有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者 といった、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進す るための「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、そのような非正規雇用労働者を正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
正社員化や処遇改善の取組を実施する事で、労働者の意欲や能力の向上、そして事業の生産性を高め、優秀な人材を確保する為の助成金ですが、実際の受給額や要件をご存じない方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、キャリアアップ助成金(正社員化コース)はいくら貰えるのかを解説した記事です。
支給要件や流れなども網羅的に解説していきます。
目次
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは次のような制度です。
- キャリアップ助成金とは
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有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、正社員化・処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。
キャリアアップ助成金の種類
キャリアアップ助成金は「正社員化コース」と「処遇改善コース」の2種類があります。
正社員化コースは「正社員化コース」「障害者正社員化コース」の2種類に、処遇改善コースは「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」の5種類に分かれています。
- キャリアアップ助成金の種類
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- 「正社員化コース」…「正社員化コース」「障害者正社員化コース」の2種類
- 「処遇改善コース」…「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」の5種類
今回はキャリアアップ助成金の中でも正社員化コースの助成額、支給の流れなどを解説します。
キャリアアップ助成金「正社員化コース」とは
- キャリアアップ助成金「正社員化コース」とは
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キャリアアップ助成金「正社員化コース」とは、就業規則等に規定した制度に基づいて、有期契約労働者や無期契約労働者などの非正規雇用労働者を「正規雇用労働者等に転換・直接雇用した場合に助成される制度」です。
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の助成額はいくら?
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の助成額は「有期雇用労働者から正規雇用労働者へ転換」「無期雇用労働者から正規雇用労働者へ転換」「派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者で直接雇用」によって異なります。
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)の助成額
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- 「有期雇用労働者から正規雇用労働者へ転換」…「中小企業 57万円」・「大企業 42万7,500円」
- 「無期雇用労働者から正規雇用労働者へ転換」…「中小企業 28万5,000円」・「大企業 21万3,750円」
- 「派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者で直接雇用」…「中小企業 28万5,000円」・「大企業 21万3,750円」
- 生産性要件を満たした場合の助成額
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- 「有期雇用労働者から正規雇用労働者へ転換」…「中小企業 72万円」・「大企業 54万円」
- 「無期雇用労働者から正規雇用労働者へ転換」…「中小企業 36万円」・「大企業 27万円」
- 「派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者で直接雇用」…「中小企業 36万円」・「大企業 27万円」
助成額は、中小企業と大企業で分かれており、通常の助成額と生産性向上要件を満たした場合の助成額でも分かれています。
有期雇用の非正規労働者から無期雇用の非正規労働者への転換は、令和4年の3月31日で終了となっています。
母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合の加算や勤務地限定正社員の制度を新たに規定した場合には助成額が異なりますので、詳細に関しては厚生労働省のホームページの情報を確認してください。
キャリアアップ助成金 正社員化コースは何人まで?
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人までとなっています。
中小企業の範囲
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の助成額は中小企業と大企業で変わりますが
中小企業の範囲は原則は資本金3億円以下または常時雇用する労働者の数が300人以下です。
業種と資本金の額または労働者の数で中小企業に区分されるかが決まっていますのでご自身の業種や資本金、労働者数がどこに該当するかを確認して下さい。
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)の中小企業の範囲
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- 「小売業(飲食店を含む)」資本金の額・出資の総額5,000万円以下または常時雇用する労働者の数50人以下
- 「サービス業」資本金の額・出資の総額5,000万円以下または常時雇用する労働者の数100人以下
- 「卸売業」資本金の額・出資の総額1億円以下または常時雇用する労働者の数100人以下
- 「その他の業種」資本金の額・出資の総額3億円以下または常時雇用する労働者の数300人以下
生産性要件
