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女性が妊娠、出産、そして育児を行うと身体や精神にも負担がかかる事で通常通り働く事が難しくなります。
ただ妊娠、出産、育児は金銭的な負担も増える為、通常通りに働けない期間も所得保障が必要になります。
現在の日本ではそのような女性の所得保障を目的とし、妊娠と出産後の一定期間の所得保障に関しては健康保険では出産手当金を、育児の一定期間の所得保障に関しては雇用保険では育児休業給付金を定めています。
妊娠・出産に関する出産手当金と、育児に関する育児休業給付金、それぞれ役割が異なる為、重ならないように感じますが、第1子の育児休業給付金をもらっている途中で、第2子を妊娠する事は少なくありません。
今回の記事ではそのような場合に出産手当金と育児休業給付金は両方もらえるのかを解説した記事になります。
出産手当金と育児休業給付金の併給(両方もらえる)関係ですが、「出産以前42日間」の出産手当金と育児休業給付金は、両方もらう事が出来ます。
ただし「出産後56日間」の出産手当金と育児休業給付金は、両方もらう事は出来ず、出産手当金のみもらう事が出来ます。
理由は、育児休業給付金は、育児休業期間中に支給され、育児休業は産前産後休業を取得すると終了していまします。産前産後休業というのは出産以前42日間の産前休業と出産後56日間の産後休業に分かれ、産前休業は労働者の任意なので労働者から産前休業の請求をしない限りは育児休業が続くのですが、産後休業は必ず事業主が取らせないといけない休業なので、産後休業に入ってしまうと育児休業が自動的に終了となり育児休業の終了にともなって育児休業給付金の支給もされなくなるからです。
出産手当金と育児休業給付金の併給関係の全体像はこのようなイメージです。
育児休業給付金は産前産後休業期間は支給されませんが、産前休業は労働者の任意なので、第2子の産前休業を取らず、そのまま第1子の育児休業を継続していれば、出産日までは育児休業が継続出来るので、育児休業給付金が支給され、かつ育児休業によって労務に服していない事により、出産手当金が支給するという事になります。
つまり出産日まで産前休業を請求していない場合は、出産日までは育児休業給付金と出産手当金が両方もらう事が出来ます。
逆に出産日までに産前休業を請求してしまった場合は、育児休業給付金は終了となり、出産手当金のみとなります。
出産手当金、育児休業給付金の支給に関係する法律の条文を確認していきます。
第三節 出産手当金の支給(出産手当金)
第百二条 被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。
引用元:e-Gov「健康保険法」(一部省略)
つまり出産以前42日以前から出産の日後56日間の「労務に服さなかった期間」に支給される為、その期間を第2子の産前産後休業を申請して労務に服してなくても、第1子の育児休業を継続している事で労務に服していない場合も出産手当金は支給されます。
第六章の二 妊産婦等(産前産後)
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
引用元:e-Gov「労働基準法」(一部省略)
産前休業は労働者が請求した場合に休業させればよく、産後休業は必ず休業させないといけないものになっています。
第三章の二 育児休業給付(法第六十一条の七第一項の休業)
第百一条の二十二 育児休業給付金は、被保険者が、次の各号のいずれにも該当する休業をした場合に、支給する。
一 被保険者がその事業主に申し出ることによつてすること。
二 前号の申出(以下この章において「育児休業の申出」という。)は、その期間中は休業をすることとする一の期間について、その初日及び末日(次号において「休業終了予定日」という。)とする日を明らかにしてすること。
三 次のいずれかに該当することとなつた日後の休業でないこと。
イ 休業終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の被保険者が育児休業の申出に係る子を養育しないこととなつた事由として公共職業安定所長が認める事由が生じたこと。
