パパの育休はいつから取れる?社会保険労務士が解説する「産後パパ育休」と育児休業の始め方完全ガイド

「妻の出産が近づいてきたけれど、自分(パパ)の育休はいつから取れるのだろう」「そもそも育休には種類があると聞いたけれど、何が違うのか分からない」——そんな疑問を持つ方は少なくありません。

近年、男性の育児休業の取得は着実に広がっています。厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」によれば、男性の育児休業取得率は40.5%となり、前年度の30.1%から10.4ポイント上昇し、過去最高を更新しました。育児休業を取得した男性のうち82.6%が、後述する「産後パパ育休」を利用しているというデータも公表されています(出典:厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」)。

本記事では、社会保険労務士の立場から、法律(育児・介護休業法)や厚生労働省の公式資料に基づき、パパが取得できる育休の種類と「いつから取得できるのか」という開始時期の考え方、申出のタイミング、経済的な支援制度について、公平かつ正確に解説します。


目次

1. パパが取れる「育休」には2種類ある

まず押さえておきたいのは、男性が取得できる休業には大きく分けて2つの制度があるという点です。

  1. 産後パパ育休(出生時育児休業):子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得できる休業
  2. (通常の)育児休業:原則として子が1歳(一定の要件を満たす場合は最長2歳)に達するまで取得できる休業

この2つは、根拠となる条文はいずれも「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児・介護休業法)ですが、対象期間・申出期限・分割回数などの制度設計が異なります。両方を組み合わせて利用することも可能です。まずはそれぞれの制度で「いつから」休業を開始できるのかを見ていきましょう。


2. 産後パパ育休(出生時育児休業)はいつから取れる?

2-1. 制度の根拠と対象期間

産後パパ育休は、令和4年(2022年)10月1日に施行された改正育児・介護休業法によって新設された制度です。厚生労働省の特設サイトでは、次のように説明されています。

産後パパ育休とは産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できる制度です。(出典:厚生労働省「育児休業制度 特設サイト」)

つまり「いつから取れるか」という問いに対する法律上の答えは、子の出生日(または出産予定日のいずれか早い方)から、出生日を起算日とした8週間以内が対象期間ということになります。この8週間という期間は、労働基準法における産後休業(出産日から8週間)に対応した期間として設定されており、母親の心身の負担が大きい産後直後の時期に、父親が育児に参加しやすくすることを目的としています。

2-2. 具体的な開始日の考え方

産後パパ育休の対象期間は「子の出生後8週間以内」ですが、実際の出産は予定日どおりに進むとは限りません。この点について、制度上は以下のように整理されています。

  • 出産予定日より前に子が生まれた場合:実際の出生日を起算日として8週間以内が対象期間になります。
  • 出産予定日より後に子が生まれた場合:出産予定日から出生日までの期間も対象に含まれるよう考慮されており、実務上は出産予定日の時点から取得の準備を進めることになります。

そのため、パパ自身が「いつから休業を開始するか」は、出産予定日が近づいた段階で会社と相談し、実際の出生日が確定した後に休業開始日を確定させる、という流れになるのが一般的です。

2-3. 分割取得と取得可能日数

産後パパ育休は、8週間以内の期間中に最大28日(4週間)まで、2回に分割して取得できます。たとえば「出産直後の1週間」と「里帰りから戻ってくるタイミングの2週間」というように、家庭の事情に合わせて分けて取得することが可能です。ただし、2回に分割する場合は、後述する申出のタイミングでまとめて申し出る必要があります(分割した2回分を別々のタイミングで申し出ることは原則できません)。


3. 産後パパ育休の申出はいつまでにすればいい?

