を具体的に( )内に記入すること。
  3. 「労働者からの苦情の処理に関して講ずる措置」の欄には、労働基準法第38条の3第1項第5号に規定する措置の内容を具体的に記入すること。
  4. 「時間外労働に関する協定の届出年月日」の欄には、当該事業場における時間外労働に関する協定の届出の年月日(届出をしていない場合はその予定年月日)を記入すること。ただし、協定で定める時間が労働基準法第32条又は第40条の労働時間を超えない場合には記入を要しないこと。
  5. 協定については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と協定すること。なお、労働者の過半数を代表する者は、労働基準法施行規則第6条の2第1項の規定により、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。これらの要件を満たさない場合には、有効な協定とはならないことに留意すること。また、これらの要件を満たしていても、当該要件に係るチェックボックスにチェックがない場合には、届出の形式上の要件に適合していないことに留意すること。
  6. 本様式をもつて協定とする場合においても、協定の当事者たる労使双方の合意があることが、協定上明らかとなるような方法により締結するよう留意すること。

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の添付書類

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の添付書類は変更後の就業規則になります。

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」で定めた「協定で定める労働時間」が法定労働時間の8時間を超える場合は別途36協定も添付する必要があります。

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の提出先

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の提出先は管轄の労働基準監督署です。

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の押印不要の様式 第13号のダウンロード方法

「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の押印不要の新様式1第13号は厚生労働省ホームページでダウンロードすることができます。

次のボタンからPDFに変換した様式第13号の「専門業務型裁量労働制に関する協定届」もダウンロードすることができます。

まとめ:「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の記入例を解説!添付書類・対象職種・36協定の締結・有効期限・新様式のダウンロード方法なども紹介

今回の記事は「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の記入例を解説しました。

「専門業務型裁量労働制」は特定の19職種が定められていて、労使協定で締結する項目も決まっていますので十分注意して導入をしてください。

人事労務は社会保険労務士に無料相談

  • 従業員が増えてきて「人事労務の届出書類や手続きが増えてきた
  • 法改正は毎年あるのに「就業規則変更を数年していない
  • もっと「助成金制度提案」が欲しい
  • 管理職人事部に「労働基準法や社会保険の研修」をしてもらいたい
「専門業務型裁量労働制に関する協定届」の記入例を解説!添付書類・対象職種・36協定の締結・有効期限・新様式のダウンロード方法なども紹介

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次