「在職老齢年金」とは?2022年(令和4年)改正・計算方法・早見表をわかりやすく解説

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働きながらも年金をうけとれる制度である在職老齢年金。

年金をうけとりながら、収入をもらえるメリットもある一方で、一定の基準額を超えると年金額が減額になることもあり、働くことによるデメリットも感じられる方も少なくありません。

2022年4月より高年齢者の就労意欲を高める為に、在職老齢年金の改正が行われます。

今回の記事では在職老齢年金についてと、2022年の改正をわかりやすく解説します。

目次

2022年(令和4年)から改正される「在職老齢年金」とは?

在職老齢年金_2022_改正

「在職老齢年金」とは「老齢厚生年金の支給をうけている方が、働きながら老齢厚生年金を受け取れる制度」です。

在職老齢年金は、「年金の基本月額」と「収入の月額相当額」の「合計額」が一定の基準額を超えると、超えた分の全部または一部の年金が支給停止される仕組みとなります。

在職老齢年金「2022年(令和4年)改正のポイント」は?

在職老齢年金の制度は2022年(令和4年)4月に改正され、今回の改正のポイントは次のとおりとなります。

  • 支給停止となる基準額が「28万円」から「47万円」に引き上げ
  • 「退職時改定」から「定時改定」に変更

支給停止の基準額が「28万円」から「47万円」に引き上げ

在職老齢年金の1つ目の改正のポイントは、支給停止となる基準額が「28万円」から「47万円」に引き上げられることです。

在職老齢年金は「年金の基本月額」「収入の月額相当額」合計が原則の支給停止の基準額である28万円を超えた場合、超えた額の2分の1の年金が支給停止とされていました。

この支給停止の基準額が原則の28万円から47万円に引き上げられます。

つまり「年金の基本月額」と「収入の月額相当額」の合計が47万円を超えない限り、年金は全額支給されることになります。

今まで 2022年改正
支給停止の基準額 原則 28万円 原則 47万円
計算例
年金の基本月額 10万円 10万円
収入の月額相当額 30万円 30万円
合計 40万円 40万円
支給停止の基準額を超える額 12万円 なし
支給停止の基準額を超える額の半分
(年金の支給停止月額)
6万円 なし
実際に支給される年金の基本月額 4万円 10万円(満額支給)

老齢厚生年金を毎月10万円をもらいながら、働いて毎月30万円の収入をもらっている方の場合、合計すると40万円となり今までの制度の場合は基準額の28万円を超える12万円の半分の6万円の年金が支給停止となるので、毎月の年金額が10万円から4万円に下がっていました。

今回の法改正によって基準額が47万円に引き上がりますので毎月10万円の年金と、毎月30万円の収入をもらっている方の場合、合計40万円となりますので年金は支給停止とならず全額支給されます。

今まではせっかく働いても年金が止まってしまうので、止まらない程度に働こうという60歳以降の方が多かったのですが、高年齢雇用安定法の法改正や少子高齢化による働き手が少なくなっている事から60歳以上の方の就労意欲をあげていきたいという目的が今回の法改正のポイントとなります。

日本年金機構が公表している例は次のとおりです。

在職老齢年金の「支給停止額の計算方法」

在職老齢年金の支給停止額の計算方法は次のとおりとなります。

在職老齢年金の支給停止される月額の計算方法
基本月額と総報酬月額相当額の
「合計額が47万円以下」のとき
0円(全額支給)
基本月額と総報酬月額相当額の
「合計額が47万円を超える」とき
 (「総報酬月額相当額」 + 「基本月額」 - 47万円)✕  2分の1
「年金の基本月額」と「総報酬月額相当」とは
年金の基本月額 加給年⾦額を除いた特別⽀給の⽼齢厚⽣(退職共済)年⾦の⽉額
総報酬月額相当 (その⽉の標準報酬⽉額)+(その⽉以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

在職老齢年金 「支給停止の基準額47万円」はいつから適用?

在職老齢年金の支給停止の基準額が47万円になるのは令和4年4月から適用になります。

在職老齢年金「65歳以上」と「65歳未満」の支給停止の基準額が同じに

在職老齢年金の支給停止の基準額が47万円になると聞いて、今までもそうだったのでは?と感じた方もいらっしゃるかと思います。

実は今までも65歳以上の在職老齢年金をもらっている方の支給停止の基準額は47万円でした。

今までは在職老齢年金は65歳未満の方の在職老齢年金と、65歳以上の方の在職老齢年金の2種類ありそれぞれの支給停止の基準額が違いました。

  • 65歳未満の方の在職老齢年金:支給停止の基準額 28万円
  • 65歳以上の方の在職老齢年金:支給停止の基準額 47万円

2022年の改正によって65歳未満の方の在職老齢年金の支給停止の基準額が65歳以上の方の在職老齢年金の支給停止の基準額と同じになったということになります。

在職老齢年金「早見表」

在職老齢年金の支給される年金の基本月額の早見表は次のとおりになります。

総報酬月額相当
5万 10万 15万 20万 25万 30万 35万 40万
支給される年金の基本月額






1万 全額支給(支給停止なし)
2万
3万
4万
5万
6万
7万
8万 全額支給(支給停止なし) 7.5万円
9万 8万
10万 8.5万
11万 9万
12万 9.5万
13万 全額支給(支給停止なし) 12.5万 10万
14万 13万 10.5万
15万 13.5万 11万
16万 14万 11.5万
17万 14.5万 12万
18万 全額支給(支給停止なし) 17.5万 15万 12.5万
19万 18万 15.5万 13万
20万 18.5万 16万 13.5万

「退職時改定」から「定時改定」に変更

在職老齢年金の1つ目の改正のポイントは、「退職時改定」から「定時改定」に変更されることです。

年金の金額は65歳になり年金の受給権が発生した時点で年金額が決まります。

その後も働く場合、働くことによって厚生年金保険に加入し続けますので加入した分年金額は増えるものなのですが、今までの在職老齢年金の場合、加入した分の年金額が反映されるのは「退職した時・もしくは70歳になった時」に改定される、「退職時改定」という制度になっていました

2022年の改正によって退職した時・もしくは70歳になった時に改定される「退職時改定」から毎年改定される「定時改定」に変更となります。

今まで 2022年改正
年金額が改定されるタイミング 退職時もしくは70歳到達時 毎年10月改定
対象者:65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者
※65歳未満の方は繰上げをしていても定時改定の対象となりません。

基準日となる、毎年9月1日において被保険者である老齢厚生年金の受給者の年金額を、前年9月から当年8月までの被保険者期間を計算して、10月分の年金から改定されることになりました。

対象者となる方は、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者となり、65歳未満の方は繰上げをして老齢厚生年金を受給をされている方であっても「定時改定」の対象となりません。

まとめ「在職老齢年金」とは?2022年(令和4年)改正をわかりやすく解説

今回の記事では在職老齢年金について、そして2022年(令和4年)から改正されるポイントを解説した記事でした。

改正のポイントは支給停止の基準額が引き上がることで年金受給者が働くメリットが大きくなりました。

また退職改定から定時改定になったことにより、働いたことによる年金額の改定がすぐに行われるようになります。

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