3-1. 原則は「休業開始の2週間前まで」

「いつから休業に入れるか」は、「いつまでに会社に申し出たか」と表裏一体の関係にあります。厚生労働省の資料では、産後パパ育休の申出期限について次のように明記されています。

原則休業の2週間前まで。(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」)

つまり、原則として休業を開始したい日の2週間前までに会社へ申し出れば、その希望日から産後パパ育休を開始することができます。出産予定日は前後することが多いため、「出産予定日の2週間前」を一つの目安として、早めに会社の人事・総務担当者へ相談しておくと安心です。

3-2. 会社の取り組み次第では「1か月前」になることもある

一方で、次のような例外もあります。

事業主が、雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることができます。(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」)

つまり、会社が育児休業を取得しやすい環境整備について、法律で義務付けられた水準以上の取り組みを労使協定で定めている場合には、申出期限が「1か月前まで」に延長されることがあります。自社の申出期限がどちらに当たるかは、就業規則や労使協定を確認するか、人事担当者に確認することをおすすめします。


4. 通常の育児休業は「いつから」取れる?

4-1. 対象期間は「原則1歳まで」

産後パパ育休とは別に、男女を問わず取得できる通常の育児休業(育児・介護休業法第5条に基づく制度)があります。対象となるのは、原則として子が1歳に達するまでの間です。父親の場合、産後パパ育休とは異なり、子の出生日当日から取得を開始することも制度上可能です(出生日から取得すれば、出生時育児休業と重複して取得することもできます)。

4-2. 分割取得が可能に(令和4年10月改正)

令和4年(2022年)10月の法改正により、通常の育児休業についても分割して取得できるようになりました。厚生労働省の説明は以下のとおりです。

これまで、育児休業は原則1回しか取得できませんでしたが、令和4(2022)年10月からは男女ともそれぞれ2回まで取得することが可能となりました。(出典:厚生労働省「育児休業制度 特設サイト」)

これにより、たとえば「出生後すぐに1回目を取得し、母親の職場復帰のタイミングで2回目を取得する」といった柔軟な使い方ができるようになりました。

4-3. 1歳6か月・2歳までの延長

保育所に入所できないなど一定の事情がある場合には、育児休業を1歳6か月まで、さらに2歳まで延長することが可能です。延長にあたっても、要件を満たせば夫婦で交代して取得することができ、これを「パパ・ママ育休プラス」と呼びます。パパ・ママ育休プラスを利用する場合、両親がともに育児休業を取得していることなど一定の要件のもとで、育児休業の対象期間が「子が1歳2か月に達するまで」に延長されます。


5. パパの育休タイムライン(取得イメージ)

制度が複数あるため、実際の取得イメージを時系列で整理すると次のようになります。

  • 出生〜生後8週間まで:産後パパ育休を取得(最大28日、2回まで分割可)
  • 生後8週間〜1歳まで:通常の育児休業を取得(2回まで分割可)
  • 1歳〜1歳2か月まで:パパ・ママ育休プラスにより延長取得(要件を満たす場合)
  • 保育所に入所できない等の事情がある場合:1歳6か月、さらに2歳まで再延長

このように、産後パパ育休と通常の育児休業を組み合わせることで、パパは最大で合計4回に分けて休業を取得できる仕組みになっています。


6. 育休を取得できる労働者の要件

育児休業(産後パパ育休を含む)は、原則として全ての労働者が対象です。正社員はもちろん、有期雇用労働者(契約社員・パート等)についても、令和4年4月の改正により「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が撤廃され、申出時点で「子が1歳6か月になるまでの間に契約が満了することが明らかでない」ことのみが要件となりました。

ただし、労使協定を締結することで、次のような労働者を対象外とすることが認められています。

  • 雇用された期間が1年未満の労働者
  • 申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
  • 週の所定労働日数が2日以下の労働者

自分が対象になるかどうか不明な場合は、就業規則や労使協定の内容を確認するか、勤務先の人事担当者に確認しましょう。


7. 休業中に働くことはできる?

通常の育児休業中は原則として就業することはできませんが、産後パパ育休に限り、労使協定を締結している場合に限り、労働者本人が合意した範囲内で休業中に就業することが可能です。厚生労働省の資料では次のように説明されています。

労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能です。(出典:厚生労働省「育児休業制度 特設サイト」)

就業可能日数にも上限があり、休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分以下、休業開始日・終了日を含む場合はその日の所定労働時間数未満とする等のルールが定められています。就業を希望する場合は、会社が用意する同意書等の手続きに沿って進める必要があります。


