会社の人事・総務担当の方や、これから配偶者を扶養に入れようとしている方から、「国民年金第3号被保険者関係届は、いったいどこでもらえるのか」というご質問をよくいただきます。届出用紙が手元にないと手続きが始められないため、まず入手方法を知りたいという方が多いはずです。
この記事では、社会保険労務士の立場から、国民年金第3号被保険者関係届の入手方法を中心に、届出が必要になるケース、提出先・提出方法・提出期限、添付書類、そして届出を怠った場合のリスクまで、法令や日本年金機構の公表資料に基づいて整理します。
結論:入手方法は主に3つ
先に結論からお伝えすると、国民年金第3号被保険者関係届(正式には「健康保険 被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届」として一体化した様式が用いられることが一般的です)は、次の3つの方法で入手できます。
- 日本年金機構のホームページからダウンロードする
- 年金事務所または事務センターの窓口で受け取る
- 勤務先(会社の人事・総務担当者)から渡してもらう
このうち、もっとも早く確実なのは日本年金機構のホームページからダウンロードする方法です。PDF版・Excel版のいずれも公開されており、記入例も併せて確認できます。
そもそも「国民年金第3号被保険者関係届」とは
国民年金第3号被保険者とは
国民年金の加入者(被保険者)は、自営業者や学生などが該当する第1号被保険者、会社員・公務員などが該当する第2号被保険者、そして第2号被保険者に扶養されている配偶者が該当する第3号被保険者の3種類に区分されています。
第3号被保険者は、厚生年金保険に加入している配偶者(第2号被保険者)に生計を維持されている20歳以上60歳未満の配偶者(事実婚関係にある人を含みます)を指し、保険料を個別に納付する必要がないという特徴があります。ただし、配偶者である第2号被保険者が65歳以上70歳未満で老齢年金等を受給している場合は、その配偶者は第3号被保険者とはなりません。
なぜこの届出が必要なのか
第3号被保険者に関する届出は、かつては本人(配偶者)が市区町村の窓口で行う仕組みでした。しかし、届出漏れによって年金記録の不整合が生じる事例が相次いだことから、平成14年4月以降は、配偶者を使用する事業主を経由して日本年金機構に届け出る仕組みに改められています。この届出の根拠となるのが、国民年金法第12条に定める資格の得喪等に関する届出義務、および国民年金法施行規則第6条の3第1項に定める種別確認の届出です。同規則では、第3号被保険者としての要件に該当した場合、事実があった日から14日以内に日本年金機構へ届け出るべきことが定められています。
なお、協会けんぽに加入する方が配偶者を扶養に入れる場合は、健康保険の被扶養者(異動)届と国民年金第3号被保険者関係届が一体化した様式となっており、健康保険法施行規則第38条第1項の規定により、事実発生から5日以内に事業主を経由して届け出る必要があります。日本年金機構の案内でも、被扶養者の認定に関する届出時期は「事実発生から5日以内」とされており、この2つの期限(14日・5日)が併存している点は、実務上とくに押さえておきたいポイントです。
届出が必要になる主なケース
国民年金第3号被保険者関係届の提出が必要になる代表的なケースは、次のとおりです。
該当(新たに扶養に入るとき)
- 結婚により、配偶者が第2号被保険者の扶養に入ったとき
- 配偶者が退職や離職により収入要件を満たし、扶養に入ったとき
- 扶養している配偶者が20歳に達したとき
- 転職などにより、第2号被保険者としての種別が変更になったとき
非該当(扶養から外れるとき)
- 配偶者の年間収入が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)以上になると見込まれるとき
- 配偶者が就職して健康保険・厚生年金保険(共済組合等)に加入したとき
- 離婚したとき
- 配偶者が日本国内に住所を有しなくなったとき(海外特例要件に該当しない場合)
記録事項の変更
- 氏名の変更または訂正があったとき
- 生年月日の訂正があったとき
- 性別の変更または訂正があったとき
これらの事由が生じた場合、配偶者自身ではなく、第2号被保険者である従業員が事業主を通じて手続きを行う点に注意してください。
届書様式の種類
日本年金機構が公開している様式には、主に次の種類があります。
- 健康保険 被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届(協会けんぽ加入者向け・一体化様式)
