パパの育休給付金はいつもらえる?社労士が解説する支給時期と申請の流れ

「育休を取ったら、給付金はいつ振り込まれるのだろう」――男性の育児休業(いわゆる産後パパ育休・育児休業)を検討する際、多くの方が最初に気になるのがこの点ではないでしょうか。育休中は収入が減少するため、家計の見通しを立てるうえで「支給のタイミング」は非常に重要な情報です。

本記事では、社会保険労務士の立場から、厚生労働省が公表している資料や制度の内容に基づき、パパが受け取れる育休関連の給付金の種類、支給要件、そして最も気になる「支給時期」について、できる限り正確かつ中立的に解説します。なお、本記事は税務に関する内容は取り扱いません。税務上の取り扱いについては、税理士等の専門家にご確認ください。

目次

1. パパが受け取れる給付金は3種類ある

まず前提として、雇用保険から支給される育児休業関連の給付金(育児休業等給付)には、次の3種類があります。

  • 出生時育児休業給付金:いわゆる「産後パパ育休」を取得した場合に支給される給付金
  • 育児休業給付金:原則として子が1歳(延長の場合は最長2歳)になるまでの育児休業を取得した場合に支給される給付金
  • 出生後休業支援給付金:2025(令和7)年4月1日に創設された給付金で、出生時育児休業給付金または育児休業給付金に上乗せして支給されるもの

これらはいずれもハローワークが所管する雇用保険の給付であり、健康保険から支給される出産手当金とは異なる制度です。出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)1

2. 産後パパ育休(出生時育児休業給付金)とは

2-1. 取得できる期間と日数

産後パパ育休(出生時育児休業)は、「子の出生日(または出産予定日)のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間内に、最大4週間(28日間)を上限として、2回まで分割して取得できる制度です1

2-2. 支給要件

出生時育児休業給付金は、主に以下の要件を満たす場合に支給されます1

  1. 同一の子について、出生時育児休業給付金が支給される産後パパ育休を通算して14日以上取得した被保険者であること
  2. 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(またはこれに準ずる月)が12か月以上あること
  3. 休業期間中の就業日数が最大10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であること

2-3. 支給額

支給額は、次の計算式で算出されます1

出生時育児休業給付金の支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(28日が上限)× 67%

なお、休業開始時賃金日額には上限額が設定されており、2026(令和8)年8月1日から2027(令和9)年7月31日までの適用額は16,540円です。この上限額をもとにすると、28日間休業した場合の支給上限額は310,290円となります1。この上限額は毎年8月1日に、毎月勤労統計の平均給与額の動向に応じて改定される仕組みです。

3. 出生後休業支援給付金とは(2025年4月創設)

3-1. 制度創設の背景

共働き・共育てを推進する観点から、2025(令和7)年4月1日に新設されたのが「出生後休業支援給付金」です12。子の出生直後の一定期間に、両親ともに(配偶者が就労していない場合等は本人のみで)14日以上の育児休業を取得した場合に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金にあわせて、最大28日間支給されます2

3-2. 支給要件のポイント

出生後休業支援給付金の支給を受けるには、次の2つの要件をいずれも満たす必要があります1

  1. 本人が対象期間中に、給付金が支給される休業を通算14日以上取得していること
  2. 配偶者も対象期間中に通算14日以上の育児休業を取得していること、または配偶者が「育児休業を要件としない場合」(無業者である場合など)に該当していること

3-3. 支給額と「手取り10割相当」の考え方

支給額の計算式は次のとおりです1

出生後休業支援給付金の支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(28日が上限)× 13%

出生時育児休業給付金(67%)と出生後休業支援給付金(13%)をあわせると給付率は80%となります。育児休業中は社会保険料が免除され、雇用保険は非課税であることから、給付率80%の給付が「手取り10割相当」と説明されています1。ただし、これはあくまで休業開始時賃金日額に上限額が設定されている範囲内での考え方であり、すべての方の手取りが必ず10割になるわけではない点に留意が必要です。