8. 育休中の経済的な支援制度

8-1. 出生時育児休業給付金・育児休業給付金

育休中は給与が支払われないケースが一般的ですが、雇用保険から給付金が支給されます。産後パパ育休の期間については「出生時育児休業給付金」、通常の育児休業の期間については「育児休業給付金」が、それぞれ休業開始時賃金日額をもとに、賃金の67%相当額を基本として支給されます(出典:厚生労働省「育児休業等給付について」)。

8-2. 2025年4月創設「出生後休業支援給付金」

さらに令和7年(2025年)4月からは、新たに「出生後休業支援給付金」が創設されました。厚生労働省の案内では次のように説明されています。

支給額は、両親いずれも、育児休業給付と出生後休業支援給付金を合わせて休業前賃金の80%相当額となります。(出典:厚生労働省「2025年4月から『出生後休業支援給付金』『育児時短就業給付金』が始まります」)

支給を受けるための主な要件は、父親が子の出生後8週間以内、母親が産後休業後8週間以内に、両親ともに14日以上の育児休業(産後パパ育休を含む)を取得することなどです。支給対象となる日数は最大28日間で、休業開始時賃金日額には毎年8月に改定される上限額が設定されています。詳細な支給要件・上限額は年度により変わるため、最新の情報は厚生労働省の公式パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」でご確認ください。

8-3. 社会保険料の免除

育児休業(産後パパ育休を含む)を取得している期間については、要件を満たすことで健康保険・厚生年金保険の保険料が免除される仕組みがあります。免除の対象となる要件(休業日数や月内の取得日数等)は法令で定められているため、詳細は日本年金機構や勤務先の担当部署にご確認ください。


9. 会社への申出から取得までの流れ

実際に産後パパ育休・育児休業を取得する際の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 妊娠・出産の申出:配偶者の妊娠が分かった段階で、会社(人事・上司)に報告します。育児・介護休業法では、事業主は妊娠・出産等の申出をした労働者に対して、育児休業に関する制度の周知や取得意向の確認を行うことが義務付けられています。
  2. 取得時期・期間の検討:出産予定日をもとに、産後パパ育休をいつから取るか、通常の育児休業と組み合わせるかを検討します。
  3. 会社への申出:産後パパ育休は原則2週間前まで(労使協定により1か月前までの場合あり)、通常の育児休業は原則1か月前までに、書面等で申し出ます。
  4. 休業開始・給付金の手続き:休業開始後、ハローワークを通じて出生時育児休業給付金・育児休業給付金等の申請手続きを行います(多くの場合、事業主経由での手続きとなります)。

会社ごとに申出様式や手続きの詳細が異なる場合があるため、まずは就業規則や育児・介護休業に関する規程を確認し、早めに担当部署へ相談することが、スムーズな取得の第一歩になります。


10. まとめ:パパの育休は「早めの相談」がカギ

パパが取得できる育休には、①子の出生後8週間以内に取得する「産後パパ育休」と、②子が原則1歳になるまで取得できる「通常の育児休業」の2種類があり、それぞれ対象期間や申出期限、分割回数のルールが異なります。

  • 産後パパ育休:子の出生後8週間以内、最大28日、2回まで分割可、原則2週間前までに申出
  • 通常の育児休業:原則1歳まで、2回まで分割可、原則1か月前までに申出
  • 経済的な支援として、育児休業給付金・出生時育児休業給付金に加え、2025年4月からは出生後休業支援給付金による上乗せ支給が始まっている

いずれの制度も「いつから」休業を開始できるかは、出産予定日や会社への申出のタイミングによって左右されます。制度を最大限に活用するためには、配偶者の妊娠が分かった時点で早めに社内の担当部署に相談し、就業規則や労使協定の内容を確認しておくことが重要です。

不明な点がある場合は、勤務先の人事労務担当者や、最寄りの都道府県労働局・労働基準監督署、あるいは社会保険労務士へ相談することをおすすめします。


参考文献・出典

本記事は、以下の厚生労働省の公表資料等を根拠として作成しています。

※制度の詳細(給付率の上限額、対象要件等)は法改正や年度改定により変更される場合があります。最新の内容は必ず厚生労働省の公式サイトでご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については、勤務先の担当部署や顧問社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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