【2026年最新】千葉県の最低賃金はいくら?社会保険労務士が制度と実務対応をわかりやすく解説

「千葉県の最低賃金は今いくらなのか」「令和8年度はどのくらい上がるのか」——事業主の方からも、働く方からも、この時期になると特に多くいただくご質問です。

最低賃金は、企業の賃金設計や採用計画に直結する重要なルールであり、知らずに違反してしまうと最低賃金法に基づく罰則の対象にもなり得ます。本記事では、社会保険労務士の立場から、千葉労働局・厚生労働省などが公表している一次情報(公式発表・法令・通達等)のみを根拠として、千葉県の最低賃金の現状と今後の見通し、制度の仕組み、実務上の注意点を整理してご説明します。

なお、本記事は2026年8月9日時点で公表されている情報に基づいています。最低賃金は毎年改定されるため、実際の適用にあたっては必ず千葉労働局の最新の公表情報をご確認ください。


目次

1. 千葉県の最低賃金はいくら?現在の金額と最新の動き

1-1. 現在(2026年8月時点)適用されている金額

現在、千葉県内の事業場で働くすべての労働者(正社員・パート・アルバイト・嘱託など雇用形態を問いません)とその使用者に適用される「千葉県最低賃金」は、時間額1,140円です。この金額は令和7年10月3日から発効しており、従来の1,076円から64円引き上げられたものです(千葉労働局発表を引用した市原市・白井市・習志野市など県内自治体の公式案内より)。

参考として、厚生労働省の発表によれば令和7年度の地域別最低賃金の全国加重平均額は時間額1,121円(前年度比6.26%の上昇)とされており、千葉県の現行水準はこれを上回る水準にあります(出典:厚生労働省「最低賃金法」ページ、check-roudou.mhlw.go.jp)。

1-2. 令和8年度(2026年度)の改定に向けた最新動向

2026年8月5日、千葉労働局の諮問機関である「千葉地方最低賃金審議会」(会長:村上典子氏)は、千葉労働局長に対し、千葉県最低賃金を現行の1,140円から55円引き上げ、時間額1,195円とする答申を行いました。これは、中央最低賃金審議会が示した千葉県の引き上げ「目安」54円を1円上回る結果です(出典:千葉労働局「千葉県最低賃金の55円の引上げを答申しました」、千葉日報オンライン2026年8月6日付記事)。

報道によれば、この引き上げ額は昨年度(令和7年度)の64円に次ぐ過去2番目の大きさであり、審議会では労働者側・使用者側・公益委員の全委員が賛成する全会一致での答申となりました(出典:千葉日報オンライン)。

1-3. 今後の手続きの流れと発効時期の見込み

最低賃金法第10条・第14条等に基づき、地方最低賃金審議会の答申を受けた都道府県労働局長は、関係労使からの異議申出の機会を設けたうえで、最低賃金の改正決定を官報に公示する手続きを行います。今回の答申に対する異議申出の受付期限は2026年8月20日までとされており、その後、2026年9月1日に決定が公示され、2026年10月1日から新たな金額(1,195円)が適用される見込みです(出典:千葉労働局、チバテレ/Yahoo!ニュース2026年8月7日付記事)。

ただし、これはあくまで答申段階の情報であり、正式な決定・官報公示がなされるまでは、現行の1,140円が引き続き適用される点にご注意ください。事業主の皆様は、正式な公示を待って給与規程・雇用契約書等の見直しを行うことをお勧めします。


2. そもそも最低賃金制度とは?法的根拠を確認する

2-1. 最低賃金法に基づく制度

最低賃金制度は、昭和34年法律第137号「最低賃金法」に基づき、国が賃金の最低額を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」サイト内「最低賃金法」ページ)。

最低賃金法第4条第1項は、使用者に対し「最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と定めています。また、同条第2項では、最低賃金額に達しない賃金を労働者・使用者双方が合意のうえで定めたとしても、その部分の合意は無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされる旨が規定されています(出典:厚生労働省ほか各種公的機関の説明資料)。

つまり、労使が合意していたとしても、最低賃金を下回る賃金設定はそもそも法的に成立しないということです。この点は、経営者の方が誤解しやすいポイントの一つですので、社会保険労務士としても特に強調してお伝えしています。

