自己都合退職でも失業保険をすぐもらう方法

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会社を退職する際の離職票の離職理由には「会社都合退職」「自己都合退職」の2種類があります。

自己都合退職の場合、失業保険をもらう際に給付制限という制限がかかり、一定期間失業保険をもらう事ができません。

実はこの自己都合退職の場合でも失業保険をすぐもらう方法があることをご存知でしょうか。

今回の記事は自己都合退職の場合でも失業保険をすぐもらう方法について解説します。

目次

自己都合退職でも失業保険をすぐもらう方法

失業保険 自己都合 すぐもらう

自己都合退職の場合に失業保険をすぐもらう方法は次の3つになります。

  1. 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該「労働契約の更新がないことにより離職した者」(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
  2. 「正当な理由のある自己都合」により離職した者
  3. 公共職業安定所長の指示した「公共職業訓練等を受ける」

1・2の場合は、特定理由離職者という受給資格の区分になり、特定理由離職者の場合失業保険の貰えるタイミングや支給額が優遇されますので、すぐもらえるようになります。

3の場合は、公共職業訓練を受けると、「自己都合退職という離職理由に基づく給付制限が解除される」というメリットがあり、公共職業訓練を促進する目的ですぐもらえるようになります。

なぜ自己都合退職のときに失業保険をすぐもらえないのか?

そもそもなぜ、自己都合退職の場合に失業保険をすぐもらえないのでしょうか?

失業保険には次のような「離職理由に基づく給付制限」という規定があります。

 給付制限事由 給付制限期間
①被保険者が自己の責めに帰すべき
重大な理由によって解雇された場合
待機期間満了後1ヶ月以上3ヶ月以内の間で
公共職業安定所長の定める期間
正当な理由がなく
自己の都合によって退職した場合
雇用保険法 第三十三条
1 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については、この限りでない。
2 受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする。

このような離職理由に基づく給付制限が法律で定められています。

ここで自己都合退職の場合に失業保険をすぐもらう3つの方法と照らし合わせると

  1. 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
  2. 正当な理由のある自己都合により離職した者→「②正当な理由がなく、自己の都合によって退職した場合」に該当しなくなり「特定理由離職者」となるため給付制限が解除されます。

参考:ハローワーク「特定理由離職者の範囲

  1. 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける→「ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については、この限りでない。」という部分に該当するため給付制限が解除されます。

正当な理由のある自己都合により離職した者とは?

正当な理由のある自己都合により離職した者とは次の方になります。

  1. 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
  2. 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
  3. 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
  4. 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
  5. 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
    (a) 結婚に伴う住所の変更
    (b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
    (c) 事業所の通勤困難な地への移転
    (d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
    (e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
    (f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
    (g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
  6. その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

引用:ハローワーク「特定理由離職者の範囲

自己都合退職の失業保険は、いつからもらえる

自己都合退職の失業保険は、通常いつからもらえるのかを確認していきます。

自己都合退職の場合の失業保険のもらえるタイミング比較
一般受給資格者 特定理由離職者 公共職業安定所を受講
待機期間「通算7日間」
給付制限「2〜3ヶ月間」 給付制限「なし」 給付制限「なし」
受給資格決定後の28日後にハローワークで失業認定を受けた際にその期間の失業した日数分支給

このように給付制限が特定理由離職の場合も、公共職業訓練を受講した場合も解除されるので、本来の給付制限期間の2〜3ヶ月がなくなる分早くもらう事が出来ます。

どの場合でも失業保険をもらうためには通算7日間失業しないといけない待機期間というものが存在しますのでご注意下さい。

給付制限期間の2〜3ヶ月の決定方法

給付制限期間が2〜3ヶ月と幅がありますがこれはどのように決定するか解説します。

原則の給付制限期間は2ヶ月間です。令和2年の10月より前に離職された方は原則として給付制限期間は3ヶ月でしたが次のように短縮されるようになりました。

令和2年10月1日以降に離職された方は、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月となります。

引用元:厚生労働省「失業等給付を受給される皆さまへ 「給付制限期間」が2か月に短縮されます

自己都合退職の失業保険の金額を計算

自己都合退職の場合の失業保険の金額の計算のやり方は次のようになっています。

失業保険の金額の流れ計算
賃金日額を算出 離職の日以前6ヶ月の賃金総額÷180日 ※賞与は含めない
賃金日額の上限・下限を確認 上限額、下限額に抵触していたらその限度額に変換(以下の表1を参照)
基本手当日額を算出 賃金日額と年齢に応じた給付率をかける(以下の表2を参照)
基本手当日額の上限・下限を確認 上限額、下限額に抵触していたらその限度額に変換(以下の表3を参照)
所定給付日数を確認 基本手当日額×所定給付日数分が支給される(以下の表を参照)
28日毎にハローワークで失業認定を受け、期間内で失業した日数分が支給

【表1】賃金日額の上限額・下限額

賃金日額を算出した後に、上限額・下限額に抵触していないかを確認します。

離職時の年齢によって上限額が変わりますのでご注意下さい。

離職時の年齢 下限額 上限額
29 歳以下 2,577円 13,520円
30~44 歳 15,020円
45~59 歳 16,530円
60~64 歳 15,770円

