パパの育休、申請方法を社会保険労務士がわかりやすく解説【2026年最新版】

「妻の出産が近づいてきた。自分も育休を取りたいけれど、いつ・どこに・何を申請すればいいのか分からない」——多くのパパから、こうしたご相談をいただきます。

育児・介護休業法の改正により、2022年10月からは男性が取得しやすい「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設され、2025年4月にはさらに給付制度が拡充されました。制度が手厚くなった一方で、「育休」と「産後パパ育休」の違いや、申請のタイミング、給付金の手続き先が分かりにくいという声も少なくありません。

この記事では、社会保険労務士の立場から、法令・厚生労働省の公式資料に基づき、パパが育休を申請する具体的な方法と流れを、公平性を保ちながら整理して解説します。制度の税務上の取り扱い(所得税・住民税等)については触れておりませんので、その点はあらかじめご了承ください。

目次

パパが使える育児休業には2種類ある

パパが取得できる休業には、大きく分けて次の2つがあります。両者は法律上まったく別の制度として設計されているため、まずこの違いを押さえることが申請方法を理解する第一歩です。

  • ① 産後パパ育休(出生時育児休業):子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日間)まで取得できる短期集中型の休業制度
  • ② 育児休業(通常の育休):子が原則1歳(延長時は最長2歳)になるまで取得できる休業制度

この2つは同じ子について併用が可能であり、たとえば「出生直後に産後パパ育休を取り、復職後に改めて育児休業を取得する」といった柔軟な取り方もできます。

産後パパ育休(出生時育児休業)とは

制度の根拠と対象となる労働者

産後パパ育休は、育児・介護休業法第9条の2に基づき2022年10月1日に創設された制度です。要件を満たす労働者は、子の出生後8週間以内に、出生時育児休業(産後パパ育休)を4週間まで取得することができます。

対象となるのは、産後休業をしていない労働者(主に男性を想定した制度ですが、養子縁組の場合など女性も対象となり得ます)です。有期雇用契約の労働者については、子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでない場合に取得が可能とされています。

なお、労使協定を締結することで、入社1年未満の労働者などを対象外とすることも認められています。ご自身の勤務先が対象外規定を設けているかどうかは、就業規則や労使協定で確認する必要があります。

取得できる期間・回数

産後パパ育休は、子の出生後8週間以内の期間内で、最大4週間(28日)まで、2回に分割して取得することが可能です。ただし、分割して取得する場合は、最初の申出の際にまとめて2回分の取得予定を申し出る必要があります。後から追加で分割することは原則できませんので、取得を検討する時点で夫婦の予定をすり合わせておくことが重要です。

パパの育休 申請方法・手続きの流れ【産後パパ育休編】

ここからは、実際の申請の流れをステップごとに解説します。

Step1:会社への申出

産後パパ育休を取得するには、労働者本人が事業主(会社)に対して申出を行う必要があります。申出は書面のほか、事業主が認める場合はファックスや電子メール、社内LANなどの方法によることも可能とされています。

まずは人事・総務担当部署に、取得を希望する時期と期間を伝えるところから始めましょう。

Step2:申出期限(原則2週間前)

産後パパ育休の申出期限は、原則として休業開始予定日の2週間前までです。

ただし、雇用環境の整備等について法律を上回る取組みを労使協定で定めている企業では、申出期限を1か月前までとすることが認められています。この場合、企業は次のような措置のうち2つ以上を労使協定で定めることが求められます。

  • 育児休業に関する研修の実施
  • 育児休業に関する相談体制の整備
  • 自社の労働者の育児休業取得事例の収集・提供
  • 育児休業に関する制度や取得促進方針の周知
  • 育児休業の取得が円滑に行われるための業務配分・人員配置の措置

ご自身の勤務先の申出期限が2週間前か1か月前かは、就業規則や社内規程で必ず確認してください。なお、期限に遅れて申し出た場合、会社側が休業の開始予定日を指定できる場合があるため、余裕を持った申出が望ましいでしょう。

Step3:必要書類・記載事項

会社所定の「育児休業申出書」等に、以下のような事項を記載して提出するのが一般的な流れです。

  • 申出の年月日
  • 労働者の氏名
  • 申出に係る子の氏名・生年月日・続柄(出生前の場合は出産予定者の氏名、出産予定日など)
  • 休業を開始しようとする日および休業を終了しようとする日
  • 分割して取得する場合は、その旨

母子健康手帳の写しなど、子の出生や続柄を証明する書類の提出を求められることもあります。会社ごとに運用が異なるため、指定の様式や添付書類については人事担当部署に確認しましょう。

Step4:休業中に働くことはできる?

産後パパ育休は、育児休業の中でも例外的に、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲内で休業中に就業することが可能という特徴があります。ただし、これはあくまで例外的な取扱いであり、育児休業は本来、労務提供義務がなくなる制度であることから、就業しないことが原則です。会社側から一方的に就業を求めたり、労働者の意に反する形で就業させたりすることは認められていません。

就業する場合の上限は次のとおりです(休業期間が2週間の場合の目安)。

  • 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分まで
  • 休業開始日・終了日を就業日とする場合は、その日の所定労働時間数未満

例えば、所定労働時間が1日8時間、所定労働日が週5日の労働者が2週間(所定労働日10日・所定労働時間80時間)の産後パパ育休を取得する場合、就業できるのは日数上限5日・時間上限40時間までとなります。