キャリアアップ助成金(正社員化コース)では生産性要件を満たすと助成額が上がり
生産性要件は「3年度前と比べて6%以上伸びている事」となります。
金融機関から一定の「事業性評価 ※」を得ている場合
「その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること」
※「事業性評価」とは、都道府県労働局が助成金を申請する事業所の承諾を得た上で
事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性および経営資源・強み等)を与信取引等のある金融機関に照会し
その回答を参考にして、割増支給の判断 を行うものです。
生産性の計算式
キャリアアップ助成金の正社員化コースの生産性の計算式は次のとおりになっています。
生産性 = 「付加価値 ※」/「雇用保険被保険者数」(日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者を除く)
※付加価値 =「営業利益 + 人件費 + 減価償却費 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課」
※企業会計基準を用いることができない事業所については、管轄の都道府県労働局または、最寄りのハローワークにお問い合わせください。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給要件
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給要件は
「対象労働者の要件」と「対象事業主の要件」をそれぞれ満たすことです。
対象事業主に関しては、派遣労働者を正社員化するのかどうかで要件が少し違いますのでご注意下さい。
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の対象労働者
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の対象労働者は次のとおりです。
- キャリアアップ助成金「正社員化コース」の対象労働者
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- 賃金の額または計算方法が「正規雇用労働者と異なる」雇用区分の就業規則等の適用を「通算6か月以上受けて雇用される有期雇用労働者・無期雇用労働者」(有期派遣労働者または無期派遣労働者も含む)
- 転換または直接雇用後の雇用形態に定年制が適用される場合「転換または直接雇用日から定年までの期間が1年以上」である者
- 転換または直接雇用後の雇用区分の状態が継続し「離職していない者」(支給申請日において)
- 有期雇用労働者または無期雇用労働者への「転換が予定されていない者」(支給申請日において)
正社員化される以前に6ヶ月以上雇用されていて、転換後定年までが1年以上あり、離職や非正規雇用労働者へ再転換のリスクがない方が対象労働者となっています。
次のような労働者は対象労働者から除外されます。
- 正規雇用労働者として「雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者」等
- 当該転換日または直接雇用日の前日から「過去3年以内」に、当該事業主の事業所または資本的・経済的・組織的 関連性からみて密接な関係の事業主において「正規雇用労働者として雇用されたことがある者」、請負もしくは委任の関係にあった者または取締役、社員、監査役、協同組合等の社団もしくは財団の役員であった者
- 転換または直接雇用を行った適用事業所の「事業主または取締役の3親等以内の親族」
- 障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律施行規則に規定する就労継続支援A型の事業所における利用者
詳細な要件に関しては厚生労働省のホームページの情報を確認してください。
キャリアアップ助成金 全コース共通の支給対象事業主の要件
キャリアアップ助成金の全コース共通の支給対象事業主の要件は次のとおりです。
- キャリアアップ助成金の全コース共通の支給対象事業主の要件
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- 雇用保険適用事業所の事業主
- キャリアアップ管理者を置いている事業主
- 対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主
- 対象労働者に対する労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主
次のような労働者は対象事業主から除外されます。
- 「キャリアアップ計画書」の内容に講じる措置として記載していないにもかかわらず、取組実施日の前日までに「キャリアアップ計画書(変更届)」を提出していない事業主
- 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
- 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
- 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
- 暴力団と関わりのある事業主
- 暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体等に属している事業主
- 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
- 支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない※事業主
解雇や特定受給資格者となるような方を一定以上出している事業主は助成対象から除かれるということですね。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給対象事業主
キャリアアップ助成金の「正社員化コース」の対象事業主は次のとおりです。
- キャリアアップ助成金「正社員化コース」の対象事業主
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- 有期雇用労働者等を正規雇用労働者に「転換する制度を就業規則または労働協約に規定」している事
- 「❶の制度の規定に基づき」雇用する有期雇用労働者等を「正規雇用労働者に転換」
- 「転換後6か月以上の期間継続して雇用」し、転換後6か月分の賃金を支給した事業主
- 「支給申請日において当該制度を継続して運用」している
- 転換後6か月間の賃金を「転換前6か月間の賃金より3%以上増額」させている
- 正規雇用労働者に転換した日以降、「雇用保険被保険者として適用させている事業主」