- 国民年金第3号被保険者関係届(健康保険組合や共済組合に加入している配偶者を扶養に入れる場合など、国民年金の届出のみを単独で行う様式)
- 該当時の記入例、非該当時の記入例
- 海外に居住する配偶者がいる場合の記入例
自分がどちらの様式を使うべきか迷う場合は、配偶者(第2号被保険者)が加入している医療保険の種類(協会けんぽか、健康保険組合・共済組合か)によって判断します。協会けんぽ以外の医療保険に加入している場合は、健康保険の届出とは別に、国民年金第3号被保険者関係届のみを日本年金機構へ提出する取り扱いになっています。
どこでもらうか:入手方法別の詳細解説
① 日本年金機構のホームページからダウンロードする
もっとも手軽で確実な方法が、日本年金機構の公式サイトからのダウンロードです。「様式のダウンロード」のページから「申請・届出様式(健康保険・厚生年金保険)」または「申請・届出様式(国民年金)」に進むと、PDF形式・Excel形式の両方で様式を入手できます。Excel形式は端末の設定によって印刷時にレイアウトがずれる場合があるため、印刷前に余白設定を確認するよう案内されています。
あわせて、記入例(該当のケース・非該当のケースそれぞれ)も公開されているため、初めて記入する方でも項目ごとの書き方を確認しながら作成できます。ホームページはパソコンだけでなくスマートフォンからも閲覧できるため、急いで様式を確認したい場合にも便利です。
② 年金事務所・事務センターの窓口でもらう
インターネット環境が手元にない場合や、担当者に直接相談しながら書類を受け取りたい場合は、管轄の年金事務所または事務センターの窓口で用紙をもらうことも可能です。窓口では、記入方法についてその場で質問できるという利点があります。ただし、管轄によって取り扱いや相談体制が異なる場合があるため、訪問前に電話等で在庫や対応可能時間を確認しておくと安心です。
③ 勤務先(人事・総務担当者)からもらう
会社員・公務員として第2号被保険者に扶養されている配偶者がいる場合、実際の届出は配偶者本人ではなく、事業主(勤務先)を経由して行う仕組みになっています。多くの企業では、人事・総務部門があらかじめ様式を用意しているため、担当者に申し出れば用紙を受け取れます。とくに結婚・出産・配偶者の退職といったライフイベントが生じた際は、まず勤務先の担当者に相談するのが実務上もっともスムーズです。
健康保険組合・共済組合に加入している場合の注意点
配偶者である第2号被保険者が、協会けんぽではなく健康保険組合や共済組合に加入している場合は、健康保険の被扶養者手続きとは別に、国民年金第3号被保険者関係届のみを日本年金機構へ提出する必要があります。この場合、健康保険側の手続きは加入先の健康保険組合・共済組合に確認する必要があるため、様式の入手先も日本年金機構と健康保険組合等の2か所にまたがる点に注意してください。
提出先・提出方法・提出期限
提出先
日本年金機構が案内する提出先は、事業所の所在地を管轄する事務センター、または管轄の年金事務所です。事務センターと年金事務所のどちらが管轄になるかは、事業所の所在地によって異なります。
提出方法
提出方法は、電子申請・郵送・窓口への持参の3通りが用意されています。電子申請を利用すると、e-Govや日本年金機構が提供する事業所向けオンラインサービスを通じて、24時間いつでも申請でき、添付書類の一部を画像データ(PDF形式・JPEG形式)で提出できるという利点があります。
提出期限
前述のとおり、被扶養者の認定(該当)に関する届出は、事実発生から5日以内が原則です。これは健康保険法施行規則第38条第1項に基づく期限です。一方、国民年金の種別確認の届出そのものについては、国民年金法施行規則第6条の3第1項により、事実があった日から14日以内とされています。実務では、健康保険と国民年金の届出が一体化した様式を使うケースが多いため、より短い「5日以内」を目安に手続きを進めることをおすすめします。
なお、届出が遅れた場合でも、国民年金第3号被保険者としての認定自体は、原則として事実発生日にさかのぼって行われます。ただし、事務センター(年金事務所)の受付日から60日以上さかのぼる場合は、扶養の事実を確認できる書類の添付が別途必要になるとされています。
添付書類の確認
国民年金第3号被保険者関係届(健康保険被扶養者届と一体の様式を含む)を提出する際は、主に次のような添付書類が必要です。
- 続柄確認のための書類(戸籍謄本・抄本、または住民票の写しなど)
- 収入要件確認のための書類(退職証明書、雇用保険受給資格者証、年金額改定通知書、確定申告書の写しなど、該当する事由に応じたもの)
- 別居している場合の仕送りの事実が確認できる書類
- 内縁関係を確認するための書類(該当する場合)