支給上限額は、2026年8月1日以降の適用額で60,205円(28日分)です1

4. 通常の育児休業給付金(1歳まで・延長の場合は最長2歳まで)

産後パパ育休に続けて、あるいは産後パパ育休を取得せずに、原則1歳未満の子を養育するための育児休業を取得した場合には、育児休業給付金が支給されます1

支給額の計算式は次のとおりです1

育児休業給付金の支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(休業開始から181日目以降は50%)

2026年8月1日から2027年7月31日までの適用額では、休業開始時賃金日額の上限は16,540円、下限は3,203円です。支給日数30日の場合、給付率67%の支給上限額は332,454円、給付率50%の支給上限額は248,100円となります1

5. 本題:パパの育休給付金は「いつ」もらえるのか

ここからが本記事の本題です。パパの育休給付金がいつ支給されるかは、「出生時育児休業給付金」と「育児休業給付金」で申請・支給のタイミングが異なります。それぞれ整理します。

5-1. 出生時育児休業給付金(産後パパ育休分)の場合

申請できるタイミング(申請開始日)

出生時育児休業給付金の申請は、子の出生日(出産予定日前に出生した場合は出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日以降に可能となります。ただし、①出生時育児休業の取得日数が28日に達した場合はその翌日から、②2回に分割して取得し2回目の休業を終えた場合はその終了日の翌日から、それぞれ申請可能です1

つまり、産後パパ育休を取得しただけでは、休業期間中に給付金を受け取ることはできず、原則として「子の出生から8週間が経過した後」でなければ申請自体ができない仕組みになっています。

申請期限

申請開始日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までに、事業主を経由して(本人が直接申請することも可能)ハローワークに申請書を提出する必要があります1

支給決定から振込までの期間

厚生労働省の資料には、「出生時育児休業給付金及び出生後休業支援給付金は届け出た被保険者本人の金融機関の口座に、支給決定後約1週間で振り込まれます」と明記されています1

これらを踏まえると、産後パパ育休を取得した場合、実際に給付金が口座に振り込まれるのは、早くても「子の出生から8週間経過後+ハローワークでの審査期間+支給決定後約1週間」となり、出生から2~3か月程度が経過してからになるのが一般的な流れです。事業主の書類準備の状況や申請時期によって前後しますので、あくまで目安としてご理解ください。

5-2. 育児休業給付金(1歳までの育休分)の場合

初回申請のタイミングと期限

育児休業給付金の初回の受給資格確認・支給申請は、被保険者の育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります1。実務上は、育児休業開始後、最初の2つの支給単位期間(1か月ごとの期間)が経過した段階でまとめて初回申請を行うケースが一般的です。

支給決定から振込までの期間

育児休業給付金についても、「届け出た被保険者本人の金融機関の口座に、支給決定後約1週間で振り込まれます」とされています1

2回目以降の支給サイクル

育児休業給付金は、原則として2か月に1回、2つの支給単位期間分をまとめて支給申請を行います(被保険者本人が希望する場合は1か月ごとの申請も可能です)1。2回目以降の申請は、ハローワークが交付する「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に記載された指定日に行うのが原則です1

このように、育児休業給付金は一括で全期間分が振り込まれるのではなく、2か月ごとの分割払いのような形で継続的に支給される点が特徴です。

5-3. まとめ:支給時期の全体イメージ

以上を踏まえると、パパの育休給付金の支給時期は概ね次のように整理できます。

  • 産後パパ育休(出生時育児休業給付金):子の出生から8週間経過後に申請可能となり、支給決定後約1週間で振込。初回入金までにはおおむね出生から2~3か月程度を要するのが一般的な流れです。
  • 育児休業給付金:育児休業開始後、最初の2か月分をまとめて申請し、支給決定後約1週間で振込。以降は原則2か月ごとに継続して振り込まれます。