- 正規雇用労働者に転換した日以降、「社会保険の被保険者として適用させている事業主」
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給対象事業主の要件で、一番注目すべきは正規労働者へ転換する前の6ヶ月間の賃金より、転換後6ヶ月間の賃金を3%以上増額させている必要があります。
基本的には就業規則で制度を定め、それにより転換を行い、6ヶ月間賃金を支払い、転換前6ヶ月と比較して3%以上増額させている事業主が対象となります。
次のような労働者は対象事業主から除外されます。
- 転換日の前日から起算して「6か月前の日から1年を経過する日までの間」に、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該転換を行った日における雇用保険被保険者数で除した「割合が6%を超えている事業主」
- 転換日の前日から起算して「6か月前の日から1年を経過する日までの間」に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等「事業主の都合により離職させた事業主」
解雇や特定受給資格者となるような方を一定以上出している事業主は助成対象から除かれるということですね。
その他詳細な要件に関しては厚生労働省のホームページの情報を確認してください。
派遣労働者を直接雇用した場合の支給対象事業主の要件
派遣労働者を直接雇用した場合の支給対象事業主は次のとおりです。
- 派遣労働者を転換させた場合の支給対象事業主
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- 派遣労働者を正規雇用労働者として直接雇用する制度を就業規則または労働協約に規定している
- 派遣先の事業所において6か月以上の期間継続して同一の派遣労働者を受け入れていた
- 「❶の制度の規定に基づき」その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を正規雇用労働者として直接雇用
- 直接雇用後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して直接雇用後6か月分の賃金を支給
- 「支給申請日において当該制度を継続して運用」している
- 直接雇用後の6か月の賃金を、直接雇用前の6か月間の賃金より3%以上増額させている
- 正規雇用労働者として直接雇用した日以降、「雇用保険被保険者として適用させている事業主」
- 正規雇用労働者として直接雇用した日以降、「社会保険の被保険者として適用させている事業主」
有期雇用労働者等を正規雇用労働者へ転換させた支給対象事業主の要件を派遣労働者の直接雇用に置き換えたようなイメージですね。
次のような労働者は対象事業主から除外されます。
- 直接雇用日の前日から起算して「6か月前の日から1年を経過する日までの間」に特定受給資格離職者として雇用保険法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該直接雇用を行った日における雇用保険被保険者数で除した「割合が6%を超えている事業主」
- 直接雇用日の前日から起算して「6か月前の日から1年を経過する日までの間」に当該直接雇用を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等「事業主の都合により離職させた事業主」
解雇や特定受給資格者となるような方を一定以上出している事業主は助成対象から除かれるということですね。
その他詳細な要件に関しては厚生労働省のホームページの情報を確認してください。
賃金3%以上増額の計算方法
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給対象事業主の要件に、賃金3%以上増額要件がありましたが、賃金3%以上増額をしたかどうかの計算方法はこちらです。
賃金3%以上増額の際に含めることのできない手当
- 賃金3%以上増額の際に含めることのできない手当
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賃金が3%以上増加していることの確認にあたっては、転換前後の諸手当を含めた賃金総額について比較します。
- 実費補填であるもの
- 毎月の状況により変動することが見込まれるため実態として労働者の処遇が改善して いるか判断できないもの
- 賞与(一般的に労働者の勤務成績に応じて定期または臨時に支給される手当(いわゆるボーナス))
上記に関しては名称を問わず賃金総額に含めません。
- 【算定に含めることのできない手当の例】
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- 就業場所までの交通費を補填する目的の「通勤手当」
- 家賃等を補填する目的の「住宅手当」
- 就業場所が寒冷地であることから暖房費を補填する目的の「燃料手当」
- 業務に必要な工具等を購入する目的の「工具手当」
- 本人の営業成績等に応じて支払われる「歩合給」
- 本人の勤務状況等に応じて支払われる「精皆勤手当」
- 食費を補填する目的の「食事手当」
- 繁閑等により支給されない場合がある「休日手当」および「時間外労働手当(固定残業代を含む。 )」等
支給申請の流れ
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の支給申請の流れは次のとおりです。
STEP
キャリアアップ計画の作成・提出 ※転換・直接雇用を実施する前日までに提出
雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見を聴いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の認定を受けます。
STEP
就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定
- キャリアアップ計画提出前に転換制度を規定していた場合※でも、対象になります。⇒ ただし、その場合でも「試験等の手続き、対象者の要件、転換実施時期」の規定は必須です。
- 労働基準監督署に改訂後の就業規則を届け出る必要があります。
- 10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、事業主と労働組合等の労働者代表者(有期雇用労働者等を含む事業所の全ての労働者の代表)の氏名等を記載した申立書でも可とします。
STEP
転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施
STEP
