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日本では約16人に1人が、生殖補助医療により出生していて、夫婦の5組に1組が不妊治療を受けた事があると回答しています。
そんな不妊治療ですが、不妊治療を受けた事がある労働者の中で仕事と両立ができていないと回答している方は34%にあたるようです。
本来は休職しながら、不妊治療をしたい。
ただ、休職をしてしまうと収入が減ってしまい、ただでさえ一部を除き原則としては保険適用がされていない不妊治療を続けていく事は困難です。
休職している時に、傷病手当金などの所得保障があれば安心だと考える方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、不妊治療による休職は傷病手当金は支給の対象になるのかを解説した記事になります。
傷病手当金以外にも、2022年の不妊治療の保険適用に関してや、現在利用出来る助成金や企業の制度も解説していきます。
不妊治療による休職では、傷病手当金の支給の論点とはあまり関係ありません。
傷病手当金が支給されるかどうかは「実際の症状」によって「労務不能かどうか」が論点となります。
そしてこの「実際の症状」と「労務不能かどうか」を医師が診断して証明を行い、それを傷病手当金を支給するかどうかを審査する「全国健康保険協会」「各健康保険組合」が判断をします。
不妊治療で病院へ行くために休職するだけで症状がない場合は、傷病手当金は支給されない場合もありますし、不妊治療に起因する症状が出ていて仕事に行くのができない場合は、傷病手当金が支給される場合もあります。
審査をしてみないと支給されるかどうかは分かりませんが、逆を言うと「症状があり、労務不能の場合は傷病手当金が出る場合もある」ということです。
まずは「医師にご自身の症状を相談」したり、ご自身の加入する「全国健康保険協会または健康保険組合に相談」してみてください。
2022年4月から不妊治療は健康保険の保険適用となりますが、「不妊治療が保険適用かどうかは傷病手当金の支給の論点には原則としてはあまり関係はありません」。
不妊治療そのもので傷病手当金が支給されるかどうかを審査するのではなく「どのような症状」で「労務不能かどうか」が論点となります。
傷病手当金の支給要件は「健康保険の保険が適用される傷病」のための休業である事となっていますので保険適用されるようになったので必ず支給されるというわけではないという事ですね。
業務外の病気やケガで療養中であること。
業務上や通勤途中での病気やケガは労働災害保険の給付対象となりますので、労働基準監督署にご相談ください。なお、美容整形手術など健康保険の給付対象とならない治療のための療養は除きます。
参考元:全国健康保険協会ホームページ「傷病手当金について」
不妊治療かどうかが論点にはなりませんので、不妊治療が保険適用かどうかもあまり論点にはならないという事ですね。過去に不妊治療が保険適用外のときも実際の症状と労務不能かどうかの判断で傷病手当金が支給されたこともあるようです。
症状や審査の判断も、医師やご自身の加入する全国健康保険協会または健康保険組合によっても異りますので事前に相談するようにお願いします。
傷病手当金の支給にはあまり影響はありませんが、2022年から保険適用される不妊治療について「いつから開始」して「どこまでの範囲」が保険適用になり、何回まで保険適用となるのかを解説していきます。
現在では保険適用外の不妊治療ですが、2022年4月から体外受精などの基本治療は全て保険適用となります。
2022年4月から保険適用となる基本治療とはどこまでの治療を指しているのかを具体的に見ていきましょう。
中央社会保険医療協議会で審議された結果、一般不妊治療の「タイミング法」「人工授精」、生殖補助医療の「採卵」「彩精」「体外受精」「顕微授精」「受精卵・胚培養」「胚凍結保存」「胚移植」が保険適用となります。
2022年4月以降の不妊治療の保険適用の要件や適用回数の上限を確認していきます。
まず、要件としては治療を開始する時点での女性の年齢が43歳未満の方が対象となっています。また事実婚の方も対象となっています。
年齢制限 |
治療開始時において女性の年齢が43歳未満であること |
最初の治療開始時点の女性の年齢によって保険適用される回数の上限が異なり、40歳未満の方は通算6回まで、40歳以上43歳未満の方は通算3回までとなっています。
初めての治療開始時点の女性の年齢 | 回数の上限 |
40歳未満 | 通算6回まで(1子ごとに) |
40歳以上43歳未満 | 通算3回まで(1子ごとに) |
中央社会保険医療協議会で一般不妊治療と生殖補助医療に係る評価の新設する上での考え方は以下のようになっています。
一般不妊治療に係る評価の新設 |
基本的な考え方 |
子どもを持ちたいという方々に対して有効で安全な不妊治療を提供する観点から、一般不妊治療に係る医療技術等について、新たな評価を行う。 |
生殖補助医療に係る評価の新設 |
基本的な考え方 |
子どもを持ちたいという方々に対して有効で安全な不妊治療を提供する観点から、生殖補助医療に係る医療技術等について、新たな評価を行う。 |
参考元:「中央社会保険医療協議会総会(第516回) 議事次第 令和4年2月9日(水)」
健康保険法で定められている傷病手当金の支給要件は次のとおりです。
