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雇用保険料率を定めている大元の制度である「雇用保険」とは、労働者が失業した場合や、育児や介護、高齢になった場合など雇用の継続が困難となるような場合に、必要な給付を行い、「労働者の生活及び雇用の安定を図ったり、求職活動・再就職を促進するなどを目的とした「雇用に関する総合的な制度」です。
雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
e-Gov「雇用保険法」
雇用保険は「雇用に関する総合的な制度」となっていますが、大きくわけると「失業等給付」「育児休業給付」「雇用二事業」の3つの事業があります。
雇用保険は、第一条の目的を達成するため、「失業等給付」及び「育児休業給付」を行うほか、「雇用安定事業及び能力開発事業」を行うことができる。
e-Gov「雇用保険法」
失業等給付とは、雇用保険の1つの事業で「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」の4つの給付を行なっている事業です。
育児休業給付とは、雇用保険の1つの事業で「育児休業給付金」の給付を行なっている事業です。
もともとは失業等給付の中の雇用継続給付の中に含まれていましたが、失業等給付の中でも育児休業給付に関する給付額が大きくなったため、令和2年4月1日より失業等給付事業から切り離されて独立の事業となりました。
雇用二事業とは「雇用安定事業」と「能力開発事業」の2つの事業を行なっている事業です。
失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の拡大を目的とした事業。例えば、景気の変度などにより、事業活動縮小時における雇用の安定を図るために必要な措置をした事業主に対しての雇用調整助成金などの助成金を支給しています。
労働者の能力の開発及び向上を目的とした事業。能力開発を促進するための人材開発支援助成金などの助成金を支給しています。
「雇用保険料率」とは、雇用保険料を算定するために「毎月の賃金総額に乗じる一定の率」になります。「雇用保険料率」は事業主負担分と労働者負担分に分かれています。また「雇用保険料率」は、収入(保険料額)と支出(給付額)に応じて毎年度見直しが行われます。「雇用保険料率」は事業の種類によって率が異なります。
雇用保険料率は事業主負担分と労働者負担分に分かれています。雇用保険料率の事業主負担分の内訳は「失業等給付・育児休業給付の保険料率」と「雇用二事業の保険料率」の2つで構成されています。
雇用保険の3つの事業である「失業等給付」「育児休業給付」の事業のための保険料率と、「雇用二事業」のための保険料率に分かれていて、事業主はこの2種類の保険料率をもとに事業主負担分の雇用保険料を納めることになります。
雇用保険料率の労働者負担分は「失業等給付・育児休業給付の保険料」のみとなっています。
「雇用保険二事業の保険料率」は事業主のみが負担しますので、労働者負担分の雇用保険料率の方が事業主負担分よりも低くなります。
雇用保険料率は全ての事業で同じ率ではなく、事業の種類によって異なります。
事業の種類によって雇用保険料率が異なる理由は、事業によって失業率が異なるからになります。失業率が高い事業の種類の場合、他の種類の事業と比較して支出(給付額)が多くなるため、収入(保険料額)を増やす必要があります。
令和4年度(2022年)の「雇用保険料率」は令和4年10月1日より前と、令和4年10月1日以降で分かれています。
令和3年度と比較すると、令和4年4月1日から事業主負担分が増加し、令和4年10月1日から労働者負担分・事業主負担分が増加します。令和4年度内で変更がありますので注意が必要ですね。
事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 雇用保険料率 |
---|---|---|---|
一般の事業 | 3/1,000 | 6/1,000 | 9/1,000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 4/1,000 | 7/1,000 | 11/1,000 |
建設の事業 | 4/1,000 | 8/1,000 | 12/1,000 |
事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 雇用保険料率 |
---|---|---|---|
一般の事業 | 3/1,000 | 6.5/1,000 | 9.5/1,000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 4/1,000 | 7.5/1,000 | 11.5/1,000 |
建設の事業 | 4/1,000 | 8.5/1,000 | 12.5/1,000 |
事業主負担分の内訳が記載されている表は次のとおりになっていて、例えば一般の事業の場合事業主負担分の6.5/1,000の内訳として「失業等給付・育児休業給付の保険料率は3/1,000」「雇用保険二事業の保険料率は3.5/1,000」となっています。事業主負担分も労働者負担分も「失業等給付・育児休業給付の保険料率」は同じなことが分かりますね。
事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 雇用保険料率 |
---|---|---|---|
一般の事業 | 5/1,000 | 8.5/1,000 | 13.5/1,000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 15.5/1,000 |
建設の事業 | 6/1,000 | 10.5/1,000 | 16.5/1,000 |
令和4年度10月1日以降の雇用保険料率の事業主負担分の内訳は次のようになっています。
令和4年度4月1日からの雇用保険料率と同様に「失業等給付・育児休業給付の保険料率」「雇用保険二事業の保険料率」で分かれていて、事業主負担分も労働者負担分も「失業等給付・育児休業給付の保険料率」は同じです。
雇用保険料率は雇用保険の収入と支出のバランスを見て、率の引き上げ・引き下げどちらの場合も毎年改定の可能性があり、原則としては毎年4月1日から施行されます。
令和4年度に関しては雇用保険料率は令和3年度と比較して引き上げとなっていて、令和4年度内で2回引き上げが決定されています。1回目は令和4年4月1日から引き上げ、2回目は令和4年10月1日から引き上げとなります。(労働者負担分は令和4年10月1日の1回のみ)
令和4年4月1日からの雇用保険料率、令和4年10月1日からの雇用保険料率が異なりますのでご注意ください。
雇用保険料率の引き上げが令和4年4月1日からと令和4年10月1日からとなりますが、雇用保険料が控除額が変更される具体的なタイミングは「変更後に最初に到来する給与締日分の給与から」となります。
仮に給与の締日と支払日が当月25日締め・当月末支払の場合は4月末、10月末に支払われる給与から控除される雇用保険料の計算に、変更後の雇用保険料率をかけて計算します。
月末締め・翌月25日支払の場合は5月25日、11月25日に支払われる給与から控除される雇用保険料の計算に、変更後の雇用保険料率をかけて計算します。
雇用保険料率の計算方法は公表されていませんが、雇用保険は保険料という収入と給付という支出のバランスが取れていることによって成り立っています。そのため前年度の収支や積立額などを踏まえて雇用保険料率が計算されて決定します。
実際に労働者・事業主それぞれが支払う雇用保険料の計算方法は「賃金総額」×「雇用保険料率」となっています。
「賃金総額」×「労働者負担分の雇用保険料率(失業等給付・育児休業給付の保険料率)」
「賃金総額」×「事業主負担分の雇用保険料率(失業等給付・育児休業給付の保険料率+雇用保険二事業の保険料率)」
今回の記事は令和4年度(2022年)「雇用保険料率」と「引き上げはいつから」かを解説しました。
雇用保険料率は労働者負担分と事業主負担分に分かれていて、労働者負担分は令和4年10月からのみ、事業主負担分は令和4年度は2回改正があり令和4年4月1日から引き上げと、令和4年10月1日から引き上げとなっています。
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