正規雇用等への転換・直接雇用の実施
- 転換後の雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付する必要があります。
- また、転換後に適用される就業規則等に規定している労働条件・待遇にする必要があります。※ 転換後6か月間の賃金を転換前6か月間の賃金と比較して3%以上増額している必要があります。
STEP
転換・直接雇用後6か月分の賃金を支給・支給申請
転換・直接雇用後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請して ください。
キャリアアップ計画書とは
キャリアアップ計画書とは次のようなものです。
- キャリアアップ計画書とは
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有期雇用労働者など非正規雇用労働者のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後の取り組みの内容である対象者・目標・期間・事業主が行う事などをあらかじめ記載するものです。
支給申請期間
キャリアアップ助成金の正社員化コースの支給申請期間は次のとおりとなります。
転換または直接雇用した対象労働者に対して正規雇用労働者、無期雇用労働者としての賃金を
6か月分支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請する必要があります。
提出書類
キャリアアップ助成金正社員化コースので支給申請に必要な提出書類は次のとおりです。
- キャリアアップ助成金正社員化コースので支給申請に必要な提出書類
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- 様式第3号 キャリアアップ助成金支給申請書
- 様式第3号 別添様式1-1 正社員化コース内訳
- 様式第3号 別添様式1-2 正社員化コース対象者詳細
- 共通要領 様式第1号 支給要件確認申立書
- 賃金上昇要件確認ツール
添付書類
キャリアアップ助成金正社員化コースので支給申請に必要な添付書類は次のとおりです。
- キャリアアップ助成金正社員化コースので支給申請に必要な添付書類
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- 様式第1号 認定を受けたキャリアアップ計画書(写)
- 転換制度が規定されている就業規則等 (賃金規定が別途作成されている場合は当該規定を含む)
- 転換前、転換後それぞれの労働条件通知書(途中で変更した場合は当該部分を含む)
- 転換前後6ヶ月分の賃金台帳・出勤簿等 (派遣からの直接雇用の場合は転換後6ヶ月分)
- 必要に応じて提出する添付書類
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- 中小企業であることを確認できる書類
企業の資本金で確認する場合「登記事項証明書等」 労働者の人数で確認する場合「様式第4号 事業所確認票」 - 生産性要件に係る申請を行う場合は共通要領 様式第2号 生産性要件算定シート
- 支払方法・受取人住所届(すべての助成金申請において初めての場合)
- 派遣からの直接雇用の場合 労働者派遣契約書および派遣先管理台帳
- 多様な正社員(勤務地限定、職務限定、短時間)への転換の場合はお問い合わせください
キャリアアップ助成金「正社員化コース」流れ
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の基本的な流れは次のとおりです。
STEP
支給申請
取組後6か月の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内
キャリアアップ助成金「正社員化コース」チェックリスト
キャリアアップ助成金の正社員化コースは法改正も多く、支給要件も複雑なので申請に漏れが起きてしまうリスクがありそうですね。厚生労働省ホームページにキャリアアップ助成金正社員化コースのチェックリストがありますので活用して漏れのないように気をつけてください。
令和4年4月1日以降の変更点
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の令和4年4月1日以降の変更点は次のとおりです。
- 有期雇用労働者から無期雇用労働者へ転換の場合の助成を廃止 ※令和4年4月から変更
- 正社員定義の変更(「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている正社員への転換に限る)※令和4年10月から変更
- 非正規雇用労働者定義の変更(「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されている非正規雇用労働者が対象) ※令和4年10月から変更
令和4年4月から無期雇用労働者へ転換しても正規雇用労働者ではない場合は助成の対象ではなくなりました。
また令和4年10月からは、正社員の定義も賞与または退職金の制度と昇給が適用されている正社員への転換が対象となっている為、賞与・退職金・昇給がある正社員かどうかの確認が必要です。非正規雇用労働者の定義も正社員と異なる雇用区分の就業規則等が適用されている非正規雇用労働者に変更になります。
キャリアアップ助成金「正社員化コース」の注意点
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給申請における一番の注意点は
転換後にキャリアアップ計画を作成したり、就業規則・労働拒約で規定をしても助成金は出ないという点です。
キャリアアップ計画の作成と提出を行い、就業規則・労働協約で規定をした上で、規定に則って転換をしないといけません。
キャリアアップ計画の作成や就業規則・労働協約の作成をしてから正規雇用労働者へ転換するようにご注意下さい。
まとめ:キャリアアップ助成金(正社員化コース)の助成額はいくら?支給要件や流れなども解説
今回の記事はキャリアアップ助成金(正社員化コース)の助成額や支給要件、支給申請の流れを解説した記事でした。
有期雇用労働者を正規雇用労働者へ転換すると、中小企業の場合は原則「57万円」が助成されます。
助成額は中小企業か大企業か、生産性要件を満たすか、有期雇用労働者から正規雇用労働者、無期雇用非正規労働者から正規雇用労働者かなどによって違ってきます。
また基本的には正規雇用労働者へ転換後の6ヶ月の賃金が、転換前6ヶ月の賃金と比較して3%以上上がっている必要もありますのでご注意下さい。
キャリアアップ計画を予め作成を行い、就業規則に則って正規雇用労働者へ転換しないと助成金の要件を満たしませんのでまずはキャリアアップ計画を立てる事を行いましょう。