いずれの給付金も、「休業を取得した月にすぐ振り込まれる」ものではなく、一定の審査期間を要する点をあらかじめ理解しておくことが、家計管理の面でも重要です。

6. 申請手続きの流れと必要書類

申請手続きの基本的な流れは次のとおりです1

  1. 事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに受給資格確認手続を行う
  2. 「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」等を提出する
  3. 母子健康手帳の写し(出生届出済証明のページ等)や賃金台帳、出勤簿など、育児の事実や賃金の支払状況を確認できる書類を添付する
  4. ハローワークが要件を審査し、支給決定通知書または不支給決定通知書を交付する
  5. 支給決定後、約1週間で指定口座に振り込まれる

申請書の提出は原則として事業主を経由して行いますが、やむを得ない理由がある場合は被保険者本人が直接ハローワークに提出することも可能です1。出生後休業支援給付金について配偶者の育児休業取得状況を確認するための書類(住民票の写しや、配偶者の育児休業に係る支給決定通知書の写しなど)が必要となる場合がある点にも留意してください1

7. よくある質問(Q&A)

Q1. 会社が申請を進めてくれず、いつまでも給付金がもらえません。どうすればよいですか。

申請は原則として事業主を経由して行いますが、やむを得ない理由により事業主経由での提出が困難な場合は、被保険者本人が直接ハローワークに申請することも制度上可能とされています1。まずは社内の担当部署に申請状況を確認し、それでも進まない場合は、事業所を管轄するハローワークに相談することをおすすめします。

Q2. 産後パパ育休と、その後の育児休業を両方取得する場合、申請はどうなりますか。

産後パパ育休(出生時育児休業給付金)と、その後の育児休業給付金は、それぞれ別の給付金として、別々のタイミングで申請・審査・支給が行われます。産後パパ育休の申請は子の出生から8週間経過後、育児休業給付金の初回申請は育休開始から4か月以内が申請期限です1

Q3. 出生後休業支援給付金だけを後から単独で申請することはできますか。

可能です。ただし、出生後休業支援給付金の単独申請は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給決定がされた後でなければ行えません。厚生労働省の資料では、支給決定通知書が送付された後や入金が確認できた後に申請するよう案内されています1

Q4. 申請期限を過ぎてしまった場合、給付金は受け取れませんか。

育児休業給付は雇用保険の給付であり、時効の期間(支給単位期間の末日の翌日から起算して2年間)内であれば申請が可能とされています1。ただし、迅速な給付のためには、法定の申請期限内に手続きを行うことが原則です。期限を過ぎてしまった場合は、早めに管轄のハローワークまたは事業所の担当部署にご相談ください。

8. まとめ

産後パパ育休を含む男性の育児休業に関する給付金は、「育休を取った月にすぐもらえる」ものではなく、一定の要件確認と審査を経たうえで、支給決定後約1週間で振り込まれる仕組みとなっています。特に産後パパ育休(出生時育児休業給付金)は、子の出生から8週間が経過するまで申請自体ができないため、初回の入金までにある程度の期間を要することを、あらかじめ念頭に置いておくことが大切です。

また、2025年4月に創設された出生後休業支援給付金により、要件を満たせば給付率が実質80%まで引き上げられる仕組みも整いました。制度は複雑な部分も多いため、ご自身の状況に応じた正確な支給時期や支給額を知りたい場合は、勤務先の担当部署や、事業所を管轄するハローワーク、あるいは社会保険労務士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

なお、本記事の内容は執筆時点の制度に基づくものです。育児休業給付の支給限度額等は毎年8月1日に改定されるほか、法改正により制度内容が変更される可能性があります。最新の情報は、必ず厚生労働省やハローワークの公式情報でご確認ください。


出典・参考文献

厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html

ハローワークインターネットサービス「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書 利用上の注意」 https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/ikuji_shussho.html


本記事は社会保険労務士の立場から、公的機関が公表する資料に基づき一般的な情報を解説したものであり、個別の事案に対する助言や税務に関する内容を含むものではありません。個別の相談は、顧問社会保険労務士や事業所を管轄するハローワークにお問い合わせください。

  1. 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026(令和8)年8月1日改訂版) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
  2. 厚生労働省 都道府県労働局「出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の創設について」 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/list/shibuya/important_topics/070116_00001.html 2
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