2-2. 「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の違い

最低賃金には大きく分けて2種類があります。

  • 地域別最低賃金:産業や職種を問わず、各都道府県で働くすべての労働者とその使用者に適用されるものです。千葉県では「千葉県最低賃金」がこれにあたります。
  • 特定(産業別)最低賃金:特定の産業について、都道府県内または全国を適用地域として決定されるもので、地域別最低賃金よりも高い賃金水準を定めることを目的として設定されています(出典:厚生労働省「最低賃金について教えてください」FAQページ)。

両方の最低賃金が同時に適用される場合、使用者は高い方の金額以上の賃金を支払わなければなりません(同FAQページより)。


3. 千葉県の特定(産業別)最低賃金について

千葉県内には、地域別最低賃金である「千葉県最低賃金」のほかに、業種ごとに定められる特定最低賃金が設定されています。千葉労働局の発表によれば、千葉県下には合計7件の特定最低賃金が設定されており、そのうち近年、鉄鋼業と、電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業の2業種について改定が行われています(出典:千葉労働局「千葉県下の2件の特定最低賃金を改正します」各年度発表)。

たとえば、令和6年12月25日効力発生の改正では、鉄鋼業は1,147円、電子部品・デバイス・電子回路等製造業は1,105円とされました(出典:旭市公式ホームページ「千葉県の特定(産業別)最低賃金が改正されました」、千葉労働局発表資料に基づく案内)。その後、令和7年12月25日にも当該2業種の改定が行われています。

なお、特定最低賃金が設定されている業種であっても、その金額が地域別最低賃金(千葉県最低賃金)を下回る場合には、地域別最低賃金である千葉県最低賃金の金額が適用されます(出典:白井市・習志野市等の公式案内)。自社の業種に特定最低賃金が適用されるかどうかは、必ず千葉労働局が公表する「千葉県内の最低賃金一覧表」で最新の金額をご確認ください。


4. 最低賃金の対象となる賃金・対象とならない賃金

最低賃金額と比較する際の賃金は、労働者に実際に支払われる賃金のすべてではありません。厚生労働省の説明によれば、実際に支払われる賃金から、次のものを除いた金額で比較します(出典:厚生労働省「最低賃金について教えてください」FAQページ、白井市公式案内)。

  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当(勤務日数や通勤方法などによって変動する手当)
  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる割増賃金

つまり、基本給や毎月決まって支払われる諸手当(役職手当・皆勤が確定している手当等)が主な比較対象となり、賞与や時間外手当などは最低賃金の判定に含めることができません。給与体系を組む際、これらの手当を厚くすることで最低賃金をクリアしているつもりでも、比較対象から除外される手当であった場合、実質的に最低賃金を下回っていたという事態も起こり得ますので注意が必要です。

4-1. 日給制・月給制の場合の確認方法

最低賃金は時間額で示されているため、日給制や月給制で賃金を定めている場合は、その賃金額を時間当たりの金額に換算したうえで、最低賃金額と比較する必要があります(出典:厚生労働省「最低賃金制度の概要」)。具体的な換算方法や自社の賃金が最低賃金を満たしているかどうかのチェックについては、厚生労働省が公開している確認ツールや、千葉労働局・所轄労働基準監督署への相談を活用することをお勧めします。


5. 最低賃金は誰に適用される?適用対象と減額の特例

5-1. 雇用形態を問わずすべての労働者に適用

地域別最低賃金は、常用・臨時・パート・アルバイト・嘱託など雇用形態や呼称にかかわらず、原則として各都道府県で働くすべての労働者に適用されるセーフティネットです(出典:厚生労働省・都道府県労働局作成リーフレット「必ずチェック最低賃金!」)。

5-2. 派遣労働者への適用

派遣労働者については、派遣元の所在地ではなく、派遣先の事業場に適用される最低賃金が適用される点に注意が必要です。派遣元の使用者と労働者は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります(出典:厚生労働省・都道府県労働局作成リーフレット「必ずチェック最低賃金!」)。

5-3. 最低賃金の減額の特例(最低賃金法第7条)

最低賃金法第7条は、使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次のような労働者について、最低賃金額から一定の率を減額した額を最低賃金として適用できる旨を定めています。