不妊治療の保険適用は傷病手当金の支給とはあまり関係はありませんが、労務不能やその原因となる実際の症状が非常に重要になってきます。3日連続の待機期間や給与の支払いがない事なども必要な要件となりますので、全ての要件を満たしているかをご注意ください。
2022年4月から不妊治療は保険適用となった事で、自治体から助成されていた「不妊に悩む方への特定治療支援事業」として一部の助成される助成制度が「令和3年度で終了」となっています。
令和4年度に関しては、保険適用の円滑な移行に向けた「経過措置」として、特定不妊治療を令和3年度以前に開始した方が、年度をまたがって令和4年度に治療を終了する場合の経過措置を「不妊治療の保険適用の円滑な移行に向けた支援」として実施しています。
2022年4月から不妊治療が保険適用になりましたが、保険適用の円滑な移行に向けた支援が助成金の経過措置として行われます。移行期の治療計画に支障が生じないように、年度をまたぐ一回の治療について、経過措置として助成金の対象となります。
経過措置の助成対象となる治療は次のずべてに該当する治療です。
ただしすでに既定の助成回数を超えている場合は経過措置の対象外となりますのでご注意ください。
対象治療 | 「体外受精」「顕微授精」 ※以下「特定不妊治療」 |
引用:厚生労働省「不妊治療の保険適用の円滑な移行に向けた支援」 |
対象者 | 特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか 又は極めて少ないと医師に診断された夫婦 (治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦) |
所得制限 | なし |
引用:厚生労働省「不妊治療の保険適用の円滑な移行に向けた支援」 |
女性の不妊治療の場合 | ||
初めての治療開始時点の女性の年齢 | 支給額 | 回数の上限 |
40歳未満 | 1回30万円 | 令和4年度内に1回まで |
40歳以上43歳未満 | 1回30万円 | 令和4年度内に1回まで |
※凍結胚移植(採卵を伴わないもの)及び採卵したが卵が得られない等のため中止したものついては、1回10万円 ※すでに通算回数に到達している方は対象となりません。(1子ごと 40歳未満 通算6回、40歳以上43歳未満 通算3回まで) 引用:厚生労働省「不妊治療の保険適用の円滑な移行に向けた支援」 |
男性の不妊治療の場合 |
|
支給額 | 1回30万円 |
引用:厚生労働省「不妊治療の保険適用の円滑な移行に向けた支援」 |
保険適用となり助成金の制度が終了となりましたが、1回までは助成金の対象となる場合もありますので要件を確認のうえ、申請をしてみましょう。
不妊治療には保険適用や傷病手当金、助成金など費用に関する支援だけではなく、会社の理解も必要です。
会社や仕事と不妊治療を両立する為に「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」「不妊治療連絡カード」 というものがあります。
また企業独自の不妊治療に関する休職・休暇制度や助成制度を準備している会社もあるようですので、会社の制度も一度確認してみて下さい。
不妊治療と仕事を両立させていく為に厚生労働省が作成しているサポートハンドブックです。
不妊治療について詳しく知りたい方や、職場側で行うべき配慮が記載されています。
厚生労働省:不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック
費用だけではなく、このような理解が社会全体として深まり、配慮されている事が不妊治療の第一歩だと感じますね。
不妊治療連絡カードとは、不妊治療を受けている従業員の方が、会社に不妊治療中である事を伝えたり、企業独自の制度等を利用する際に使用する場合に不妊治療と仕事とを、両立する為の従業員と会社をつなぐツールとして厚生労働省が設けているカードです。
厚生労働省:不妊治療連絡カード
国や自治体ではなく、企業独自の不妊治療に関する休職・休暇、助成制度があります。
こちらに仕事と不妊治療の両立支援に取り組む企業の取り組み事例の一部が紹介されていますので参考にしてみてください。
今回は不妊治療による休職は傷病手当金は支給されるのか、そして2022年の改定に関して解説した記事でした。
「不妊治療による休職かどうかは、傷病手当金が支給されるかどうかの論点とはあまり関係はありません」。
それよりも「実際の症状とそれによって労務不能なのかどうか」が論点となります。
また2022年4月から不妊治療が保険適用となりますが、不妊治療かどうかは傷病手当金の支給されるかどうかの論点とはあまり関係がありませんので、不妊治療が保険適用かどうかもあまり関係はありません。
実際の症状や労務不能かどうかに関しては医師やご自身が加入している全国健康保険協会、健康保険組合に相談してみて下さい。
2022年4月から人工授精、顕微授精など今まで保険適用外だった不妊治療も保険適用となりますので、不妊治療へ取り組みやすくなられた方も多いのではないでしょうか。
また、自治体の助成金も不妊治療が保険適用となったことで制度が終了となりましたが、経過措置として年度をまたぐ1回までは対象となる場合もありますので是非対象者はご活用下さい。
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