ロ 休業終了予定日とされた日の前日までに、育児休業の申出に係る子が一歳(第百一条の二十五各号のいずれかに該当する場合にあつては、一歳六か月(第百一条の二十六で準用する第百一条の二十五各号のいずれかに該当する場合にあつては、二歳。次号ロにおいて同じ。))に達したこと。
ハ 休業終了予定日とされた日までに、育児休業の申出をした被保険者について産前産後休業期間、法第六十一条の四第一項に規定する休業をする期間(次項において「介護休業期間」という。)又は新たな一歳に満たない子を養育するための休業をする期間(次項において「新たな育児休業期間」という。)が始まったこと(特別の事情が生じたときを除く。)。
引用元:e-Gov「雇用保険法施行規則」(一部省略)
要は第1子の育児休業期間中に、第2子の産前産後休業が始まった場合は育児休業給付金は支給されないという事です。
まとめると、第1子の育児休業期間における育児休業給付金は、第2子の産前産後休業を取得すると支給されなくなり、第2子の産前休業は労働者の任意のため請求しなければ、第1子の育児休業が継続され育児休業給付金は支給されます。
第2子の産後休業は使用者が必ず休業させなくてはならないため、第1子の育児休業が終了し第2子の産後休業に切り替わるため育児休業給付金は支給されなくなります。
出産手当金は出産以前42日間と出産後56日間の期間の中で労務に服していない期間に支給されるので、第1子の育児休業期間にも第2子の出産手当金は支給されるという事が分かります。
出産手当金の支給要件は以下のように定められています。
出産した方が被保険者本人であり、出産の日以前42日から出産の日後56日の期間内に労務に服さなかった事が要件になります。
労務に服さなかった事というのは、育児休業により労務に服さなかったとしても、産前産後休業によって労務に服さなかったとしても、どちらでも出産手当金は支給されます。
育児休業給付金の支給要件は以下のように定められています。
育児休業給付金は、育児休業を取得している場合に支給されます。
育児休業は原則は子供が1歳の前日まで、保育園に預ける事が出来ない場合などの一定の要件を満たすと、1歳6ヶ月や2歳の前日まで延長する事も出来ます。
パパママ育休プラスというのは、女性だけではなく男性も育休を取るなど両親がどちらも育休を取得した場合は、1歳2ヶ月の前日まで延長できる制度です。
参考:厚生労働省「パパママ育休プラス制度」
また、育児休業給付金の支給を受けるには育児休業前の2年間で被保険者期間が通算で12ヶ月以上ある事も要件となっています。被保険者期間というのは、11日以上働いた1ヶ月間が被保険者期間1ヶ月となりますので、2年間の中で月11日以上働いている月が12ヶ月以上必要になります。
出産手当金と育児休業給付金の休業期間1日あたりの支給額はそれぞれいくらかを比較していきます。
育児休業給付金の休業開始時賃金日額とは、育児休業を開始した日の前日以前6ヶ月間の賃金総額を180日で割ったものになります。つまり育児休業を開始する前のお給料の日割という事ですね。
出産手当金も育児休業給付金も毎月のお給料の平均の3分の2を貰えるイメージですね。
育児休業給付金は、最初の6ヶ月間は67%ですが、その後の支給額は50%になりますのでご注意下さい。
今回の記事では、出産手当金と育児休業給付金は両方もらえるのかを解説した記事でした。
「出産以前42日間」の出産手当金と育児休業給付金は、両方もらう事が出来ますが、「出産後56日間」の出産手当金と育児休業給付金は、両方もらう事は出来ません。
育児休業給付金は、育児休業期間中に支給され、育児休業は産前産後休業を取得すると終了していましますが、産前産後休業というのは「出産以前42日間」の産前休業と「出産後56日間」の産後休業に分かれ、産前休業は労働者の任意なので労働者から産前休業の請求をしない限りは育児休業が続くのですが、産後休業は必ず事業主が取らせないといけない休業なので産後休業に入ってしまうと育児休業が自動的に終了となり、育児休業の終了にともなって育児休業給付金の支給もされなる事が理由でしたね。
産前休業を申請してしまうと、育児休業が終了して育児休業給付金がもらえなくなるのでご注意ください。
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