下限額は年齢によらず全年齢で同じ金額になっていますね。

賃金日額の上限額・下限額に抵触していた場合の賃金日額は上限額・下限額が賃金日額となります。

【表2】賃金日額と年齢に応じた給付率

上限額・下限額を確認して賃金日額が決定したら、賃金日額と年齢に応じた給付率を確認します。

賃金日額 給付率
2,577円以上4,970円未満 80%
4,970円以上12,240円以下 80%~50%
(60歳以上65歳未満の場合は80%〜45%)
12,240円超16,530円以下 50%
(60歳以上65歳未満の場合は45%)

賃金日額に確認した給付率をかける事で失業保険の日額(基本手当日額)が算出されます。

【表3】基本手当日額の上限額・下限額

失業保険の日額(基本手当日額)が算出されたら、その基本手当日額の上限額・下限額に抵触していないかを確認します。

離職時の年齢 下限額 上限額
29 歳以下 2,061円 6,760円
30~44 歳 7,510円
45~59 歳 8,265円
60~64 歳 7,096円

賃金日額の上限額・下限額の時と同様に、上限額・下限額に抵触していたらその上限額・下限額が基本手当日額となります。

失業保険の金額の自動計算サイト2選

失業保険の金額を自動で計算してくれるサイトもありますのでご活用して下さい。

Ke!san 生活や実務に役立つ計算サイト「雇用保険の給付額(失業給付金)の計算

ハローワーク情報サイト~ハロワのいろは~「失業保険(失業給付額)を自動計算する

失業保険もらいながら職業訓練をする方法

自己都合退職の場合、原則は給付制限の2ヶ月間は失業保険をもらえませんが、公共職業訓練を受講した場合は給付制限期間がなくなります。

雇用保険法 第三十三条
1 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間については、この限りでない。

失業保険をもらいながら、職業訓練をする事ができるという事になるので非常にメリットがありますが、この公共職業訓練というのはどのようにすれば受講する事ができるのかを解説していきます。

公共職業訓練とは?

公共職業訓練とは、主に雇用保険を受給している求職者の方を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練を無料(テキスト代等は自己負担)で実施しています。

在職者や高等学校卒業者の方などを対象とした高度な職業スキルや知識を習得するための訓練も実施しています。(原則、有料)

公共職業訓練の概要
対象 ハローワークの求職者
費用 無料(テキスト代等は実費負担)
訓練期間 概ね3ヶ月~2年
主な訓練コース例
  • 施設内訓練…テクニカルオペレーション科、電気設備技術科、住環境計画科 等
  • 施設内訓練…自動車整備科、木工科、造園科 等
  • 委託訓練…介護サービス科、情報処理科 等

引用元:厚生労働省「公共職業訓練(離職者訓練)

失業者のスキルアップ(職業訓練)を行い、就職を促進しようという趣旨になっています。

公共職業訓練の受講までのステップ

公共職業訓練の受講までの流れは次のようになります。

公共職業訓練の受講までの流れ
STEP1 ハローワークで求職申込み・職業相談
STEP2 訓練の受講申込み
STEP3 面接・筆記試験等を受験
STEP4 合格したら受講あっせん
STEP5 公共職業訓練の受講スタート

まずは最寄りのハローワークへ行きましょう。

職業訓練をするメリット

職業訓練をする事で次のようなメリットがあります。

  1. 給付制限期間が解除され失業保険がすぐに貰えるようになる(通算7日間の待機期間は必要)
  2. 初心者でも安心してスキルや知識の習得が可能
  3. スキルや知識を習得することで就職しやすくなる

失業保険をもらいながら、スキルや知識の習得ができて、就職しやすくなる事は失業者にとって非常にメリットが大きいですね。

職業訓練のコース一覧

公共職業訓練のコースはこちらで検索する事が出来ます。

ハローワーク「公共職業訓練検索

ご自身の目的に合わせて検索をしてみて下さい。

職業訓練のコースおすすめ

代表的な例を掲載すると次のような職業訓練があります。

IT関係や事務・医療関係はこれからも安定して求人があるのでおすすめです。

職業訓練の一例
IT関係 スマート情報システム科 ICT エンジニア科 組込みソフトウェア科
  •  基本情報技術者
  • ウェブデザイン技能検定
  • CCNA
  • OSS-DB Silver
  • ITパスポート
  • 基本情報技術者
  • LPICレベル1
  • CCNA
  • ITパスポート
  • 基本情報技術者
  • LinuCレベル1
  • LPICレベル1
事務・医療関係 介護サービス科 医療事務科 OA 事務科
  • 介護職員初任者研修
  • 介護事務管理⼠
  • 介護福祉士実務者研修
  • 医療事務認定実務者試験
  • 表計算検定
  • ワープロ検定
  • 記検定
  • 表計算検定
  • ワープロ検定
  • 計算実務検定
  • 社会人常識マナー検定

まとめ:自己都合退職でも失業保険をすぐもらう方法

今回の記事は自己都合退職でも失業保険をすぐもらう方法について解説しました。

通常は自己都合退職の場合は給付制限期間の2ヶ月間は失業保険を受給する事ができません。

  • 正当な理由のある自己都合退職
  • 有期雇用労働者が契約満了時に更新を希望したのに更新がされなかった場合の離職
  • 公共職業訓練を受講した場合

いずれかに該当する場合は、給付制限期間の2ヶ月は解除されすぐに失業保険を受給する事ができます。

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