- 非該当・変更の場合は、現在交付されている資格確認書等
被保険者と扶養認定を受ける配偶者双方の個人番号(マイナンバー)を届書に記載し、事業主が続柄確認を行った旨を届書に記載している場合などは、続柄確認書類の添付を省略できる取り扱いもあります。どの書類が必要になるかは個々の事情によって異なるため、不明な点は年金事務所や勤務先の担当者に確認することをおすすめします。
記入時によくある不備・注意点
日本年金機構は、届出の不備や誤りが多い事例として、個人番号(基礎年金番号)欄の記載誤りなどを挙げています。氏名は住民票に登録されているとおりに正確に記入し、フリガナはカタカナで記載する必要があります。また、収入要件の記載においては、過去の実績ではなく、認定時点および認定後1年間の見込み収入額を記入する点も、誤りが生じやすいポイントです。
外国籍の配偶者を扶養に入れる場合は、この届書とあわせて「国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届」の提出も求められています。年金記録を正確に管理するための仕組みですので、該当する場合は忘れずに準備しましょう。
届出を忘れた場合・遅れた場合のリスク
国民年金第3号被保険者関係届の提出を怠ると、配偶者の年金記録に不整合が生じる可能性があります。とくに、配偶者が扶養から外れて第1号被保険者になったにもかかわらず種別変更の届出がなされないまま長期間が経過すると、本来第1号被保険者として納付すべきであった国民年金保険料が未納期間として扱われ、将来受け取る老齢基礎年金の額に影響するおそれがあります。日本年金機構は、こうした「第3号被保険者の記録不整合問題」への対応として、特例的な届出の仕組みなども設けてきました。届出内容に不安がある場合や、過去にさかのぼって未届の期間がある場合は、早めに年金事務所へ相談することをおすすめします。
まとめ
国民年金第3号被保険者関係届は、日本年金機構のホームページからのダウンロード、年金事務所・事務センターの窓口、そして勤務先の人事・総務担当者を通じた入手という3つの方法で手に入れることができます。もっとも手早く確実なのは、日本年金機構の公式サイトから最新の様式と記入例をあわせてダウンロードする方法です。
届出には、事由発生から5日以内または14日以内という期限が設けられており、遅れた場合には将来の年金記録に影響が及ぶ可能性もあります。結婚・離婚・配偶者の就職や退職といったライフイベントが生じた際は、まず勤務先の担当者に相談のうえ、期限内の手続きを心がけましょう。制度の詳細や個別の判断に迷う場合は、年金事務所または社会保険労務士など専門家への相談をご検討ください。
参考文献・出典
本記事は、以下の日本年金機構ホームページ等の公表情報および関係法令に基づいて作成しています。
- 日本年金機構「ケース2:厚生年金に加入する方の被扶養配偶者(国民年金第3号被保険者)になったとき」
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kokunen/kanyu/sango.html - 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html - 日本年金機構「家族を被扶養者にするとき、家族を被扶養者から外すとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき」(様式ダウンロードページ)
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hihokensha/20141224.html - 日本年金機構「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)の届出不備や誤りの多い事例」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/jireishokai/henreifuyou.html - 国民年金法第12条(届出、記録の訂正等)
- 国民年金法施行規則第6条の3第1項(種別確認の届出)
- 健康保険法施行規則第38条第1項(被扶養者届の提出期限)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案における法的判断や手続きの適否を保証するものではありません。実際の手続きにあたっては、最新の様式・案内を日本年金機構の公式サイトでご確認いただくとともに、必要に応じて年金事務所または顧問社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