  • 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
  • 試の使用期間中の者
  • 認定職業訓練を受けている者のうち、厚生労働省令で定める者 など

この減額特例は、都道府県労働局長の許可を受けて初めて有効となるものであり、使用者が自己判断で賃金を減額してよいものではありません(出典:法令リード「最低賃金法」条文、日本の人事部「最低賃金とは」記事)。減額特例許可申請書は所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長宛てに提出する必要があります。


6. 最低賃金法に違反した場合の罰則

最低賃金は「守るべき努力目標」ではなく、法律上の強行規定です。最低賃金法第4条第1項に違反し、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった場合、同法第40条により50万円以下の罰金に処されます(出典:厚生労働省「厚生労働白書」資料編、法令リード「最低賃金法」条文、日本語訳データベースjapaneselawtranslation.go.jp)。

また、最低賃金法違反等の事実を労働者が都道府県労働局や労働基準監督署に申告したことを理由に、使用者がその労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをした場合には、同法第34条第2項違反として、第39条により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という、より重い罰則の対象となります(出典:法令リード「最低賃金法」条文、HR NOTE「労働基準法における最低賃金の定義とは?」)。

実際に、労働基準監督署が最低賃金法違反(第4条第1項・第40条)の疑いで事業者を検察庁に書類送検した事例も、山形労働基準監督署や愛知・一宮労働基準監督署などから公表されています(出典:各労働局公表資料)。最低賃金の未払いは、単なる労務トラブルにとどまらず、刑事罰の対象となり得る重大なコンプライアンス違反であるという認識を持つことが重要です。


7. 【社会保険労務士からのアドバイス】事業主が今取り組むべき実務対応

令和8年度の改定額が正式に決定・公示されるまでの間、そして決定後の対応として、事業主の皆様には次のような準備を進めていただくことをお勧めします。

  1. 現行の給与体系の点検:基本給や諸手当のうち、最低賃金の比較対象に含まれる賃金・含まれない賃金を改めて整理し、時間当たり単価で現行の1,140円を下回っていないかを確認する。
  2. 改定後の影響試算:答申どおり1,195円で決定された場合の人件費への影響を試算し、必要に応じて価格転嫁や生産性向上策の検討を進める。
  3. 特定最低賃金の適用確認:自社の業種が千葉県内で設定されている特定最低賃金の対象業種に該当するかどうかを、千葉労働局の最新一覧表で確認する。
  4. 派遣労働者を受け入れている場合の確認:派遣先として、自社の事業場に適用される最低賃金を派遣元と共有できているかを確認する。
  5. 支援策の活用検討:最低賃金の引き上げに伴う生産性向上の取り組みに対しては、業務改善助成金などの支援制度が用意されています。詳細は業務改善助成金コールセンター等、公的窓口にご相談ください(出典:千葉労働局・千葉県公式案内)。

最低賃金の改定は毎年行われるものであり、一度対応したら終わりというものではありません。継続的に給与体系を点検する仕組みを社内に持つことが、コンプライアンス経営の第一歩となります。


8. まとめ

  • 千葉県の現行の最低賃金(2026年8月時点)は時間額1,140円(令和7年10月3日発効)。
  • 令和8年度は、千葉地方最低賃金審議会が55円引き上げ、1,195円とする答申を行い、2026年10月1日発効の見込み(正式決定は今後の官報公示による)。
  • 最低賃金は地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類があり、両方が適用される場合は高い方の金額が適用される。
  • 賞与や割増賃金、通勤手当等は最低賃金の比較対象から除外される。
  • 最低賃金法違反には、最大50万円以下の罰金等の罰則があり、申告への不利益取扱いにはさらに重い罰則が科される。

最低賃金への対応は、単なる法令遵守にとどまらず、従業員の生活と企業の持続的な成長の両立を図るための重要な経営課題です。ご不明な点がございましたら、最寄りの千葉労働局・労働基準監督署、または顧問社会保険労務士までお気軽にご相談ください。


主な参照・出典

※本記事の内容は執筆時点(2026年8月9日)の公表情報に基づくものであり、正式な決定内容とは異なる場合があります。最新の金額・適用日は、必ず千葉労働局の公式発表をご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の労務相談に代わるものではありません。

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