就業を希望する場合は、労働者から会社へ就業可能日等の条件を申し出て、会社がその範囲内で候補日・候補時間を提示し、労働者が同意するという手順を踏みます。

通常の育児休業の申請方法

産後パパ育休の期間(原則出生後8週間)を過ぎてからも育児に関わりたい場合は、通常の育児休業(育児・介護休業法第5条以下)を申請することになります。

対象となる労働者と期間

原則として、1歳に満たない子を養育する労働者が対象です。保育所に入所できないなど一定の事情がある場合は、最長で子が2歳になるまで延長が可能です。2022年10月の改正により、通常の育児休業も2回まで分割して取得できるようになりました。

申出期限

通常の育児休業の申出期限は、原則として休業開始予定日の1か月前までです(1歳以降の育児休業の再取得の場合は2週間前)。産後パパ育休(原則2週間前)とは期限が異なる点に注意してください。

パパ・ママ育休プラスとは

両親がともに育児休業を取得する場合、一定の要件を満たすことで、育児休業を取得できる期間が子が1歳2か月に達するまでに延長される「パパ・ママ育休プラス」という制度もあります(取得できる休業期間の総日数の上限は変わりません)。夫婦での取得タイミングを工夫することで、育児休業をより柔軟に活用できます。

育休給付金の申請方法【ハローワーク編】

育休を取得すると収入面が気になるところですが、雇用保険の被保険者であれば、一定の要件のもとで育児休業等給付を受けることができます。給付の申請先は、事業所の所在地を管轄するハローワークであり、申請手続きは通常、事業主を通じて行われます。

① 出生時育児休業給付金

産後パパ育休を取得し、雇用保険の受給要件(休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あることなど)を満たす場合に支給されるのが「出生時育児休業給付金」です。給付率は休業開始時賃金日額の67%相当とされています。

申請には、原則として「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」や「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」などの書類が必要です。申請は、子の出生日(出産予定日前に出生した場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日以降に行うことができます。

② 育児休業給付金

通常の育児休業を取得した場合に支給されるのが「育児休業給付金」です。給付率は、休業開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は**50%**とされています。

初回の受給資格確認・支給申請は、育児休業を開始した日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります。2回目以降の申請は、各支給単位期間の末日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までとされていますが、実務上は手続きの遅延を避けるため、早めの申請が推奨されます。

③ 出生後休業支援給付金(2025年4月新設)

2025年4月から新たに創設されたのが「出生後休業支援給付金」です。子の出生直後の一定期間内に、原則として両親がともに14日以上の育児休業(産後パパ育休を含む)を取得する場合、最大28日間、休業開始前賃金の**13%が上乗せで支給されます。育児休業給付(67%)または出生時育児休業給付金(67%)とあわせると給付率は80%**となります。なお、ひとり親の場合など一定の要件に該当するときは、配偶者が育児休業を取得していなくても支給対象となる場合があります。

ご自身が支給要件を満たすかどうかは、厚生労働省が公開している「出生後休業支援給付の簡易診断(要件確認)ツール」で確認することができます(出典に掲載のURLをご参照ください)。

社会保険料の免除手続き

育児休業(産後パパ育休を含む)を取得している期間は、要件を満たせば健康保険・厚生年金保険の保険料が、被保険者負担分・事業主負担分ともに免除されます。この手続きは、事業主が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構(年金事務所または事務センター)へ提出することによって行われます。労働者本人が直接年金事務所へ申請するものではなく、会社を通じた手続きとなる点を押さえておきましょう。

免除を受けるための主な条件は次のとおりです。

  • その月の末日が育児休業期間中であること
  • 育休開始日の月と終了日翌日の月が同一の場合は、その月内で14日以上育児休業を取得していること(産後パパ育休中に就業した日は、この14日のカウントに含まれません)

なお、この免除期間は将来の年金額の計算上、保険料を納付した期間として扱われるため、免除を受けたことで将来受け取る年金額が減ることはありません。

よくある質問(Q&A)

Q1. 産後パパ育休と通常の育児休業は同時に申請できますか? 産後パパ育休(出生後8週間以内)と通常の育児休業は、対象となる時期が異なる別の制度です。出生直後に産後パパ育休を取得し、その後に通常の育児休業へ移行するという形で、実質的に連続して休業を取得することは可能です。それぞれ申出期限が異なりますので、早めに会社へ相談することをおすすめします。

Q2. 契約社員やパートタイム労働者も対象になりますか? 有期雇用労働者であっても、子の出生後8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでない場合など、一定の要件を満たせば産後パパ育休・育児休業のいずれも取得可能です。

Q3. 申出期限に間に合わなかった場合はどうなりますか? 申出が期限より遅れた場合、会社が休業の開始予定日を指定できる場合があります。希望通りの時期に休業を開始できない可能性があるため、申出期限(産後パパ育休は原則2週間前、育児休業は原則1か月前)を意識して早めに準備することが大切です。

まとめ

パパの育休申請は、①産後パパ育休(出生後8週間以内・最大4週間・原則2週間前までに申出)と、②通常の育児休業(原則1歳まで・原則1か月前までに申出)という、要件も期限も異なる2つの制度を正しく理解することが第一歩です。そのうえで、育児休業給付金等の申請はハローワークへ、社会保険料免除の手続きは会社を通じて年金事務所へ、という申請先の違いも押さえておく必要があります。

制度の詳細や自社の労使協定の内容は会社ごとに異なる部分もあるため、実際に取得を検討される際は、まず社内の人事・総務担当部署に相談し、不明な点があれば最寄りのハローワークや、社会保険労務士などの専門家に相談されることをおすすめします。


出典・参考資料

本記事は、以下の法令および行政機関が公表する資料に基づいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

※本記事は一般的な制度の解説を目的としたものであり、個別の労働契約・就業規則・労使協定の内容によって取扱いが異なる場合があります。実際の手続きにあたっては、勤務先の人事担当部署、所轄のハローワーク、年金事務所、または顧問社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

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